2009年11月30日月曜日

いま読んでいる本:熱帯の夢

 この本を茂木健一郎が書くための旅行に同行していたのが、日高敏隆先生であった。つい先日、亡くなった。
 合掌。
 日高敏隆先生はコンラート・ローレンツとならんで、私の思春期のアイドルだった。
 私は中学生のころからSF小説にハマり、内外のものを読みふけった。国内ではもちろん小松左京も全部リアルタイムで読んだが、小説だけでなくエッセイや対談集にも漏れなく手を出した。小松左京という人は博学の人で、ありとあらゆる分野に通じている。そんな彼の対談相手に日高敏隆先生がいて、その話の内容に魅了された私は、日高先生の本も読むようになったのだった。
 あげくに、動物行動学をやりたいと思い、京都大学の理学部を受験したのだが、落ちた。女の子の尻を追いかけること、音楽にのめりこむこと、これらと受験勉強は両立しなかった。いまでもそうだが、あまり懸命な人間として生まれついてはいなかったようだ。まじめに受験勉強をやって、動物行動学を専攻していたら、いまごろどうなっていただろうか。はるかかなたの蜃気楼を追うような想像ではある。

 余談がすぎた。
 茂木健一郎は先日、所得税の申告漏れを指摘されて話題になったが、熱帯を旅行する夢はこのコスタリカ行きを含め、何度も実現させているようだ。
 そのことに私は嫉妬する。読んでいて、ひりひりするほどの憧憬を覚える。

『熱帯の夢』茂木健一郎/集英社新書