2019年12月9日月曜日

みんなの現代朗読

墨田区の教育支援プログラムへの協力として、ジュニアリーダーの中高生たちに現代朗読協会として音読指導をおこなってきた。
サポート参加してくれたリヒトくんがその帰り道に、
「現代朗読ゼミにもっと人が集うといいな」
といってくれた。

現代朗読では月に数回のチャンスを作って、ゼミ生を中心に現代朗読の練習や表現の研究ができる朗読ゼミという場をひらいている。
これは10年以上つづいていて、かつては月に10回以上開催していたこともある。
ゼミ生も20人近くいたこともあるが、いまは数人しかいない。

ゼミ生が少なくなってしまった理由として、現代朗読に魅力がないからなのか、といえば、そうではないと思う。
現代朗読はいったんその考え方や方向性を理解すれば、だれもが実践できる方法なので、ずっとゼミ生でいつづける必要がないと感じることもあるだろう。
また、現在の活動拠点が国立市という、都心部からやや離れた場所に移ったことも、人が来にくい理由のひとつになっているかもしれない。

現代朗読の方法が広がり、拡散したとしても、それはそれでいいと思う。
そうやって活動をつづけている体験者や元ゼミ生が、「これは現代朗読である」とわざわざことわらなくてもかまわない。
ただ、基礎的な練習はある程度おこたらないでほしいなというのが、ファウンダーである私の願いでもある。

現代朗読の基礎練習はバレリーナのプレパラシオンとか、演奏家のスケール練習とか、アスリートの筋トレのように、日々更新していないと内容が劣化してしまう。
しかし、このような地道な稽古は、ひとりでつづけるのはなかなか困難なことだ。
だから、バレエスタジオに通ったり、道場があったりするのだろう。

現代朗読も道場とまではいかないが、そこに行けばみんなで基礎練習をやったり、情報交換やライブの企画ができたりする場があるといいなと思う。
そこにはかならずしも私がいる必要はないし、またずっといられるわけでもない。

演出家の私の指導がないと練習できないと思っている人がいるかもしれないが、そんなことはない。
現代朗読の方向性や理念、練習方法はすでに確立しているので、それを理解している人が集まれば、私がいなくてもどんどんあたらしい表現を追求することはできるはずなのだ。
そのような場が自主的にうまれ、継続していってくれるとしたら、私としてはこんなにうれしいことはないだろう。