2010年製作のイギリス映画。
監督はギャレス・エドワーズ。
この映画で一番びっくりするのは、製作費が1万5千ドルだったということ。
150万円くらい?
え、それって、ありえないでしょ?
たしかにチープな部分はあるけど、それほどの低予算にはとても思えません。
それほど迫力のある映像が作られています。
監督のギャレス・エドワーズはこの映画のあと、ハリウッド映画の監督に抜擢されています。
監督についていろいろ調べてみると、どうやら、なにもかも自分ひとりでやってみたいワンマン製作者らしいのです。
もともとはテレビシリーズの特殊視覚効果の専門家で、2008年のBBC製作の大河ドラマ「ウォリアーズ」では、監督しながら250もの視覚効果をすべて自分ひとりでおこなったという、とんでもないハードワーカーのようです。
「モンスターズ」はそんな彼の初の長編監督作品で、とても150万円で作られたとは思えないようなクオリティがあります。
SF映画としては異例の低予算なので、当然、物足りない部分はありますが、よくこの予算内でこれだけのものを作ったな、という感嘆のほうが大きいのです。
舞台はメキシコで、宇宙から飛来した謎の巨大生物を封じこめるために、メキシコの大半が封鎖地帯になっています。
アメリカ空軍が飛来して、空爆をおこなっているため、宇宙生物のせいというより空爆で多くの民間人が犠牲になっています。
主人公はカメラマンで、スクープをねらって来ているんですが、その新聞社のオーナーの娘を安全地帯まで護送するハメになってしまいます。
飛行機に乗りそびれたため、危険な陸路を行くふたり。
極限の緊張とさまざまな危険が襲いかかってきます。
宇宙生物はわずかしか顔を出しません。
予算のせいでしょうね。
最後のほうでは全身を見せて暴れるシーンもありますが、はっきりいって陳腐です。
いまどきタコ型宇宙人って……
しかし、その陳腐さをおぎなってあまりある、よくできた映画です。
オーナーの娘・サマンサ役のホイットニー・エイブルが、なにげない女優でありながら、けっこうハマリ役というか、好感が持てます。
主役の男優も悪くないですね。
ただ、このふたりの中途半端なラブストーリー的な展開は、もうちょっと詰めようがあったんじゃないかな、と小説家としては思ってしまいますが。
ともあれ、拾いものの映画で、1時間半を楽しませていただきました。
あ、音楽もなかなかよかったです。
ジョン・ホプキンスという人で、エレクトロニカの人みたいですね。
【メールマガジン「水マガ」毎日配信中】
水城ゆうの現在の活動にかかわるすべてのものについて、テキストコンテンツとして毎日配信するメールマガジンの登録はこちら。