2019年2月9日土曜日

私の音楽歴——いかにして即興ピアニストになったか(36/最終回)

現代朗読、そこから派生した音読療法、それらのベースになっているマインドフルネス、NVC、音楽瞑想。
そして6年前からはじめた中国伝統武術の流れをくむ韓氏意拳。
これらが有機的に相互に関わりあって、いまの私の健康生活と表現活動の全体性をうまく作ってくれている。

小説家・作家として書くこと。
それを朗読者に読んでもらうこと。
それを身体表現としてとらえ、演出すること。
ピアノやキーボードによる即興演奏で、そのライブ表現に関わること。
健康を心がけ、心身を整え、いきいきとした表現活動をおこなうための音読療法と武術。

武術は密度の濃いマインドフルネスの鍛錬の時間でもあるが、それはスポーツ医学でいうところのフローやゾーンの練習でもある。
それより密度は薄いが、日常的なマインドフルネスの練習の時間として、このところ編物にはまっている。
これは「いまこの瞬間の自分自身」につながりながら、同時にまわりにも気づきつづける練習になる。
またその自然な身体性は人の話を共感的に聴くことにも向いている。

日本みつばちの活動もある(羽根木みつばち部)。
みつばちという生き物を育てるという楽しみもあるが、そこから見えてくる自然の姿や人が関与している環境の問題がある。
みつばちと関わっていると、人による環境汚染は切実な問題として立ちはだかってくる。

日本みつばちを通して環境問題と、音読療法を通して社会問題や社会貢献活動を、執筆や演奏によって表現活動を。
いまの私はこのようなバランスの上に立っている。

人はだれしも、いつしか老い、その活動も終息していくものだが、いまはまだやれているし、かつてできなかったことがまだまだどんどんやれていっている、まだ成長の途中だという感覚がある。
身体的にも自分がどこまでやれて、なにができないのか、そしてそのできないことはどうすればどこまでできるようになるのか、可能性の明確さがわかるようになってきている。

即興演奏をするとき、いまこの瞬間の自分自身に好奇心を向けることが大切だが、それとまったくおなじことが生活そのものについてもいえる。
人生の目的を問われると、人はさまざまな答えを持っているだろうが、私のいまの答えはこうだ。

この瞬間を味わうこと、生きているプロセスそのものを楽しむこと、それが私の人生の目的です、と。
(おわり)