毎月恒例となった三軒茶屋のライブスペース〈四軒茶屋〉での現代朗読協会(げろきょ)主催のオープンマイクが、今月も開催された。
毎回宣言しているように、このオープンマイクは「批評」「批判」などのジャッジメントをいっさいおこなわず、お互いに共感的に受け取り合うことで、真に安心してのびやかに表現できる場を作ることを目的としている。
とはいえ、出演者は聴いてくれた人たちからなんらかのフィードバックは欲しいもので、そのための仕組みとして、「味覚フィードバックシート」を毎回準備している。
出演者は全員、オーディエンスの全員からそのフィードバックシートを受け取り、自分の表現がどのように受け取ってもらえたのか知ることができる。
しかし、そこには批評や批判はなく、安心して受け取ることができる、という仕組みだ。
いつも司会のサポートをしてくれている森沢幸と、進行を手伝ってくれている野々宮卯妙のふたりともが、やんごとない用事で参加できなかったので、サポートをげろきょのゼミ生の川崎満里菜(弱冠21歳)にお願いした。
これがなかなかユニークで、今回は独特の雰囲気になった。
オープンマイクのトップバッターは、弱冠22歳の朗読者にして老練な雰囲気を醸し出している飯干くん。
とても満里菜とほぼ同い年とは思えない。
二番手はげろきょゼミ生の福豆々子さん。
与謝野晶子のぶっとんだ童話を、生き生きと楽しそうに読んでくれた。
三番手は川崎実雪・満里菜の母娘による紙芝居。
これは前回3月の続編ということで、前回のあらすじ付きでおこなわれた。
私もいちおうメンバーの一員として、ピアノ演奏で参加。
四番手は、げろきょゼミ生のバンガードさん。
夏目漱石の名作『草枕』の冒頭を、「重心移動朗読」で読む。
重心移動朗読がなんなのか、興味がある人は、現代朗読協会の講座に体験参加してみてください。
五番手は黒猫さんと原口さんによる「黒猫のタンゴ」。
ピアノの黒猫さんがとっても不思議な譜面を使っていたので、あとで見せてもらったら、さらに謎が深まるばかりの不思議さだった。
つづいて黒猫さんひとりによるピアノ演奏。
ドビュッシーの「月の光」だったが、何年かぶりにひと前でピアノを弾くという黒猫さん。
上手・下手を超えて、曲への思いや真摯さが伝わってきて、少なくとも私は胸が熱くなった。
おふたりにはまた来てもらいたいな。
そのつぎは〈激団波平〉さんによる「ボイスダンス」のパフォーマンス。
私もピアノで参加。
「ボイスダンス」というのは私が勝手に付けさせてもらった名称なのだが、声とダンスを使った、しかも声というか言葉もダンスだというパフォーマンスは、オリジナリティが高くて、とても魅力的だった。
今後への可能性を感じさせてくれるものだった。
最後に、司会を手伝ってくれた満里菜といっしょにやろうとしたら、トイレに行きたいというので(笑)、私が一曲、ピアノを演奏することになった。
「お題を」と求めたら、「桜の三軒茶屋」と来たので(難しい!)、それで即興演奏。
演奏を終えたら、満里菜がもどっていたので、宮沢賢治の「黄色のトマト」を朗読してもらう。
ただし、普通に朗読するのではなく、ピアノの蓋のなかに頭を突っ込んで、弦の残響を生かしながら朗読する、いわば「グランドピアノ朗読」。
奇妙な方法だが、じつはこれまで何度かやってきていて、満里菜にもやってもらったら、あらたなオリジナリティが見えておもしろかった。
以上、これらの模様については、後日、あらためて、抜粋映像をYouTubeで配信する予定。
しばしお待ちを。
ちなみに、来月5月の四茶げろきょオープンマイクは、5月31日(日)の予定です。
みなさん、どうぞお越しください。
とっても楽しくて、安心できて、そしてクリエイティブな場がそこにあるはずです。
詳細と申し込みはこちらから。