2017年公開の合衆国映画。
監督はデヴィッド・リーチで、キアヌ・リーブスの「ジョン・ウィック」の制作に関わったりもしているスタントマン出身。
主演はシャーリーズ・セロン。
いわずと知れた美人でスタイリッシュな女優だが、近年はなぜか非常に癖の強い配役が多く、またそれが印象強い。
とくに「マッドマックス 怒りのデス・ロード」で演じたフュリオサ大隊長役は強烈な印象で、メインキャストであるはずのマッドマックスを完全に食っていた。
そして大ヒットした。
この大ヒットが、セロンの影響力を高めたらしい。
セロンは自身は出演していないキアヌ・リーブス主演の「ジョン・ウィック」が気にいっていて、その監督であるデヴィッド・リーチを「アトミック・ブロンド」の監督に指名したという。
私としては「ミニミニ大作戦」の繊細な錠前破り役や、「プロメテウス」での悪役が印象に強いが、「ダーク・プレイス」での複雑な陰影を持つ汚れ役もよかった。
「アトミック・ブロンド」についていえば、鍛え抜かれたセロンのアクションや姿態を存分に発揮された作品だとは思うが、ストーリーが複雑で、ストレートな楽しみはそがれているように感じた。
舞台設定が1989年の壁崩壊直前のベルリンを中心としていることもあって、現代史を踏まえたエピソードが織り交ぜられていて興味深い部分もあるが、スパイ合戦を描いていて敵と味方が入り混じるややこしさがある。
とにかく、美しいセロンが痛めつけられるシーンが多く、それは意図的なのだろうと思うし、観客サービスの一種なのだろうが、痛いシーンが苦手な人にはつらい映画かもしれない。
エンタテインメント映画としては、やや手放しでは楽しめない部分がいなめないだう。