2015年11月14日土曜日

聞き合うことに十分に時間を使う(アズワン探訪記その10)

現代社会において多くの人は、自分のことを「聞いて聞いて」「大事にして大事にして」「お願いお願い」と叫びつづけている。
なぜなら、十分に聞かれていないし、十分に大事にしてもらっていないし、十分にお願いを聞きとどけてもらっていないからだ。
だから、共感的コミュニケーションやNVC(=Nonviolent Communication/非暴力コミュニケーション)では、自分自身の声も含めお互いに十分に聞き合うためのスキルやプロセスを練習する。

わざわざそんなことをいわなくていい社会が存在している。
アズワンではお互いが十分に聞きあい、尊重しあい、また自分自身の声も深く聞くことができている。
いや、できていない人もいるのかもしれないが、もしそういう人がいたり、自分が十分に聞けていないと思ったときには、サイエンズスクールにコースが用意されていて、だれでも受講できる。

スクールを実際に受講したわけでないので、具体的にどんなことをやっているのか私にはわからないのだが、みなさんの説明によれば、「自分のことを十分に見る」「こころの動きやしくみを調べる」「自分と他人、社会との関係について真実を見られるように学ぶ」といったことがおこなわれているらしい。
すべての人にそのような学びと練習の機会が保証されているので、アズワンのメンバーはお互いに十分に聞き合う姿勢ができている。

今回の探訪で私たちのお世話をしてくれ、案内してくれたのは、スクールと併設されているサイエンズ研究所のメンバーの北川さんと弘子さんだったのだが、案内されている間も、一日の予定が終わって談話会や懇談会になってほかのメンバーが加わったときも、いつも十分に聞いてもらえている安心感があった。
十分に聞いてもらえ、また大事にしてもらえた感じがあった。

どんなことを話しても、最初から最後までしっかりと聞いてもらえる。
どんな質問をしても、正直に誠実に答えてもらえる。
わからないことはわからないと正直に、そしてアズワンの内情や実情についても数字を含めてなにも隠し立てすることなく正直に教えてもらえた。
また私たちについても興味を持って、丁寧に接してくれたこともありがたかった。
本当に居心地がよかった。
そして飲み会も楽しかったな。

私といっしょに写っている子どものような人はサイエンズ研究所の小野さんだ。
この人は年中こんな格好をしているらしい。
けっして暖かいとはいえない気候だったのに、最初から最後まで半袖半ズボンだったのにはおどろいた。
そして、言動もまったく少年みたいな人で、いっしょにいて楽しかった。
探訪を終え、帰路につくときは、本当に名残惜しく、寂しい気持ちになった。
(つづく)