2017年2月22日水曜日

「自分につながるテキストライティング・ワークショップ」が終了

「自分につながるテキストライティング・ワークショップ」が終了しました。
年末に「自分につながる」シリーズの5回連続講座のひとつとしておこなったものを受けて、テキストライティングに切り口を絞りこんだ半日ワークショップを初めて開催したものです。

午前10時から午後4時すぎまでの長丁場、と思いきや、あっという間に楽しい時間はすぎました。
参加者のみなさんとつながりを感じながらのクリエイティブで濃密な時間でした。

なにかを書いて自分を表現する、人に伝える、という行為は、もちろんことばを使います。
そしてことばは、社会的な記号です。
あるものごとにたいして共通に認識したり理解するために必要なツールといってもいいでしょう。
その共通記号を用いておこなう表現にオリジナリティというものが存在しうるのか。
存在するとしたら、それはどのような要素によって担保されるのか。
またそこれはどのようなアプローチで獲得できるのか。

参加のみなさんにはさまざまなテキストエチュードに挑戦してもらったんですが、そのいずれも、ことばという社会共通記号をもちいながらも、自分自身の内面と向かい合うワークになったようです。
ことばという道具は、外向きに使うこともできますが、内側を見ることにも使えるのです。
外向きに使うとき、それは社会的評価や他人からの理解、認知を予測し、計算し、たくらみながら書くことになりますが(それはしばしば失敗します)、内側を見ることに使うとき、ときに予想外の自分自身の姿があらわれたり、いきいきとした自分のニーズが見えたりすることがあります。

私のように日常的に、職業的にものを書く人間だけでなく、どなたも毎日「書く」という 行為を他人の評価ではなく自分自身と向かい合う時間としてすごすとき、なにか有意義でわくわくするものが見えてくる可能性があります。

ワークショップではテキストの機能別に分けた描写や叙述の練習、感覚記述の練習、比喩のエチュード、聞き取りのエチュード、大きなものがたりの冒頭と結末を作る練習など、いくつもの練習をしましたが、私の30年以上にわたる執筆活動で得たさまざまな知見・経験をみなさんにシェアしたり、いっしょにワークできたのが楽しかったのです。

そして、テキストで共感するということについてのトライアルもやりました。
ネットの2チャンネルでのシビアなやりとり、ツッコミを読んで、それを共感的なことばに翻訳して書き手のニーズを受け取る、という練習です。
やってみてわかったのは、これはネットでのトラブルを避ける方法として役に立つけれど、それ以上に表現するこちら側にいる自分自身を守ることにも有効だ、ということでした。
自分自身を守ることができて、トラブルをおそれる気持ちが少なくなれば、よりのびやかに、無防備に表現できるようになりますし、そのことが書き手の能力を最大限発揮することに役に立つのですか。

付き合ってくれたみなさん、ありがとう!
次回のテキストWSは3月11日(土)に開催します。
興味のある方はこちらをどうぞ。