今回の前半部分のテーマは、「書きたいこと」と「書いてしまったこと」のズレ・違和感について。
書きたいことというのは、たとえそれがはっきりしたエピソードの紹介だったり、かんがえの伝達であったりしたとしても、書く前は自分のあたまのなかでもやもやと抽象的な雲のような塊として存在していて、まだ言語化されていない。
それをできるだけ取りこぼさないように、慎重に言語化し、構造化をこころみるわけだが、たいていはうまくいかない。
書きたかったことと、実際に書きあげた文章のあいだには、どうしても埋まらない溝があって、もやもやとした違和感を払拭できないという経験をした人はたくさんいるのではないだろうか。
その違和感やズレの部分を、共感的コミュニケーションのプロセスを用いて丁寧に見ていくとどうなるだろうか、というワークだ。
感情とニーズにスポットをあて、違和感を丁寧に見ていったとき、自分が伝えたいと思っていたもやもやした雲のなかにある「本質」というか「核=コア」のようなものが見えてくる。
そこを把握し、つながって、あらためて表現してみたとき、もやもやした違和感は劇的に減少する。
参加のみなさんといっしょにトライしながら気づいたのだが、ひょっとして共感的コミュニケーションのプロセスを用いた文章表現のワークは、ほかでやっているのを知らない。
私が知るかぎりにおいて、ここでしかやってないはずだ。
そしてこのワークは、文章表現の技術向上にも有効だが、自分自身を知る、自分自身につながる自己共感の練習としても、かなり有効な方法だと確認できる。
これをやってみることで、自己肯定や自己共感に力強く向かうことができる。
後半はより技術的なことにもチャレンジ。
たとえば、文章表現のオリジナリティはどんなふうに獲得すればいいのか、オリジナリティはなにから生まれるのか、ということをメタファーを用いたワークなどで確認しながらそれぞれトライしてみた。
あるいは主観と客観の分離が、なにかを人に伝えるためには非常に重要であり、伝わる文章、伝わらない文章を分けるものはどの点なのか、ということの確認もしていった。
国立春野亭に直接参加の人、オンライン参加の人、それぞれいっしょに自分につながり、自分を知り、オリジナリティを大切にしながら自分を表現する練習の時間となった。
お互いに大切にしていることを尊重しあったり、確認し理解しあったりしながら進めていくワークは、深いつながりも感じられて豊かな時間でもあった。
テキスト=文章を書くことで自分を知り、つながるワークが、もっと広まって気軽に用いられるようになるといいな、と思っている。
◎12月3日:自己共感を用いた文章表現WS
水城ゆう( mizuki-u.com )が長年つちかってきた文章術、指導法に加えて、共感的コミュニケーションにもとづいた共感のプロセスも取りいれたユニークな方法を練習します。オンライン参加も可。