2017年1月30日月曜日

映画:レイ

2004年制作のアメリカ映画。
この映画の主人公レイ・チャールズは同年に他界しています。

レイ・チャールズの伝記映画ですが、レイ役を俳優のジェイミー・フォックスが演じてます。
ジェイミー・フォックスは同年公開された「コラテラル」という映画でアカデミー助演男優賞にノミネートされましたが、「コラテラル」は実質的に主演でしたね。
主演はトム・クルーズとクレジットされているけれど、興行的な事情でそうされているだけでしょう。

で、この「レイ」でジェイミー・フォックスはアカデミー主演男優賞、ゴールデングローブ主演男優賞、英国アカデミー主演男優賞をとっていて、むくわれたといっていいでしょう。
そのような外部評価を確認しなくても、観ればたしかにいい映画です。

まずは複雑さがあります。
レイ・チャールズというミュージシャンの複雑さがうまく表現されています。
黒人で盲目というハンディを背負いながらも、音楽的才能にめぐまれて成功していく。
でも、幼時のトラウマがあったり、関係者との確執があったり、なにより女性関係や薬物依存のどうしようもない「クズ男」ぶりも、よくぞここまで描いたなというほど描きこまれています。
そしてその複雑さを、ジェイミー・フォックスが巧妙に演じています。

このあと、たまたま「コラテラル」も観たんですが(後日レビューします)、個人の不安定さや弱々しさや、開きなおったときに現れる強靭さを表現できる、なかなかの俳優です。

ストーリーというか、実話にもとづいた話ですが、レイのサクセスストーリーであると同時に、苦悩と矛盾に満ちた道のりを描いてもいます。
音楽はレイ・チャールズはもちろんですが、ベテランのクレイグ・アームストロングが担当していて、なかなかすばらしいです。
ミュージシャンの伝記映画で音楽を担当するというのは、なかなか難しい挑戦だと思いますが、そこはさすがにベテランです。
そんなあたりも見所かと思います。

観終わったあと、ミュージシャンを含む表現者の人生って、いったいなんだろうなとかんがえさせられるものがあります。
表現者はなんのために表現するのか。
なんのために生きているのか。
あるいは、人はなぜ表現するのか。

いずれにしても死ぬわけです。
レイ・チャールズも死んで13年が経ちました。
私のなかにはレイはまだ生きているような感じがします。
その私も、いずれは死にます。

水城ゆう音楽レッスン@世田谷東北沢(2.26)
2月26日(日)夜、ピアノ付きの音楽室で音楽レッスンをおこないます。13:00から30分単位で、7コマのレッスンを受け付けます。グループレッスンも歓迎。ピアノ、歌、即興、アレンジなど、どうぞチャレンジしてみてください。