原作はデイヴィッド・ミッチェルの同名の小説。
デイヴィッド・ミッチェルは日本に長く住んでいたことがあって、日本語も堪能とのこと、そして奥さんは日本人らしいです。
彼の他の小説は未読ですが、新潮クレスト・ブックスから『ナンバー9ドリーム』とか、河出書房新社から『出島の千の秋』といった著書が出ているみたいなので、いずれ読んでみたいですね。
という気になるほど、「クラウド アトラス」は不思議な魅力に満ちた映画です。
監督はウォシャウスキー姉弟とトム・ティクヴァが分担しています。
というのも、この映画はいくつかの時代にまたがった、一見まったく関係のないエピソードによって編まれているからです。
エピソードは1849年、1936年、1973年、2012年、2144年、2321年と、時代をこえて描かれています。
ストーリーもつながりがあるような、ないような、微妙な位置関係を感じます。
トム・ハンクスやハル・ベリーなどのキャストが、それぞれの時代で複数の人物を演じています。
24世紀にあたる最後の時代では、どうやら人類はなんらかの理由で滅びに瀕しているようです。
地球外文明に救助を求めるシーンが出てきます。
しかし、全体として統一されたストーリーがあるわけではなく、腑に落ちるような伏線や結末もありません。
しかし、観ているうちに、なにか不思議な全体性を感じるのです。
人間という存在、文明の行方、人間社会の理不尽さ、そして人の命のはかなさと強さ。
じわじわと映画のなかに引きこまれていき、最後にはなぜか感動に包まれて涙が出てきます。
しかし涙の理由を説明することは難しいのです。
とにかく、観てみてください、としかいいようがありません。
いや、もし観てもらったとしても、私とおなじ感動が観た人に起こるかどうかはわかりません。
いったい私はこの映画のなんに感動するんだろう。
そしてできれば、私もこのような物語世界を描いてみたい、とも思います。
余談ですが、監督のひとりトム・ティクヴァは、私は「パフューム」を観ているだけですが、経歴が気になります。
ベルリンの映画館で8年間、映画技師として働いたあと、映画監督になったそうです。
「パフューム」もそうですが、彼は監督のほか、脚本、音楽まで手がけるマルチな人みたいです。
1965年生まれ。
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