1997年公開、アメリカ映画。
主演はブラッド・ピットとハリソン・フォード。
とくれば、私の好物の「お金のかかったバカ映画」のにおいがプンプンする(笑)。
と予想して、わくわくしながら観はじめたのだが、「バカ」とジャッジをくだすには微妙だった。
まず、テーマというか設定がかなりシリアス。
ブラピは指名手配中のIRAの大物工作員で、もう何人も殺しているやり手だが、まだ一度も臭い飯を食ったことがない。
彼は幼少時に、漁師でありながらIRAのシンパだった父親を、家族の面前でイギリス兵にぶち殺されたという過去を背負っていて、自分の危険をかえりみない復讐心に燃えている。
そんな彼はヘリコプターを撃ち落とせるスティンガーミサイルを入手するために、(なぜか)ニューヨークに乗りこみ、IRAのシンパであることを隠してIRAのために資金調達に動いている判事の紹介で、ごく普通のまじめな警察官の家に下宿することになる。
その実直な警察官がハリソン・フォード。
フォードの側にもストーリーがあり、相棒があやまってこそ泥を撃ち殺してしまったり、思春期の娘たちに手を焼いていたりする。
そこへブラピがやってきて、はじめは平和なのだが、プラピのミサイル取引のトラブルからフォード一家にも危険が及んでくる……
という、後半はそれやりに錯綜したストーリー展開になっていく。
せっかくの練られた設定とストーリーにもかかわらず、映画的というか、興行収入のためというか、カーアクションとか銃撃戦とか、無駄な殴り合いとか爆破シーンとか、それがけっこう映画のクオリティを台無しにしているというのは私の個人的感想なのだが、そもそもそういうお金のかかったバカシーンをこちらはなんの痛手も感じずにお茶の間で無責任に楽しんでいることも確かで、きっと作り手の現場ではいろいろと大変なこともあったに違いない、どんな映画であれ最終的一本の作品としてまとめあげられて私たちのところに届けられる形にしてくれてありがとう、というのが私の正直な気分なのである。
あ、そうそう。
ブラピにかんしてひとつ気づいたことがあって、彼は感情が微妙なシーンになると、意識的なのかそうでないのかわからないけれど、口をひらいてわずかに頭を揺らす癖がある。
癖なのか、ねらってやっているのか、それはわからない。
ひょっとして、アレクサンダーテクニークを駆使しているのかもしれない。
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