2016年4月16日土曜日

だれかのふるまいが許せない、と思ってしまったとき

付き合っている相手の食事のマナーが悪くて、嫌悪感をもよおす。
上司の電話応対の言葉使いが気になってイライラする。
いつも行く定食屋の主人があまりに無愛想で腹が立つ。
こんなとき、あなたはどうするだろうか。

マナーを注意する?
上司に苦言を呈する?
客としてクレームをつける?
いずれも対立が生まれたり、関係が悪化したりする可能性がある。
では、どうすればいいのか。

そもそもこちらが相手にたいして嫌悪感をもよおしたり、許せないと思っているとき、どうにかして相手を自分の価値観に合うようにふるまいを変えさせたいという意図が働いている。
つまり相手をコントロールしたいという欲求がそこにある。

しかし、まずしっかりと確認しておきたいのは、他人はけっしてコントロールできないし、自分の期待に沿うようにふるまってはくれない、という事実だ。
この点に幻想を持っていると、ことごとく失望を味わうことになるし、人生はつらいものになる。

相手を変えようとするのではなく、ただ相手に共感し、相手とつながる。
そうすれば、ひょっとして相手にはこちらのいうことに耳を傾けてくれる可能性が生まれるかもしれない。

その前に、まず、自分につながる必要がある。

付き合っている相手の食事のマナーが悪くて嫌悪感をもよおすとき、自分が大切にしているのは、食事のときに人に不快感を与えないようなマナーや秩序が大事だから?
上司の電話応対の言葉使いが気になってイライラするのは、誠実さや安全が大事だから?
定食屋の主人の無愛想に腹が立つのは、コミュニケーションや親しみや大事にされることが必要だから?

自分のニーズが明らかになったら、それをしっかりつかまえた上で、今度は相手のニーズに目を向けてみる。

忘れてはならないのは、すべての人にはニーズがあり、すべての言動はその人なりの切実なニーズにもとづいて現れているということだ。
たとえその言動がこちらの気にいらない方法であったり、こちらにとって不都合なことであったとしても、相手にはそれなりの切実なニーズがあるということだ。
相手を攻撃したりコントロールしようとするのではなく、相手のニーズに目を向け、共感できるかどうかが、相手とつながれるかどうかのキーになる。

もし相手に共感して、必要なつながりが生まれたとしたら、そのとき初めてこちらは相手にこちらのニーズを伝えることができる。
こちらに共感されつながりを感じている相手は、おそらくこちらの言動に耳を傾け、ひょっとしたらこちらを受け入れ、お願いをきいてくれるかもしれない。
しかし、共感がなくつながりがない状態では、けっしてこちらのいうことをきいてくれないだろうし、ましてやコントロールされるなどということは(物理的暴力をもってでもしなければ)ありえない。

親密な関係における共感的コミュニケーションの勉強会(4.23)
共感的コミュニケーションでもとくにやっかいだといわれている親密な関係であるところのパートナーと、お互いに尊重しあい、関係性の質を向上させるための勉強会を4月23日(土)夜におこないます。