2019年9月17日火曜日

セカンドオピニオンをすすめられる(末期ガンをサーフする(11))

この連休は絶不調だった。
それが治療のせいなのか、たんに体調不良だったのか、天候不順がつづいたのでひょっとして風邪ぎみだったためなのか、よくわからない。
とにかくだるくて、熱っぽい感じもあって、日中もしょっちゅう横になってはうとうとしていた。
食欲もなく、アイスクリームとか、人からいただいたゼリーとか羊羹をほそぼそと食べていた。

お酒やコーヒーなど、刺激物は控えるようにいわれているが、無理に控えなくても自然に飲みたくなくなる。
いまはそんなものを飲める気がしない。

サーフィンのレッスンの予約をいれようと思っていたのに、こんな調子だととても行けないと断念した。
それがかなりくやしい。

9月17日、火曜日。午前10時。
11回めの放射線治療のために東京都立多摩総合医療センターに行く。
食事のときひりひり痛むことを伝えたら、薬があると思うので先生の診察のときに処方してもらってください、といわれた。

  *

6月20日に消化器外科の担当医の所見を聞いてから1週間後、27日にふたたび担当医と話をしに多摩総合医療センターに行った。
いろいろかんがえてやはり抗がん剤はやりたくない、と伝えると、医師からは、
「そうですか。まだお若いのにすこしでも可能性がある抗がん剤治療を受けないというのはもったいない気がしますが、意志は尊重します。では、あまり例がない方法になりますが、放射線治療1本に絞っていきましょうか」
といわれた。

私はもともとその方法がいいと思っていた。
念のために訊いてみた。
「抗がん剤も放射線もやらないとするとどうなりますか?」
「ガン組織が肥大化して、やがて食道がふさがって食事が取れなくなります。リンパ節への転移も進むかもしれませんね」
それは以前にも聞いたような気がする。

ふと医師が表情を変えて、私にいった。
「納得できなければ、セカンドオピニオンをとってみてはいかがですか?」
そのことばは聞いたことがあった。
最近の医者や病院は自分の診断のみを押しつけず、患者が他の医師や病院の所見を得ることをさまたげないようになっているようだ。

私はこの医師の所見を信用していないわけではなかったが、別の医師がどのような診断をするのか、すこし好奇心があった。
たぶんまたあらたに検査を重ねることになるのかもしれなくて、それはかなり気が重かったが、好奇心のほうが勝った。
「はい、そうしてみます」
「わかりました。では紹介状を書きましょう。どこか希望の病院はありますか?」
そういわれても私にはとくに行ってみたい病院はなかった。
ただ、知識として、国立がん研究センターというような専門病院があることは知っていた。

医師から、がん研有明病院はどうでしょう? といわれたとき、正直いってがん研と国立ガン研究センターがちがう病院であることすらわかっていなかった。
しかし、ともかく専門病院でセカンドオピニオンを受けるというのは興味があったので、承知した。

担当医はすぐに、がん研有明病院の消化器外科宛に紹介状を書いてくれた。
多摩総合医療センターで受けた検査のデータがはいったCD-ROMも渡してくれた。

がん研有明病院には自分で電話をして、診察の予約をいれてから行ってくれ、ということだった。
しかし、有明病院に行く前に、私は思いがけず、もうひとつ別の病院でセカンドオピニオンを受けることになった。