2018年4月8日日曜日

映画:リピーテッド(Before I Go To Sleep)

2014年公開のイギリス、合衆国、フランス、スウェーデン合作の映画。
スウェーデン、なぜ?

監督はローワン・ジョフィという人で、私はまったく知らない。
原作小説があって、S・J・ワトソンの『わたしが眠りにつく前に』の原題「Before I Go To Sleep」がそのまま映画のタイトルになっている(日本語タイトルは別につけられた)。映画に先んじて世界的ベストセラーになっている。

なぜこの映画を観ようと思ったかというと、制作総指揮がリドリー・スコットなのと、主演がニコール・キッドマンだったからだ。
ニコール・キッドマンといえばオーストラリア出身の押しも押されもせぬ人気女優といってもいいだろう。
「めぐりあう時間たち」「アイズ・ワイズ・シャット」「オーストラリア」「私が愛したヘミングウェイ」など、アカデミー受賞も多い。
個人的には実験的な映画「ドッグヴィル」と「ザ・インタープリター」が印象深い。

「リピーテッド」では記憶障害を持つ女性を演じている。
一日の記憶を眠りにつくまでしか保持できない。
翌朝目がさめると記憶はまっさらになっていて、20代前半までの若いころの記憶しかなくなってしまうという障害だ。
その障害にいたった事件が、映画のストーリーと深くかかわっている。

映画の最初では記憶がまっさらで目覚めた主人公が、見知らぬ男といっしょに寝ていて、男は「自分は夫で、毎日記憶がまっさらになってしまいきみの世話を何年もつづけている」という。
いささか混乱する話だが、事情がしだいに明らかになっていくとともに、謎がつぎつぎと出てくる。
映画全体を覆う暗いトーンが、サスペンス色を濃厚にしている。

まったく笑える場面のない、シリアスな、暗い映画で、楽しめるかというとなかなかそうはいいきれないが、ストーリーは凝っていてよくできている。
しだいに明らかになっていく謎も、やっぱりそうか的な面はあるものの、展開と人物配置が丁寧にされていて、引きこまれる。