三日目の6月21日。
この日のハイライトは、なんといってもカヌーでの釧路川源流下りだ。
トシちゃんの知り合いの〈ナヌーク〉橋田夫妻にガイドしてもらって、まずは屈斜路湖から釧路川が流れだしているところに行く。
湖でしばらくカヌーに慣れたあと、いよいよ釧路川を下っていく。
カヌーはカナディアンカヌーで、FRP製のものだ。
私は学生時代からヨットに乗っていて、この手の小舟もそこそこ慣れているのだが、今回は橋田さんにすべてお任せして自分は楽することにした。
カヌーをあやつることも楽しいのだが、それより源流の自然をしっかりと味わうことにしたのだ。
湖からいよいよ源流をくだっていく。
水量は思ったより多く、流れもそこそこ速い。
とくに川幅が狭くなっているところでは、とうとうと流れている。
川底にウグイが群れて、真っ黒にうごめいているのが見える。
カヌーの川下りは、水面すれすれの目線で岸辺や森の風景と一体化しながら移動していくのが醍醐味だ。
水の音、木々の葉ずれ、鳥の鳴き声、そして信頼できる仲間と交わすことば。
橋田さんはガイド歴20年ということで、私の質問にも適確に答えてくれて、好奇心がたくさん満たされた。
そういえば、前日の夜は、橋田さん夫妻のお子さんたちと群読遊びをやったのだった。
たっぷり釧路川を堪能したあとは、〈丸木舟〉というアイヌ料理の店で昼食。
鹿肉の丼などをいただいた。
この日のもうひとつのハイライトは、弟子屈町立和琴小学校での表現教室。
トシちゃんが毎月やっているものだが、今回私と野々宮が行くというので、朗読パフォーマンスを子どもたちに体験してもらう時間を作ってくれたのだ。
全校生徒が12人、教職員もみんな体育館に集まって、ピアノと朗読で「沈黙の朗読」を体験してもらおうと思いたち、やってみることにした。
小学生相手に「沈黙」をやったことはなく、チャレンジだったが、予想どおりみんな集中して参加してくれて、私たちも大いに楽しませてもらった。
パフォーマンスのあとのトシちゃんの表現遊びにも、即興演奏で加わって、一番楽しかったのは私だったかもしれない。
最後は更科源蔵作詞の校歌をみんなで歌ってくれた。
楽譜があったので、私が臨時に伴奏させていただいた。
そのあと、砂湯に行ったり、川湯に移動して足湯を楽しんだり。
この日から宿が変わって、川湯温泉のホテル川湯パークになったのだった。
チェックインして、夜は近くの〈すずめ食堂〉で共感カフェ。
トシちゃんが毎月、弟子屈で共感的コミュニケーションの勉強会を開催しているのだが、今回は私たちも参加することになった。
ナヌークの橋田さんとお子さんも来てくれた。
弟子屈のみなさんとNVCについて話したり、練習したりしたのだが、とくに私は文学者でもある木村和史さんとゆっくり話ができてうれしかった。
木村さんは弟子屈で自宅を自力建築中とのことで、ものを書くことのほかにもいろいろと楽しい話を聞かせてもらえた。
共感カフェのあとは、近くの居酒屋に移動して、みんなで飲み食いしながら、楽しく語りあったのはいうまでもない。