2016年7月6日水曜日

映画:小さき声のカノン――選択する人々

上映会の後援にトランジション世田谷 茶沢会もはいっていて、私もささやかながら告知協力させていただいた鎌仲ひとみさんの映画「小さき声のカノン――選択する人々」を、北沢タウンホールに観に行ってきました。

鎌仲ひとみ監督作品では「六ヶ所村ラプソディー」と「ミツバチの羽音と地球の回転」を観ていますが、それ以前の作品は知りません。
しかし、この2作品ともトランジション運動をきっかけに観たものだし、鎌仲さんの事務所であるぶんぶんフィルムズが最近、世田谷代田の空間工場に越してきたということもあって、なんとなく親しみをいだいていました。
私自身、『原発破壊』という小説を書いていることもあります。

でも、鎌仲さんとは直接お話ししたことは一度もないのです。
空間工場の兒玉さんとは親しくさせていただいているけれど、ぶんぶんフィルムズのイベントはタイミングが合わず、参加したこともないし、遠くからお見かけしたことはあるけれど、なんとなく距離があるまま今日にいたっています。

上映会は昼と夜の2回あって、昼の部は樹木希林さんがトークゲストということもあって、立ち見が出るほどの盛況だったようです。
私は夜の部のほうに行きました。
NVC仲間の博子さんが付き合ってくれて、いっしょに観ました。

すこし遅れてくる博子さんと待ち合わせるためにロビーに立っていると、知り合いとたくさん会いました。
トランジション世田谷 茶沢会のメンバーが多いんですが、それ以外にも生活者ネットワークの人たち、福島の子どもたちとともに・世田谷の会の人たち、そしてNVCの勉強会で知り合った人たち。

映画では「成長経済優先」「景気第一」「原発再稼働」「国際貢献」といった大きな声の陰でかき消されがちな「小さき声」がフォーカスされています。
福島の現実のなかで、子どもを守りたい、家族や地域とのきずなを大切にしたい、という引きさかれるような立場で苦しみ、かんがえて、行動する女性たちの声です。

原発作業に従事する作業員と同等かそれ以上の汚染地区に住むことを決断し、それでも子どもたちを被曝から守りたいと決死の努力をつづけるお母さんたち。
むなしい除染作業を、ただ祈るかのようにつづけるお父さん。

福島の彼らの座標を明示するかのように、チェルノブイリ以後のベラルーシの事情もつぶさに描写されます。
日本という国・政府の、あまりにずさんである種の国民に冷たい姿勢が、いやがおうでも浮き彫りになっていきます。

はっきりいって、心楽しい映画とはいえません。
しかし、ここに明示されていることに、私たちは目をそむけてはならないし、目をそむけることは自分自身やそれにつながる幼い命を軽んじることになるのではないかと、私は感じました。

上映後、監督の鎌仲さんと、世田谷区長の保坂さん、それに福島支援をずっとつづけているキャンドルJUNさんの対話が、舞台でありました。
この人たちのなんと真摯なことでしょう。
そして、それを聞く私のなんと気楽なことでしょう。
さらに、ニホンという国の制度をになっている人々のなんと無責任なことでしょう。

これらはまぎれもない現実であり、目のまえでまさに起こっていることです。
自分がどの位置に立つのか、それはそれぞれの人の選択でしょう。
そのことに文句をつけるつもりはありません。
私はどこに立つのか、立ちたいのか。
ただそのことだけを問い、私なりの行動を取ろうと決意した2時間の上映時間でした。

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