2015年5月11日月曜日

マインドフルネス研修会@聖路加国際大学に行ってきた

副題に「ティク・ナット・ハン禅師の教えに学ぶ」とある、精神医療関係者向けの研修会に行ってきた。
ティク・ナット・ハン師のサンガ〈プラム・ビレッジ〉のメンバーが今年も日本に来て、富士山麓でリトリートをおこなったり、この研修会をおこなったり、ほかにもいくつかの行事をおこなっている。
ティク・ナット・ハン師ご自身は、昨年、脳卒中で倒れて治療中で、しかし幸い、一時は危篤状態におちいったにもかかわらず現在は退院して、サンガにもどって療養中とのことだった。

私が最初にハン師のことを知ったのは、ちょうど10年前の2005年のころだったと記憶している。
ラジオ番組で名前と「マインドフルネス」という言葉を聞いた。
さっそくハン師の本を取りよせて読んでみた。
『禅的生活のすすめ』という本だった。
そこに書かれていたマインドフルネスの思想に感銘し、さっそく自分でも実践をはじめ、そして2006年に設立した現代朗読協会の講座やゼミでも伝えはじめた。

表現行為においてマインドフルネスは強力な味方となる。
「いまこの瞬間」の自分自身に気づきつづけ、たくらみを捨て、ありのまま誠実に、正直に表現するというのは、現代朗読の重要な根幹になっている。
私自身は朗読はやらないが、自分の表現活動でずいぶん助けられているし、これなしではもはや表現することもできない。

以来、ハン師の著書はすべて読んだし、またマインドフルネスや瞑想に関する文献はさまざまにあたったり、実践してきた。
私は宗教者ではないし、信仰も持たないノンスピリチュアルな人間だが、リアルな行為と身体状況としてのマインドフルネスには深く共感している。

マインドフルネス研修会は聖路加国際大学のアリスホールで開催された。
キャンセル待ちが続出する人気だったとのことで、400人くらいの客席が満席だった。

おなじみの呼吸の瞑想からはじまって、法話や講義、ブラザーやシスターによるチャンティング(歌)などをまじえて、昼は食べる瞑想、リラクゼーション瞑想と進んでいった。
私にとってとくに目新しい体験というわけではなく、むしろこのような大きな場でおこなわれる瞑想会よりホームグラウンドでおこなっているマインドフルネスや瞑想の実践のほうが質が高いと感じた。
日本の精神医学界の遅れを目の当たりにして、残念な気持ちになる場面もあった。
が、あらたな気づきがなかったわけではない。
仲間に再開したこともうれしかった。
知らない人から声をかけてもらって、あたらしいつながりができたことも収穫だった。

一番うれしかったのは、私が現代朗読、音読療法、共感的コミュニケーション、そして音楽瞑想で、より質の高いマインドフルネスと瞑想の実践をおこなえていることが確認できたことだった。
いま、自分がやっている「雑多」と感じていたさまざまなことが、自然にひとつの大きな潮流としてまとまりはじめているような気がして、もりもりとやる気が出てきているところだ。


自分にとっても必要なことだし、社会の現況においても求められていることなのだという実感がある。