私がおこなったのは五日間のゆるい断食ですが、それでも身体がとてもすっきりと軽くなり(実際には体重はほんの数キロ程度の変化しかない)、キレがよくなった感じがあり、感覚が鋭くなったり、自分の身体の声がよく聞こえるようになったり、あるいは宿便が出たりと、いいことづくめでした。
断食といっても、完全になにも口にしないわけではないのです。
まず、水分はたっぷりとります。
野菜ジュースも好きなだけ飲みます。
お腹がすいたらジュースをどんどん飲んでもいいのです。
そして一日に一食だけ、軽い食事をします。
玄米ご飯を半膳、具のすくなめの味噌汁、納豆か豆腐か青物のおひたしか漬物、といった感じの食事です。
それをゆっくりとかんでいただきます。
ジュースもおなじようにかむようにゆっくりと味わっていただきます。
ゆっくりとかんで味わう食べ方、飲み方は、「食べる瞑想」のときとおなじで、口にいれた食べ物に集中し、それをしっかりと味わい、それを味わっている自分の「いまここ」のありように気づきつづけます。
このような食べ方をすると、すこししか食べなくても、不思議に満足感があるのです。
いまの自分自身になにがどのくらい必要なのか、体感覚が教えてくれるような気がします。
本来、動物である人間もそのようなものだと思うのです。
野生動物はいくら食料がふんだんにあったとしても、「いま」の必要以上にはとりません。
飼い猫もたくさん餌をあたえても、そのときに必要な分しか食べず、太りすぎたりやせすぎたりということもありません。
犬や猫のなかには、あたえるとあたえただけ腹いっぱい食べてしまう子たちがいますが、それはたぶん人間の生活になじみすぎたり、家畜化してしまったせいでしょう。
本来はそうではないのです。
人もそうですね。
その時々の自分の身体の「必要」の声を聞き分けることができれば、自分とってもっとも適切な体重、体調、動きをキープできるのだと思います。
その声を聞くための練習の入口として、プチ断食はとても有用だと私は感じています。
今日、何人かで三日間断食をスタートしました。
三日間というごくみじかい期間を設定したのは、まずは成功体験を持ってもらいたいからです。
はじめるにあたって、それぞれのニーズを聞かせていただきました。
みなさん、さまざまなニーズがあって、断食をしたいと思いたっていました。
美のニーズ、健康のニーズ、明確さ、快適さ、能力、自律などなど、たくさんあります。
そのなかでもとくにいきいきしているニーズはなにか、それをメインのニーズとして、サブニーズにもときに目を向けながら、三日間をすごします。
そのとき、注意したいのは、「断食を達成すること」「やせること」といったものを目標に据えないということです。
これらはニーズを満たすための「手段」です。
「断食によってどんなニーズを満たそうとしているのか」
「やせることによってどんなニーズが満たせるのか」
そこにつながりつづけることで、結果的にうまくいく可能性が高まるし、もしうまくいかなかったとしてもそのニーズが消えることなくいきいきしているなら、また折を見て挑戦すればいいのです。
もうひとつ。
最初に共感的に話を聞いたとき、何人かから、
「自分はほんとうに意志が弱いから」
といういいわけのような、自責のことばが聞こえてきました。
このことばから見えるニーズはなんでしょうか。
「意志が強くありたい」
「自律的でありした」
「目的を最後までやりとげたい、まっとうしたい」
「成長したい」
「変化が必要」
そういったことが聞こえてきます。
そこにもつながってみるといいですね。
というようなサポートをオンラインミーティングやチャットを利用しておこないながら、三日間、お互いにはげましあいながらゴールまでたどりつきます。
その過程で自分の体感覚やこころの動きにどのような変化があるのか、あるいはないのか、自分自身を見つめ、その声を聞きます。
それ自体が自分につながるよい練習ですし、断食が終わってからもきっと役に立つことでしょうね。
今度は初日にマインドフルネスなどの自分自身につながるワークと断食のノウハウをシェアするワークを設定した、三日から五日くらいの断食プログラムを実施してみようかな、と思っています。