第2巻は4月から6月までの毎日の練習やコメントが書かれています。
ぜひご利用ください。
その「まえがき」の部分を紹介します。
(まえがき、ここから)
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マインドフルネスの練習に役立つ練習帳の第二弾をお送りします。本書は四月から六月の三か月間、毎日練習ができるように書かれています。
さて、マインドフルネスですが、私にとってどのように役立っているか、ちょっとだけご紹介しましょう。
私はピアノを弾いたり、小説を書いたり、といった表現の世界に関わっている人間ですが、表現行為にとってマインドフルネスは非常に重要な影響があります。
人――に限りませんが――はだれもが、いまこの瞬間を生きています。過去でも現在でもありません。しかし、人には記憶力や思考能力があります。いまこの瞬間起こっていることを、脳が記録し、そしてそれを思いかえすということができます――というよりやってしまいます。
また、まだ起こってもいないことをあれこれ想像することもできます。また、いまここではない、どこか別のところで起こっているかもしれないことを妄想したりします。
脳がそういったことをやっているとき、人はいまこの瞬間を充分には認識していません。いわば「ここにいない」状態にあるのです。
しかし、表現行為においては、いまここにいるいきいきした自分自身の生命の働きを伝えたいのです。心ここにあらず、といった状態でなにかを表現したくないのです。あるいは、何度も何百回も練習したことをただ機械的に再現することをもって「表現」といいたくはないのです。
まさにマインドフルネスであるなかで、表現行為をおこないたいのです。
表現行為にかぎらず、生活でも仕事でもコミュニケーションでも、いまこの瞬間の自分自身につながり、気づきつづけているいきいきした状態でいたいのです。
これはしかし、人間という生き物に生まれてしまった以上、宿命的にむずかしい側面を持っています。つまり、意識して練習しなければなかなかできるようにならない、ということです。
太古の昔から人々はそのことを知っていて、さまざまにいまこの瞬間の自分につながる方法を試してきました。さいわい、現代においては、それらの方法を知ることができます。もっとも、知ったところでそれができるかどうかは別問題ですが。
いずれにしても、マインドフルネスの練習をする準備は、いつでもだれでも整っています。この本もそのひとつの方法です。
よかったら一緒に、毎日少しずつ練習してみませんか。なにかが変わるかもしれません。
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(まえがき、ここまで)