監督はマーティン・スコセッシ。
スコセッシですよ!
いま、遠藤周作原作の「沈黙」が完成して公開を待つばかりで、話題沸騰中ですが、それがなくてもスコセッシは私のもっとも好きな監督のひとりです。
「タクシー・ドライバー」「ニューヨーク・ニューヨーク」「ラスト・ワルツ」「レイジング・ブル」「ディパーテッド」など、どちらかというとアメリカの裏社会を描いたものが多いですが、間違いなくプロフェッショナル中のプロ。
映画を知りつくした男といっていいでしょう。
それが子ども向け3D映画として作ったのが、これ。
1930年代のパリ駅が舞台。
孤児のヒューゴは駅に住んでいて、時計の補修をひそかにやっている。
駅を交点とした人間模様が描かれていきますが、出だしからすばらしい長回しのカメラワークと動画で、まさに映画の魅力に観る者を引きこんでいきます。
もちろんCGも駆使していますが、加味されたレトロな空気感がCG臭さを払拭しています。
ストーリーが展開していくと、やがてこれは映画を扱った映画であることが徐々に明らかになっていきます。
映画の黎明期に活躍した実在の映画監督が登場してきますが、ドキュメンタリーではなくあくまでフィクション。
スコセッシは映画をものすごく愛する人であり、このCGや3Dというハイテクの時代にあって、あらためて映画愛を自分なりに表現してみせたのではないか、と感じます。
時計や機械仕掛けの人形などのメカニック、駅、孤児の冒険、ほのかな恋、ファンタジー、そういった子どもでなくてもわくわくする物語と映画の要素が詰めこまれ、しかしそれはけっしてあざとい感じはなく愛にあふれている作りなのです。
もうすぐ公開になる「沈黙」はもちろん観たいですが、その前にスコセッシ監督の旧作をひととおりおさらいしてみたくなりました。
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