監督はジョナサン・ヘルバートという人だが、私は聞いたことなかった。
主演はマーガレット・クアリーという若手女優で、助演がアンソニー・マッキーというまあベテランといってもいい俳優だろう。
じつはこの映画、ほとんどこのふたりしか出てこない。
主人公サムの父親のダニー・ヒューストンがちょっとだけ出てくるが。
設定は最近よくある、そしてちょっと食傷気味の感がある、汚染されて人類が住めなくなった地球。
人類は新天地を求めて宇宙空間に旅立っており、わずかに残された人々も大気汚染などで生物が死に絶えた地球で死に瀕している。
主人公サムはそんな地球に残った少女で、それが邦題になっている。
映画はだれもいない街で、酸素マスクを装着した彼女が食料などを調達している場面からはじまる。
彼女の独白がつづく。
残っている理由や、すでに宇宙空間に旅立った恋人とのメールのやりとりなどが描写されるが、どこか裏がありそうな気配がただよう。
ほかにはだれも残っていないはずなのに、父親の講義録音テープを無線電波で毎日流しつづけている。
みつばちが出てくる。
汚染された環境に適応しつつあるのではないかというわずかな希望がある。
ほかにも豚の実験も出てくる。
しかし、希望はなさそうだ。
最後の宇宙へのシャトルが発射される時間が迫っているなか、突然、気球に乗った男がたどりつく。
彼はサムの父の博士をたずねてきたのだ。
そこから話は大きく展開していく……のだが、基本的に静かな映画だ。
たんたんとした描写がつづく。
荒涼とした風景と、CGで作りこまれた廃墟。
この静かさは、どこか「インターステラー」や「メッセージ」と通じるものがある。
悪くない。
私はきらいではない。
あまり救いのない映画ではあるが。