2010年3月29日月曜日

プレゼンテーションの極意

 世間には上記タイトルのようなテーマの本や、講座やDVDがじつにたくさんあって、ほとんどあふれかえっている観がある。ほとんどがビジネスマン向けである。
 企業活動においてはよほど「プレゼンテーション」の能力が要求される、もしくは必要とされているようだ。
 もちろん、それらの本をいちいち熟読したわけではないが、ざっと見渡したかぎり、どれもこれも似たり寄ったりの内容である。

 さて、話は変わるが、私はこれまで数多くの講演や講義(一種のプレゼンテーションといっていいだろう)をおこなってきた。
 振り返ってみれば、最初は職業作家になったときだった。まだ29歳だったが、北陸の地方都市に住んでいたので珍しがられ、あちこちから引っぱりだこだった。よほどの売れっ子作家は別として、たぶん東京在住の作家よりたくさんの講演依頼があった。
 その後、たぶんその「物珍しさ」の延長線上で、地方テレビ局のいくつかから依頼され、キャスターや司会進行の仕事を5年くらいやった。週一ペースで5年だから、かなりの出演回数になる。
 そしてまたそのことで講演依頼が増え、あちこちにのこのこと出かけていっては話をした。
 企業や学校、役所からの依頼、生涯学習の一環としての講演など、いろいろな人を相手に話をした。私も人と話をするのは嫌いではないので、依頼は基本的に断らないことにしていた。
 話をするのが嫌いではない、というより、だれかのお役に立てるのがうれしい、という体質なのだ。そしてもうひとつ、まったくひと前で「アガる」という経験がない。そもそも「アガる」ということがどういうことなのか、感覚としてわからない。これにはたぶん、理由がある。

 そんななかで、私なりに経験を積み、人に話をする際のコツみたいなものを自然につかんでいったのだと思う。
 以前は意識はしていなかったが、いまははっきりと「ひと前で話すときに自分がやっていること」を明示することができる。そしてそのことは、あまたある「プレゼン本」のどれにも書かれていないと思う。
 この方法は現代朗読の方法にも通じるものがある。
 最近はYouTubeやUstreamなどによって、さまざまな人の講義やプレゼンテーションを目にする機会が増えた。なかには聴取者から「神プレゼン」などと絶賛されているものもあるが、「?」と思うことが多い。たしかに「手順」や「道具の使い方」のうまい人は多いが。
 とてもこのみじかいBLOGエントリーではすべてを説明できないが、「感覚受容器官としての自分の身体性を高めておく」「自分に軸足を置かないコミュニケーション」「自分の生き生きとした感覚は必ず伝わる」というようなことのなかにあるだろう。

 先日、アイ文庫主催で、オーディオブック収録/製作ワークショップを開催した。
 このときに午前10時から午後5時にわたる長時間の講義(プレゼンテーション)をやらせてもらったが、とても楽しかった。へとへとになったけれど。
 そのときの模様の一部をYouTubeにUPした。よろしければご覧ください。
 もちろんこれが、理想的なプレゼンテーションのお手本というわけではない。しかし、楽しんでやっていることがおわかりかと思う。
 リクエストがあれば、続編もUPします。

■オーディオブック収録時のマイクの扱いと選び方について