2016年2月1日月曜日

映画:ギヴァー 記憶を注ぐ者

2014年のアメリカ映画(日本公開は2015年)。
ロイス・ノーリーのベストセラーSF小説が原作。

私は原作を読まないまま映画を観たのだが、よくあるように映画は原作の劣化版なのだろうか。
それとも原作に忠実なのだろうか。
私の経験では、映画が原作を超えることはごくまれなことだが、この映画はどうだろうか。

などとうだうだ書いているのは、私にとってこの映画はいまいちピシッと締まりを感じなかったからだ。
「SFは絵だ」という有名な言葉があるが、たしかに私の好きなSF映画は映像だけでぐっと来るものが多い。
「エイリアン」「2001年宇宙の旅」「ブレードランナー」「猿の惑星」などなど。
そういう意味では「ギヴァー」は心踊らされるSF的映像が生ぬるい感じを受けた。

映画というより、テレビシリーズのような作りに見えたのだ。
テレビドラマ時代の「スタートレック(宇宙大作戦)」みたいな。
いや、「スタートレック」自体はよくできたシリーズだと思うけれど。

ストーリーもこれがベストセラー小説なのか? と思えるようなとくにピリッとしたところのない、よくあるディストピアもので、ラストも説得力にかけるファンタジーに近いものだ。

私にとっては残念な映画だったが、キャストは豪華だ。
メリル・ストリープ、ジェフ・ブリッジス、テイラー・スウィフト。
主人公役の新人ふたりも将来有望な感じ。

こういう残念な映画を観たり、小説を読んだりするとき、私のような作り手にとってはひとつだけ大きなメリットがある。
完璧な作品を観せられてしまうと「とてもかなわない」と、へたすると落ちこんで終わり、なのだが、物足りない作品を観ると俄然、創作意欲がわいてくる。

そんなわけで、いま私は、二本ばかり長編小説を書きあげたくなっている。
SFではなくてNVC小説だけど。


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