その後、係の女性にカウンターのほうに案内されて、なにやら書類を書かされた。
荷物はたしかにフランクフルト空港でエアチャイナのチェックインカウンターで預けた。
それは私とおなじ飛行機に乗って、北京まで来たはずだ。
ところが、係の女性によれば、そこから乗り継ぎの羽田行きの便に荷物は乗らなかったらしい。
フランクフルトから乗り継いで来た人のほとんどが、そのような事態におちいっているという。
私だけじゃないならしょうがないか。
同行のSくんもおなじだった。
書類は、荷物が羽田に到着したら国立に送ってもらうことと、荷物の中身を調べて税関などで引っかかるようなものがはいっていた場合、その処分を任せるための委任状だった。
私はリュックサックひとつの軽快な身で、羽田から国立にもどった。
その途中で、荷物の行方がはっきりして今夜羽田に到着する、国立へは翌日の夜に届くはず、という連絡がはいった。
よかった、とりあえず荷物は無事のようだ。
そしてなにより、自分自身が無事に帰れたことをお祝いしよう。
翌日の夜、荷物が届いた。
あけてみたらくしゃくしゃの書類が一枚はいっていて、モバイルバッテリーが没収された旨、記されていた。
行きはなんともなかったのにな。
ほかの荷物は無事だったので、まあよしとしよう。
モバイルバッテリーのひとつやふたつ、くれてやるわ。
ほぼ新品だったけど。
MacBookProの充電ができる大容量バッテリーで気にいってたんだけど。
けっこう高かったんだけど。
ぶつぶつ……
あと、キャリーバッグの取っ手が根元から折れてなくなっていた。
使いやすくてけっこう気にいっていたのに。
これ、修理できるだろうか。
ぶつぶつ……