それぞれ2004年、2007年公開です。
いわずと知れたジョージ・クルーニー演じる天才泥棒のダニー・オーシャンが、仲間たちと難解な盗みを働く、というシリーズです。
私はコン・ゲームと呼んでもいいこの手のクライムストーリーが昔は大好きで、その手の翻訳小説をさんざん読んだものです。
コン・ゲームの映画としては、テレビシリーズ「スパイ大作戦」から発生した「ミッション・インポシブルもそれにいれてもいいんじゃないかと思いますが、古いところではロバート・レッドフォードとポール・ニューマンが主演した「スティング」なんてのもありますね。
いい映画だったなあ。
小説ではジェフリー・アーチャー、ジャック・フィニィ、トニー・ケンリックあたりが有名ですが、私はとくにドナルド・E・ウェストレイクという人の「ドートマンダー・シリーズ」というのがユーモラスで大好きでした。
ウェストレイクは多作の人で、ほかにもリチャード・スタークとかタッカー・コウというペンネームでも書いていて、スターク名義では「悪党パーカー・シリーズ」という犯罪小説をたくさん書いています。
これもコン・ノベルとして大好きで、ドートマンダーとは違ってシリアスなタッチですが、ほとんど読破しました。
話がそれましたが、とにかく一見不可能に見える仕事を可能にしていく男たちの話、というのは痛快ですね。
「オーシャンズ11」の最初の話は、カジノの金庫に集まった現金をまるごといただくというもので、それこそ難攻不落なガードを破る不可能をどう可能にするかというスリルです。
ハリウッド映画なのに銃も殴りあいも出てこない作りになっています。
監督はベテランのスティーブン・ソダーバーグで、これだけの有名俳優陣をうまく取りまとめ、アクションなしで観客を最後まで引っ張る映画を作る腕はさすがといわざるをえません。
有名な監督作品としては「セックスと嘘とビデオテープ」「わが街 セントルイス」「エリン・ブロコビッチ」「チェ 28歳の革命/39歳 別れの手紙 」なんてのがあります。
「ソラリス」というリメイクのSF作品もあるんですが、これは私としてはちょっと……という感じですけどね。
ともあれ、ブラッド・ピット、マット・デイモン、ジュリア・ロバーツ、アンディ・ガリシア、ブルース・ウイリスといったそうそうたる俳優陣のネームバリューに頼るだけでなく、映画としてストーリーと豪華な絵でぐいぐいと持っていくのは、なかなか見応えがあります。
と思って、勢いで「12」と「13」もつづけて観たわけですが、やはり「11」が一番おもしろいんですね。
コン・ゲーム映画としてよくできているのは「11」だけです。
「12」は大泥棒同士の勝負、みたいな漫画チックな設定になっちゃってるし、「13」も傷つけられた仲間のための復讐ゲームみたいな設定で、肝心の仕掛けもちょっとリアリティを欠いてしまっている感があります。
そんなことをいえば、「11」だってリアリティを欠く仕掛けがないことはないんですけどね。
私としては、この手の映画は自分では「良質の暇つぶし映画」と呼んでおくことにしましょう。
なにかといそがしい現代人のなかで「暇つぶし」の必要がある人なんてほとんにいるのかな、という疑問はさて置くとして。
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