いつものように、最初はゼミ生の近況や最近の気づきについて共感的に聞く。
この「共感的に聞く」というのは、表現を学ぶ場において非常に重要な態度だ。
お互いに共感し、尊重しあった関係でなければ、批判したり避難したり比較したり競争したりといういわば暴力的な関係が生まれ、安心してのびやかに表現できない。
萎縮したり自分の外側の基準をあれこれ計算しておこなう表現は、純粋ではないし、また自分の能力をのばすことを著しく阻害する。
現代朗読協会における私のもっとも重要な役割は、この場作りであったと思っている。
その意味では、私はすでにひと役終えたといえる。
27日のゼミを見ていてもそのことがわかる。
これからは私がいなくてもゼミは存続するだろうし、ゼミ生たちはみずから成長していけるだろう。
これからは私は自分自身のことをもっと丁寧にやらなければと思っている。
私は自分自身にまったく信頼がおけない。
というより、信頼がおける部分と信頼がおけない部分がごちゃまぜになっていて、自分でも相当混乱している。
この混乱の糸をすこしずつ解きほぐし、丁寧にからまりをほどいていく作業が、いま自分には一番必要なことだと感じている。
そのためには、自分という孤島に帰って、自分と向かい合うという孤独な作業が必要だ。
さいわい、私には「ものを書く」「音楽を演奏する」という作業手段を持っている。
最後の基礎ゼミの後半は、現代朗読の基礎トレーニング、そして参加者各自がやりたいことを自由に表現してもらった。
残れる人は残って、近所のパン屋でパンを買ってきて、いっしょに昼食。
新年は2015年1月8日(木)からゼミがスタートする。
いつでも体験参加ができるので、興味のある方はこちらをどうぞ。