暮れから正月にかけて、ちょこちょこと何本か観たので(といっても映画館ではなく)、感想を書きのこしておく。
「英国王のスピーチ」は2010年公開のイギリス映画。
メジャーな映画賞をいくつもとったり、ノミネートされたりして、かなり話題になったらしいが、私は全然知らなかった。
かるい気持ちで見始めたら、あれあれ、おもしろいじゃないの。
ハリウッド映画にはないイギリス映画特有のくすぐりがあちこちに出てきて、それが鼻につく人は気持ちわるいだろう。
私もどちらかというと苦手だが、この映画は「実話にもとづいた歴史映画」というふりをした壮大なくすぐりだと私は思った。
それにしても、舞台演劇の歴史があるイギリスの俳優は、演技の奥が深く、さすがだ。
ジョージ6世の言語指導をする教師が、私はてっきりアレクサンダーテクニークの人だと最初は思ったけれど、ちがった。
しかし、役者たちはまちがいなく、アレクサンダーテクニークを用いて演技表現をしている。
これはハリウッド俳優もおなじことだが。
きまじめなふりをしているが、ようするに「吃音治療」の話なのだ。
それがたまたま英国王だというから話がおもしろくなる。
ただそれだけのことだ。
ただそれだけのことでこれだけの映画を成立させてしまっている監督トム・フーパーは、なかなかたいしたものだと認めざるをえない。
主演のコリン・ファースもいいが、エリザベス役のヘレナ・ボナム=カーターもなかなかよかった。
暮れのひとときを楽しませてもらった。