ピアノを弾いたり、個人セッションをおこなったり、ワークショップや勉強会をファシリテートしている以外のときは、ほとんどがコンピューターに向かっているといってもいい。
コンピューターでは音声や動画編集、ネット作業などもするが、メインは文字入力——つまり文章執筆といっていい。
毎日、大量の文章をタイプする。
はっきりいって、好きでやっている。
中毒といってもいいくらいだ。
ものを書けない日があったりすると、いちじるしくストレスがたまる。
うんこしたいのにトイレをがまんしているような感じになる(たとえが尾籠で申し訳ない)。
いや、文章がうんこだといっているわけではないよ(結果的にそのように評価《ジャッジ》されることはあるにせよ)。
タイピングは速い。
なにしろピアニストだからね。
もちろんブラインドタッチだが、かな入力モードで打っている。
それなのに、変態的といわれるが、キーボードはUS配列でカナは印字されていない(だれも私のコンピューターを使うことはできない)。
かつてのデスクトップやMacBookはごついキーボードを装備していて、そのタッチやストロークにこだわる人も多かった。
私も打ち心地には気を使っていたが、MacBookProがメインマシンになり、それが年々薄く軽く高性能になっていくにつれ、そちらに合わせるようになってしまった(昔のMacBookProのキーはごつくてしっかりしていた)。
つまり、キーの打ち心地より、マシン性能と持ち運びやすさ、そしてかっこよさを優先するようになってしまったのだ。
最近、自分のタイピングが以前のようにストレスレスではないことに気がついた。
ミスタイプが多いし、スピードも遅くなっている。
時々いらいらする。
これはいかんということで、キーボードを外付けにしてみてはどうかということを検討しはじめた。
アップルにはiMacで使うための純正のブルートゥースキーボードがある。
マジックキーボードという。
iMacを所有してそれでオーディオブックの収録をおこなっていたときは使っていた。
その使い勝手はよくわかっている。
やはりストロークが浅くて使いにくいのだ(薄くてかっこいいけど)。
最近のMacBookProのキーボードとあまり変わらない。
純正ではないメーカーの外付けBluetoothキーボードを家電量販店で触ってみた。
たとえばエレコムとかロジクールといったメーカーのものがある。
ストロークが深くてしっかりしているものは大きくて重い。
とても持ち運べるものではない。
小さくて軽く持ち運びやすいものは、ストロークが浅かったりキーピッチが狭かったりして打ちにくい。
どれも帯に短したすきに長し、なのだ。
そして安いものはそれなりに安っぽい、ペタペタ、ふにゃふにゃと頼りない感じがする。
これ、というものにはついに出会えていない。
キー入力にはストレスがあるが、音声入力はかなり使えるようになってきている。
こちらは慣れれば本当にさくさくとすばやくものを書くことができる。
ただし、人がいる場所では使えない。
部屋でひとり、声を出せる場所なら、これはなかなかいいのだが。
ただし、小説のような身体性をもって集中するような執筆作業において、これまでつちかってきたカナキー入力という手段からおいそれと音声入力に移行できるものなのかどうか、が問題。
原稿用紙に手書き、から、ワープロのキー入力への移行だって大騒ぎだったのだから。