2018年12月4日火曜日

映画:祝福(いのり)の海

音読トレーナーのいしはらまなみがいよいよ社会活動をスタートしようとしていて、その第一歩となる映画上映会を川崎市多摩区のコミュニティハウスで開催するというので、出かけてきた。

〈MUKU〉というコミュニティハウスで、いただいたちらしによれば、映画上映会のほかにもお絵描き教室やヨガ、お話会など、いろいろなイベントをもよおしているらしい。
とても気持ちのいい家で、今回の上映会にも赤ちゃん連れの若いママが何人も参加していたのが印象的だった。
近隣地域のママのちょっとしたコミュニティのようになっているのかもしれない。

いしはらまなみはいずれこちらで、音読カフェを開催したいと思っているらしくて、もちろん私も応援したい。
音読カフェにかぎらず、ママカフェや共感カフェもきっといいだろうし、デジタルピアノを持ちこめるなら親子連れで参加できる歌や音楽のイベントも楽しいだろうな、なんて想像していた。

映画は東条雅之という、監督というか映像ジャーナリストといったほうがいいだろう、若い人が作ったもの。
自分の旅の軌跡をそのまま記録映画にしたものだが、旅路そのものがストーリーになっている。
監督の正直な興味、関心、好奇心が、問題をとらえ、ときにはしっかりと踏みこんでいく。
そしてふたたび、旅のスタート地点である山口県の〈百姓庵〉へと回帰していく。

編集の巧みさもあってのことだろうが、押しつけがましくなく貫かれているテーマ性が、こちらに大きな影響を与えてくる。

原発問題などシビアな問題を、批判精神を持ちながら切りこんでいるのだが、そこにはだれをも攻撃することなく対話や見守り、よりそうことを大切にする姿勢があらわれていて、新鮮だ。
ドキュメンタリー映像はとかく、批判の攻撃性を持ってしまうことがあるが、この映画はそれがない。
たぶん、あたらしい感覚のドキュメンタリー映像作家のひとりになるのだろうと思うし、このような作家がいま何人かあらわれてきているような気がして、希望を感じる。

多くの人に観てもらいたい映画だ。
とくに、原発反対派に反感を持っている人や、肯定派、推進派、より豊かな社会をめざして現体制や政権に協力的でありたいと思っている政治家や経済人にも、観てもらいたいと思った。
とはいえ、今日は若いお母さんたちや女性が観にきていたというのも(男の参加者は私ひとりだった)、希望と平和を感じる風景だった。

このような上映会をもよおしてくれたことについて、いしはらまなみに「ありがとう」をいう。