2020年1月23日木曜日

ひよめき塾でやっているエチュード紹介

ひよめき塾の機関誌『HiYoMeKi』の第7号が無事に発刊された。
アマゾンKindleで無料ダウンロードキャンペーン中なので、この機会にぜひ読んでみてほしい。

これでひとまず、ひよめき塾が昨年再開されたメインの目的が達成されたわけだが、ひよめき塾の集まりは年があけてもまだつづいている。
ありがたいことだ。
となると、私にもちょっと欲が出てきた。

再開ひよめき塾は、毎回、「お題」を出し、それに沿った掌編を提出してもらって、その講評をする、という進めかたをしてきたが、かつては作品講評だけでなく練習問題(エチュード)もやっていた。
私が課題を出し、その場の短時間でみんなに文章を書いてもらい、それを題材にテキスト表現について検証するのだ。

エチュードは小説を書くための基本的なテクニックを扱うこともあれば、文体や身体性、無意識の問題といった抽象的で本質的なものを扱うこともある。
これまでは思いつきでエチュードを出題していたが、ひょっとしてある程度系統立てた、ひよめき塾ならではの学びに通じるエチュード体系のようなものを作れるかもしれない。
塾生が書いた回答とそれについての検証も含めて、記録として残せるかもしれない、とかんがえている。

前回のエチュードはこういうものだった。

駅のホームのベンチにひとりの少女が座っている。
そのようすの「描写」のみで彼女の生活背景をどれだけ読者に伝えられるかどうか、書いてみること。
(制限:200以内、10分)

いうまでもなく「描写」の練習なのだが、みんなにやってもらって明らかになったのは、「描写」と「叙述」の違いについてかなり曖昧にとらえている人が多い、ということだ。
現代小説や現代テキストにおいて、描写と叙述を切りわけることは非常に重要だとかんがえている。
叙述——自分の考えやジャッジを含む——から純粋な描写を切りわけることは、自分自身の思考過程を知ることでもあり、書き手にとっては大変重要な練習なのだ。

もちろんそんなことは学校では教えてくれないし、多くに小説講座でも教わらないだろう。
ひよめき塾ならではの重要なテキスト表現についての重要な体系を、まとめられるだけまとめておきたいと思っている。

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