毎月一回、北陸の実家に帰省するたびに実家のリビングでおこなっている音読カフェを、今月も開催した。
近所のかたに呼びかけて、興味を持った方に集まってもらっているのだが、このところ新規参加者を呼んでいないので、常連のかたがリピートしている。
回を重ねてくると、それぞれのかたにそれぞれの変化があって興味深い。
うれしいのは、どなたも回を重ねると、しだいに自分の身体のようすや状態、変化によく気づきはじめるようになる、ということだ。
最初は呼吸法をやっても、
「いまどんな感じですか? ささいなことでいいので、気づいたことがあったらことばにしてみてください」
「???」
という感じだったのに、徐々にことばが出てくるようになる。
そして、ささいなこと、微細なこと、緻密なことに気づきはじめる。
ここが心身の健康をみずから整え、不調や病気を予防していく基本となる。
前回、ちょっとむずかしい音読エチュードに挑戦して、かなり大変だった人もおられたので、今回は難易度を落としてみることにした。
ちょっとしたことば遊びや身体と連動したリーティングゲームのようなものを音読エチュードにしているのだが、今回はエチュード的な読み方ではなく、ただ読むだけ。
ただし、ちょっと長文。
夏目漱石の『永日小品』から「火事」という短編の全文をみんなで読む。
声をあわせての群読。
ゆっくり読むと10分くらいかかるだろうか。
みんなで声をあわせてはきはきと読みつづけると、私でも途中で息が切れそうになる。
呼吸筋群がかなり活性化し、身体もぽかぽかしてくる。
かるい疲労も感じる。
ちょっとした体操をこなしたあとくらいの運動感が残る。
そしてもうひとつの楽しみは、「火事」という明治の文豪の作品そのものを味わってみること。
いつもはほとんどやらないが、作品の内容にちょっと踏みこんで、この作品がいかにすばらしいものなのか、読みどころはどこなのか、小説家という立場で解説してみた。
みなさんに喜んでもらえたようだった。
ときにはこんな感じの音読カフェもいいだろう。
音読カフェは東京でも国立や池尻大橋の〈アカシデカフェ〉などで実施しているので、興味があるかたは参加してみてほしい。
◎3月22日:おとなの音読カフェ@池尻大橋アカシデカフェ
駒場の住宅街の一角の、隠れ家のようなステキ空間「アカシデカフェ」にて、月1回の音読カフェを開催します。声をだす楽しさ、よろこびを味わいつつ、コアマッスルを鍛え、免疫力をあげていくレッスンです。毎月第4木曜日の19〜21時。