監督はマイケル・マン。
主演はトム・クルーズということになっているけれど、実質的にはジェイミー・フォックスでしょう。
でも、トム・クルーズもいい演技してますよ。
おそろしいほどの冷徹な悪役を演じてます。
後半のほうでは精神に破綻をきたしているようすが、刻々とあらわれてきます。
ジェイミー・フォックスはごくありふれた、善良な、しかし善良ゆえに入院中の母親には嘘をついているタクシー運転手役を好演しています。
映画の最初に女性検事を客として乗せるんですが、そこでのひょんな会話から、彼女から名刺をもらいます。
タクシードライバーと検事、この接点のなさそうなふたりが、映画の後半では予想外の展開を見せていきます。
なかなかよくできたストーリーで、ちょっとご都合主義的な面がないとはいわないけれど、サスペンス映画としては成功しているでしょう。
途中、ふらりとはいった(ように見える)ジャズクラブでは、オーナーがマイルス・デイビスに心酔していて、そのマイルスが店にやってきたときのエピソードを楽しげに話したりします。
その店でおこなわれているライブは、本物のマイルスの音源だったりするのが、ちょっと笑えますが。
しかし、この場面でも意外な展開があって、観客は肝を冷やします。
とにかく、なにが起こるのか、どうなるのか予想がつかない展開で、実際に予想外のことが次々と起こって、サスペンス映画の醍醐味がけっこう味わえるのです。
と思って、監督を見れば、マイケル・マンはこの作品のほかに「アリ」「インサイダー」「マイアミ・バイス」「ハンコック」などに関わったベテランではないですか。
さもありなん。
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