受賞時のボン・ジュノ監督のことばが印象的だった。
会場に来ていたマーティン・スコセッシ監督のことばを引用して、
「最も個人的なことが、最もクリエイティブなことだ」
という「パラサイト」製作のこころがけを語ったのだ。
それを聴いて、私はちょっとおどろくと同時に、うれしくなった。
マーティン・スコセッシは今期のアカデミー賞では「アイリッシュマン」が受賞候補にあがっていた。
これにかぎらず、これまで数多くの賞を取っているし、私も「タクシードライバー」以来のファンだ。
たしかに、スコセッシの映画には「個人的」なところがある。
彼のそのことばは知らなかったが、私も日ごろ似たようなことを、表現の仲間たちに伝えている。
小説塾である「ひよめき塾」でもしょっちゅういっている。
個人的な体験、個人的な身体から出てきたことばしか、普遍性を持つことはできない。
これは小説でも音楽でも朗読でも、すべての表現がそうであると私は思っている。
「パラサイト」は未見なので、近いうちにかならず機会を作って観てみたい。