2019年8月7日水曜日

蚕から作った真綿で紡いだ絹糸をもらったので編んでいる

共感手帳術講座に参加してくれている牧あんなさんが、蚕から取った絹の糸玉を持っていて、よかったら編んでくれないかといったので、ちょっと驚きつつ喜んでしまった。
あんなさんはここ10年来、養蚕をやっている年配のご夫婦を手伝っていて、蚕や桑を育てるところから、糸を取るところ、糸を紡ぐところ、染める工程までやってきたというのだ。
写真を見せてもらったら、うつくしい光沢のある絹の糸玉で、すぐに送ってもらった。

着物の生地を織るような細い糸を取る工程ではなく、繭からまず真綿を作り、それを染めてから紡いだ、太さに変化がある毛糸のような太めの糸玉になっている。
草木染めでさまざまな色になった糸玉がたくさん送られてきた。
もう見ているだけでうれしくなる。

一度でいいから、自分でつむいだ糸を使ってなにか編んでみたいと思っていた。
毛糸なので、刈った羊毛をつむぐことをかんがえていたのだが、絹を使うことは想像していなかった。

蚕という蛾の幼虫がさなぎになるときに出す繊維を、人が利用して糸にする。
みつばちもそうだが、虫と人の太古からの関わりから生まれたものだ。
それを人の手がつむぎ、染め、そして編みあげていく。
そういうことに自分が直接触れられることが、なんて幸せなことだろうと思う。

実際に編みはじめてみると、絹糸のうつくしさと強靱さにびっくりする。
独特の光沢がある。
人間の髪の毛よりもずっと細い繊維にも、キューティクルのようなものがあって、つるっとしているようでいて独特の触覚がある。
そして強い。

人の手で真綿からつむがれた糸は、太さに波があって、均一な目にそろえることができない。
それがまた楽しい。
まさに手作業が生む「もの」の生きいきしたうつくしさと楽しさがある。