2016年8月8日月曜日

この作家たちを声を大にして知らしめたい

次世代作家養成ゼミがすごいことになっています。

私は1990年前後に有名な「小説工房」というサイトをファシリテートしていて、そのときからズブのど素人の原稿を何千本と読みこみ、アドバイスし、そこから数多くの作家、ライターが旅立っていった実績を持っています。
もちろん私の手柄というわけではなく、それぞれのみなさんの努力と能力のたまものだと思いますが、なにをいいたいかというと、私には作品の優劣や可能性を見抜く能力がある、というゆらぎない自信があるということです。

音楽でも美術でも骨董品でも、なんでもそうですが、それがすぐれたものであるかとうかを見抜くには、そうとうな経験を積んで眼力を育てる必要があります。
長年、数多くの玉石混交の作品群を読みつづけてきた私は、知らずしらずのうちにそのような眼力を身につけてきたのだ、と自負しています。

そんな私が、いま、おどろいているのです。

まずは奥田浩二。
彼は4年くらい前から次世代作家養成ゼミに参加います。
なかなかのアイディアマンで、当初からさまざまなスタイルの文章を書きわけていたんですが、それゆえに確固たる自分軸のようなものがなかなかできずにいました。
また基礎的な執筆のための身体力も不足していました。
私の印象では長らく鳴かず飛ばずの印象だったんですが、去年の終わりごろだったと思います、ふと気がついたら「ものすごく書ける人」になっていたのです。

なにを書いても自分のものになっている。
なにをどう書けばいいのか、テキストという表現ツールを自在にあやつれる書き手になっている。
いまどきのプロ作家といえども、奥田くんくらい「書ける人」はそうそういないと思います。
ベストセラーかもしれませんがきちんと書けない人の作品がマーケットに山積みになっているのが、いまの商業出版の現状であることは、私がわざわざ指摘しなくても多くの方が了解していることでしょう。
もし奥田くんの作品がマーケットにならんだとしたら、眼力のある人はかならず彼の可能性に気づくはずです。
もっとも、それが売れる、売れないは別の話ですが。

もうひとり、びっくりしているのは、沖縄からオンラインで今年のはじめから参加している知念満二氏。
最初のころは力にまかせた書きなぐり型の作品という印象があったんですが、それもじつはあまりに力がありすぎるあまりの勇み足みたいなものだったのです。
ここ半年以上、毎週のようにコンスタントに書きつづけ、毎日書くことをかんがえ、実践し、そして根気の必要な書きなおす作業に取りくみつづけてきた結果、本来持っている力が漏れこぼすことなく作品に乗ってくるようになってきました。
そしてアイディアの奇抜さ。
まさに知念氏のオリジナルな身体から発生する、だれもが読んだことのないストーリーです。

先日、読ませてもらった作品は、圧倒されるようなアイディアと描写の連続で、まるで知念氏が身体ごと読者にぶつけてくるような執念を感じるもので、読んでいて途中で涙がこぼれそうになりました。
これはぜひとも世に出したい、そう思わせる作品でした。

現在、次世代作家養成ゼミはこのふたりと、私と、いまちょっと忙しくて離れていますが野々宮卯妙の4人で活動しています。
養成講座というより、これはもう作家集団といってもいいでしょうね。
私も引っ越しが落ち着いたら、機関誌『HiYoMeKi』の編纂に取りかかるつもりです。

既存の商業出版や商業的ストーリーではなく、真に自分自身の存在をテキストを用いて表現してみたいと思っている人は、どなたも歓迎します。
ここに参加してみませんか。

次回の次世代作家養成ゼミは8月12日(金)の夜7時から、オンラインで開講します。
この日の作品テーマは「パンダ」です。
テーマを念頭においた500字以内または1000字前後のみじかい作品をたずさえて、参加してみてください。
詳細はこちら