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人は外部からストレスを受けると、反射的に対応しようとする。
思考する余地もなく、反射的に身体が反応する。
防衛反応である。
横断歩道を歩いていて、マナーの悪い車が突っこんできてあやうくぶつかりそうになったとき、反射的に身構え、自分を守ろうとする。
そのとき、身体のなかではどんなことが起こっているだろうか。
筋肉が収縮する。
動悸がたかまる。
体温が上昇する。
血圧が高くなる。
呼吸が浅くすばやくなる。
つまり、交感神経が瞬時に昂進してこのような反応が起こっている。
これだけならなんの問題もないし、生命維持のためには必要な反応だ。
問題は、人は大脳が発達し、思考や記憶や想像力を持っている、また社会性を持っているということからやってくる。
ストレスは「車にぶつかる」といった物理的なものだけではない。
職場で上司に叱責されたとか、友人やパートナーと喧嘩したとか、ひと前で恥をかいた、といったことも精神的なストレスとなってふりかかる。
精神的なストレスを受けたときもまた、人は防衛反応として交感神経を昂進させてしまうのだ。
つまり、それが物理的であろうが精神的であろうが、なんらかのストレスがかかると区別することなく交感神経が昂進する。
精神的ストレスを受けたときも、やはり動悸がたかまったり、呼吸が浅くなるのを感じるだろう。
人がかかえる問題は、さらにそのストレスの原因を「記憶する」というところにある。
物理的ストレスであれ精神的ストレスであれ、それを受ける原因になったできごとをいつまでも記憶し、そして思いだす。
思い出すことによってまた精神的ストレスが反復されるし、またおなじことが起こるんじゃないかと想像することによって、あらたな精神的ストレスを生むことになる。
そのたびに活動・消耗の神経である交感神経が昂進してしまう。
ストレス記憶からのがれられず、思い出しつづけてしまうことを「反芻思考」と呼ぶが、反芻思考を断ち切れず心身が消耗しきってしまう状態を「うつ」という。
この対処法としては、反芻思考を断ち切るすべを身につけることがもっとも有効で、音読療法もその手段のひとつとして有効である。
反芻思考はうつを呼ぶばかりでなく、あまりに強烈なストレス記憶の場合、それ記憶自体を「忘れよう」として記憶の奥底にしまいこんでしまう、ということが起こる。
そうなった記憶のことを心的外傷《トラウマ》と呼ぶ。
なにかものごとが起きたり、ある場所に行ったり、だれかに会ったりしたとき、自分では意識できないなにか不安な気分になったり、パニック症状があらわれたりすることがあるが、トラウマで原因であることが多い。
こういうときにも、いちはやく前兆をとらえて音読療法の手法で自分を落ち着かせることで、症状からのがれることができる。
音読療法は手軽で優れた「ストレスマネジメント」の方法であるともいえる。
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