2018年6月11日月曜日

音楽:ケティル・ビョルンスタ「The Sea」「The River」

ちょっと時間があるときなど、Apple Music でランダムに音楽を聴くことがある。
知っているアーティストや曲を狙って聴くのではなく、知らない曲をあらたにリリースされた作品を中心にランダムに流してくれる「ニュー・ミュージック・ミックス」というサービスがあって、リストは私の視聴履歴に左右されるらしいのだが、いずれにしても私が聴きそうだとアルゴリズムが判断した新曲を連続で流してくれる。

だいたいは聴き流しているのだが、時々「おっ」と思うような曲にたどりつくことがある。
今日は Anneli Drecker という人が歌っている「Mayflowe, New York」という曲に出くわした。
歌もいいのだが、伴奏のピアノが私の身体にはいってきた。
だれだろう。

クレジットにはケティル・ビョルンスタとある。
知らない人だ。
うかつなことに、ケティル・ビョルンスタを知らなかったのだ、私は。

調べてみると、ECMからたくさん作品をリリースしている。
そして彼はピアニストというだけでなく、たくさん小説を出版している作家でもあるのだった。
そのこともあって、がぜん興味がわいてきた。
残念ながら、日本語に翻訳されている小説はない。
1952年生まれというから、私より5歳上だ。

すこし古いアルバムだが(1995年)、彼の代表作といわれる「The Sea」を聴いてみることにした。
つづけて「The River」も聴いてみた。

どうやらビョルンスタは「水」をテーマにした表現を多くおこなっているらしい。
なんとなく親近感を覚える。
どちらのアルバムも、どこか映画音楽のような、情景やストーリーが浮かぶようなものだ。
「The Sea」のほうはディストーションのかかったギターサウンドなどもからみ、ちょっとハードな、前衛的な面もあるけれど、「The River」とともに通じるのは、けっして奇をてらったり、テクニックをろうしたりはしていない、ということだ。
むしろ実直で、口数の少ないサウンドといっていい。

聴いていて、これはジャズなのだろうか、と思う。
ビョルンスタは北欧ジャズのコンポーザーでありピアニストとして分類されているようだが、一般的な意味ではジャズではないよな。
それは一聴すればだれでもそう思うだろう。
クラシックのような曲想であり、現代音楽のようでもあり、映画音楽のようでもある。
が、即興性もある。

「これは」というアーティストに出会ったとき、その人がたくさん作品を残しているとなんだかほっとするのだが、ビョルンスタも幸いにたくさんのアルバムがある。
これからじっくり聴きこんでみよう。
その前に、 Anneli Drecker が歌っている「Mayflowe, New York」のはいっているアルバム「A Suite of Poems」をまず聴きこんでみることにしよう。