2016年4月7日木曜日

コーヒーがおいしいかまずいかは問題ではない

先日の草加〈Jugem〉共感カフェで勉強会がおよそ終わり、最後に感想やや質問がないかみなさんに訊いていたときのことだ。
会の主催の川崎実雪さんが、こういった。
「今日も盛りだくさんに勉強しましたが、みなさんにお出ししたコーヒーが薄すぎてまずくなってしまった、みなさんに申し訳なくて、そのことがずっと気になってました」

そんなことを気にしてたのか、だれもそんなこと気にしてないし、コーヒーも充分においしかったですよと、みんなで大笑いしてしまったのだが、それを受けて私はあることを指摘した。

「実雪さんが無防備に、正直に、自分の気がかりを私たちに伝えてくれた。私たちはそれを受け取ったとき、実雪さんがどんなことを大切にしているのか知ることができた」

実雪さんは私たちにおいしいコーヒーを飲んでもらいたい、気持ちよく勉強会に参加してもらいたい、自分が主催しているこの場を居心地よくすることで、参加のみなさんとのつながりや学びのニーズを大切にしている、そのことが伝わってきた。
彼女がどれほどこの場を大切にしているのか私たちは知ることができて、とてもありがたく、暖かな気持ちになれたのだった。

だれかから食事であれ飲み物であれ、ほかのなにかであれ、なにか提供されたとき、私たちはついその「なにか」について注目し、それが「おいしい」「おいしくない」「すばらしい」「すばらしくない」といった評価をくだしてしまいがちだが、提供されたものではなく、それが提供された行為の奥にあるニーズを見ることができるかどうかが、人と人のつながりの質を変える。

この際、コーヒーがおいしいかおいしくないかは問題ではない。
実雪さんが心をくだいて私たちにおいしいコーヒーを提供し、気持ちよく、居心地よく学ぶ場を整えることを大切にしてくれていたのだ、ということが重要なのだ。
そこに目を向け、それを受け取り、理解し、実雪さんからの本当の贈り物本体を味わうことができるかどうか。
これが共感的コミュニケーションのめざすところのひとつである。

カフェ・オハナ(三軒茶屋)で共感的コミュニケーション(4.11)
4月11日(月)夜7時半から、恒例の三軒茶屋〈カフェ・オハナ〉での共感的コミュニケーション・ワークショップを開催。朗読と音楽のミニライブ付き。参加費1,000円+ワンオーダー。