アレクサンダーテクニークを知ったほぼ同時期に、マインドフルネスということばを知ることになった。
NHKラジオを聴いていて、偶然、ティク・ナット・ハンという人の著書を紹介していたのだ。
そのなかで、マインドフル、マインドフルネス、ということばが出てきた。
ティク・ナット・ハンという人がおこなってきた「行動する仏教」や、ベトナムの反戦運動にかかわり、現在はフランスでサンガを開いているという経歴も興味がわいた。
さっそくラジオで紹介されていた本を買って、読んでみた。
そこに書かれていたマインドフルネスの考え方は、朗読や音楽演奏を身体表現と結びつけて考え初めていた私にとてもしっくりきた。
いまこの瞬間を生きる、いまこの瞬間の自分自身とまわりのことに気づきつづけている状態、まさにそのようないきいきした状態で表現すること。
書かれているテキストの内容とらわれたり、だれかから教わったりルールを押しつけられて「こう読まなければならない」と思いこんでいたりすることから自由になり、マインドフルでのびのびとした自分の存在そのものを、瞬間瞬間表現していくこと。
アレクサンダーテクニークが教える身体の癖から自由になり、本来ののびやかさを取りもどすことと、マインドフルネスは、身体表現においてとても重要で必要なものだと直感的に思った。
朗読だけでなく、音楽演奏においても、私はマインドフルネスや身体の気づきを積極的に取りいれていった。
音楽演奏において重要な転機がおとずれたのは、まさにその直後のことだった。
2003年から4年にかけてのころだったと思う。
朗読表現の研究とは別に、自分自身の音楽活動として、地下スタジオで定期的にピアノ演奏のライブを毎月のようにおこなっていた。