いわずと知れた『指輪物語』のJ・R・R・トールキンによる『ホビットの冒険』を原作に、かなりふくらませてあります。
いまさら私なんぞがレビューしなくても、だれもが知っている映画だろうと思うけれど、あえて。
先に『ロード・オブ・ザ・リング』三部作が公開されて、それにつづいて、時代はそれよりさかのぼること約60年を舞台にしたこの三部作が公開されました。
監督はいずれもピーター・ジャクソン。
いずれも三部作という壮大なストーリー展開と、キャラクターや舞台装置の複雑なからみあいを見ると、いったいどうやって準備し、撮影し、編集し、最終的に映像を作ったのだろうかと、まったく想像もつかないほどよくできています。
私はものを作るのが好きで、あわよくば映画にも関わってみたいと思ったりすることもありますが、この映画に関してはまったくどう作られているのか、関われるとしたらどのポジションがあるのか、完全にお手上げです。
ピーター・ジャクソンの製作現場を実際にこの目で見てみたいものです。
三部作は次のような構成になってます。
第1部 『ホビット 思いがけない冒険』
第2部 『ホビット 竜に奪われた王国』
第3部 『ホビット 決戦のゆくえ』
いずれも2時間半前後の、それぞれが大作といっていいボリュームですが、3部でひとつのストーリーになってます。
そして第3部のエンディングはきっちり『ロード・オブ・ザ・リング』の冒頭部分に接続している作りになってます。
どうやって撮影したんだろう。
『ロード・オブ・ザ・リング』を撮影しながら、同時に『ホビット』の撮影も進めていたんだろうか。
だとしたら、ものすごい仕事量ですね。
仕事量でいえば、ポストプロダクションもものすごいものがあります。
ホビットとかドワーフという小さな人を、普通の人間やエルフ、そして異形のオークや彼らが操る巨人などをひとつの画面に配置する作業だけでもものすごい作業量だと思うのに、それに加えて風景や樹木や鳥や島や街や竜などのCGを準備して、さらに画面に作りこんでいく、とんでもない人的パワーが注ぎこまれているのがわかります。
ピーター・ジャクソンの要求は容赦なく、どのシーンを見ても一切手抜きのない、ものすごい情報量の画面が連続していて、おそらく何度見返してみても映像的にはあたらしい発見があると想像できます。
そのとおり、何度も観たくなる映画です。
ストーリーはもちろんトールキンの、たんなる子ども向けのお話にとどまらない、人間の本質に迫る深い話で、映像の豪華さに気を取られてしまいがちですが、ストーリーのメッセージも強力なものです。
私としては、この映画は人と人のつながり、信頼、友情をひたすら扱い、苦境につぐ苦境のなかで信頼する仲間とそれを乗りこえていくかけがいのない時間を表現していると感じました。
そして愛もすこし。
最終の第3部では、これでもかというくらい戦いと殺戮のシーンが繰り広げられます。
それは過剰といっていいくらいで、お茶漬けで育ったネイティブ日本人の私としてはお腹いっぱいになりますが、このくらい圧倒的にしないと気がすまないピーター・ジャクソンにはなんらかの執着があるんでしょう。
『ロード・オブ・ザ・リング』も私の好きな映画で、すでに何度か観ていますが、『ホビット』三部作を観たあとにはまた『ロード・オブ・ザ・リング』三部作をゆっくり観直したくなっています。
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