2011年8月19日金曜日

次世代作家養成塾:習作&講評「人魂」山田みぞれ

「あらすじ」あるいは「説明」と、「描写」は違う、という話をいつもしています。しつこくしています。
この違いについて、学校教育では決して教えてくれません。でも、テキスト表現にとっては最重要課題のひとつといっていいのです。

今回、取りあげるのは、山田みぞれの作品です。みぞれの初提出作品。
初提出にしてはとてもよく書けています。そもそも「読み物」として体裁をなしています。詳しく訊いてはいないんですが、彼女はたぶん、過去にかなりの分量の文章を書いた経験があるのではないでしょうか。
そういう文章です。
そういう文章であるにも関わらず、説明と描写の違いについての認識が欠如しています。そこの部分をシェイプアップすれば、格段にクオリティがあがるはずなのです。

 わんわん池でザリガニ釣りをしていたあの夏の日、永尾のおじさんに出会った。

これは描写ではなく、説明。

「大丈夫か?坊主!」
 抱え上げられた僕は、そのぎょろりとした目玉を見てわっと泣き出した。

これは説明ではなく、描写。
このふたつの違いがわかるところから、テキスト表現の「技術的側面」のレベルアップが始まります。
簡単にいえば、「そのまま画面にできる」かどうかの違い。映画を作ると思ってもらえばいいかもしれません。
もちろん、すべてのテキストが描写でなければならないということではありません。ストーリーを伝える、といったようなある種のテキストについては、描写が有効なのです。そして、描写と説明の意識的分別ができているかどうかということが、表現者の技術レベルを差別化するのです。

(以下、作品本体は養成塾のメールマガジンで掲載しています)

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