ニーズは観念やイメージ、思考の産物ではないということだ。
これはとても重要なポイントで、論理的な理解が容易なNVCの学習者がおちいりやすい罠でもある。
思考や観念的なイメージで「自分のニーズはこれだな」と言語化できてしまうのだが、本当にそれがリアルな身体的実感とつながっているのかどうか、つまり自分自身へのリアルな共感としてあるものなのかどうかを見極める必要がある。
とはいえ、人は社会的な存在でもあり、現代文明という極度に人工化された空間と社会システムを生きている。
「いまこの瞬間」の生命存在の必要性から発展し、延長されたさまざまな社会化されたニーズもまた、人の行動を決定し、いきいきさせることも事実だ。
自分のニーズがどのレベルにあるのかを見極め、分けてとらえるために、「遠景のニーズ」「近景のニーズ」「体景のニーズ」という定義を提案しておきたい。
「遠景のニーズ」
とは、自分がこうありたい、こういうことを大切にしている、このような世界を生きることを望んでいる、人間関係や社会システムや環境がこのようになっていくことを大事にしている、というようなことだ。
「近景のニーズ」
とは、いますぐではないけれどこれはいずれ実現したい、学んだり身につけたりしてこんなことができるようになりたい、近いうちにここに行ってみたい、こんな楽しいことをやってみたい、というようなことだ。
体景は造語だが、体感覚がしめす「いまこの瞬間」のニーズのことで、空腹を満たしたい、安全を確保したい、知りたい、つながりたい、清潔でいたい、そういったことを「体景のニーズ」ということにする。
このプラクティスではそれぞれのニーズについてタイムスパンを設定して、自分の行動や将来的なありかたを記述し、そこにあるニーズを明確に押さえてみることを試みる。
時間軸のなかで変化するニーズを明確にしておくことで、自分の進みたい方向がはっきりしたり、いまこの瞬間の選択肢がクリアになったりするだろう。
(以下、具体的なプラクティスにつづく)
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