2020年1月20日月曜日

現代朗読ゼミという幸福な時間

私の末期ガンの進行がこの先どうなるかわからないので、私がやっていることでだれかに伝え、渡していけることは、できるだけそうしていこうと思っているのだが、そのひとつに現代朗読の基礎練習と群読エチュードの練習がある。

昨日のゼミでは、野々宮卯妙に基礎練習の進行をやってもらった。
現代朗読の基礎練習は、朗読という「音声表現/身体表現」のクオリティとオリジナリティを各自がアップしていけるように、身体を見る、呼吸を観察する、自分の声を聞く、自分が受け取っていることに気づく、身体全体を働かせる、ということをやる。
そのためのシンプルな練習方法が用意されている。

従来の朗読の練習法とはまったくちがっているので、「朗読」というイメージをもって参加した人は、最初はとてもとまどうことだろう。
が、現代朗読がめざしている方向性を理解した人は、その有効性がわかるはずだ。
自分自身を知る、というそのシンプルな練習方法がどんどん楽しくなってくる。

練習のやりかたとチェックポイントを押さえている人なら、私でなくてもだれでも世話人をつとめることができる。
昨日は野々宮にやってもらったが、これからはゼミ生に持ち回りでやってもらってもいいかもしれない。

昨日はそうやってみんなが自主的に基礎練習をやっている横で、私はパソコンに向かって気づいたことを書いたり、ときには確認するための質問に応じたりしながら、リラックスしてすごしていた。

それがとても幸せな時間だったのだ。

共感的で安心できる場でみんながのびのびと自主的に練習している横で、私は私の好きなことをする。
おなじ時間と空間を共有しながら、それぞれが自分の自由を持ちつつ、同時につながりやおなじ目的に向かって自発的に動いている。
なんて居心地がよく、そしてインスピレーションに満ちた場と時間なんだろう。
私はきっと、この瞬間をめざして、これまでの十数年を積みあげてきたにちがいない、と思えるほどの豊かな時間だ。
これがずっとつづけばいいのに。

いや、これはずっとつづけたい。
ここに私にいてもいなくても、これがつづいてくれることが私にとって幸福なことなのだ。
ゼミ生のみんなと参加してくれる人には、心から感謝している。

ゼミ生が個人レッスンを受けるタイミングで臨時の現代朗読ゼミを開催します。身体表現あるいは音楽としての朗読を楽しみましょう。1月25(土)10時半から約2時間。