夜になると調子が悪くなるのはガンを患って以来というわけではないが、最近はとくに顕著になっているのはやむをえない。
胸痛、胃痛からはじまったガン痛は、放射線治療がうまくいってほぼ消えたが、転移部位である下半身に痛みは移動した。
いまは腰痛と下腹部痛に悩まされていて、痛み止めも通常薬がそろそろ効かなくなりつつある。
今日はまた胸痛が再発して、ぐるっと回って振り出しにもどるというか、らせん形に下降していく加速度を感じる。
そんななか、海津賢が助っ人に来てくれた。
音響表現ユニット〈Voice Of Water〉は海津賢が私のためにプロデュースしてくれた。
私の作曲(というか即興演奏)、キーボード演奏と、海津賢のコンピューターオペレーション、演奏、野々宮卯妙の朗読によるスタジオワークで作られる楽曲と映像表現だ。
海津賢が私のステージⅣの食道ガンを知ったとき、このユニットワークを提案してくれた。
これほどありがたく幸せなことはないと思った。
国立の春野亭のスタディルームに何日か缶詰になって、一気に8曲作ったのだが、まさに幸せな時間だった。
ライブではないスタジオ仕事として、音楽的にやってみたいと思ったことは全部やってみることができた。
海津賢のサポートがなければ決して実現しないことだった。
そのうちの一曲「Sound of the Rain」を、ミュージックビデオとして公開することになった。
私がぐずぐずやっていた動画編集を、これもまた最後に海津賢が助っ人に駆けつけてくれて、仕上げることができた。
私の命の表現のひとつとして、観て(聴いて)もらえるとうれしい。