2019年12月4日水曜日

フレンチのディナーを楽しむ

国立にこじんまりしているけれど最高のフレンチレストラン〈ル・シエル〉があって、1年に1回くらい、贅沢しに行っていた。
食道ガンが見つかって、食事に支障が出始めたとき、これが最後かなと思いながら、前回7月にディナーを楽しんだ。

もう食べられないだろうなと思っていたのに、放射線治療が思ったよりうまくいって、転移リンパ節は残っていて増えているくらいだけれど、食道ガンの本体は縮小して食事にはほぼ支障がない状態になったので、あらためて予約を入れて昨日ディナーに行ってきた。

メインの魚は真鱈、肉は猪。
いずれもすばらしく、前菜もデザートも創意工夫に満ちていて刺激的だった。

私は普段の食事はまったく保守的な人間で、毎日おなじものを食べていてもけっこう平気だが、ル・シエルでの食事は「芸術鑑賞」に近いものがあって、そのような楽しみ方をする。
昨日もインスピレーションに満ちた食事で楽しかった。
ここまで芸術的だと、さすがに自分でまねして作ってみようとは思わない。

こんなふうにものを支障なく楽しんで食べられるのも、身体的状況がそれを許しているからであって、そのことに幸せをおぼえる。
それがいつまでつづくかはわからないけれど、毎日をしっかりと味わいながらすごしたい。
もちろん、ル・シエルのような食事を毎日したいということではなく、マインドフルな感受性があれば、ごくふつうの食事や日常生活のなかにも楽しみや発見はいくらでもあるということだ。