なんと、シルバー割引で1,100円だった。
ラッキー(笑)。
そうか、そういう年齢になったんだ、お祝いだね、これは。
映画はなるべく映画館で観たいと思っても、1,800円はちょっと高いなと思う。
が、1,000円だとだいぶ気軽に行ける気がする。
それはともかく。
最初の「ブレードランナー」が公開されたのは1982年。
私はまだ京都でバンドマンをやっていて、カラオケブームに押されてそろそろ仕事がなくなってきたのでどうしようか、とかんがえている時期だった。
だいぶ暇になってきたので、小説を書いたりして暇つぶしをしていた。
そのとき書きあげたSF長編小説が私の作家デビュー作となったのだが、ひょっとして「ブレードランナー」の影響を受けていないとはいいきれないところもありそうだ。
その続編としての「2049」。
30年後という設定。
リドリー・スコットは「2049」では監督はやらず、製作総指揮にまわっている。
監督はドゥニ・ヴィルヌーヴという人。
だれなんだと思ったら、「メッセージ」の監督ではないか。
「メッセージ」はネット配信がはじまっていて、観ようかどうしようか迷っていたところだったから、これはさっそく観なければ!
というくらい、「2049」はよくできていた。
最初の「ブレードランナー」の衝撃には比べようもないけれど、続編として、そしてそれ以上に単独作品として、良質の映画になっていると思った。
とても楽しめた。
よく「SFは絵だ」といわれるけれど、映像もすばらしくオリジナリティにあふれていてイマジネーションを刺激されるし、元の「ブレードランナー」へのリスペクトもたっぷりだ。
その上でディテールが楽しめるし、テクノロジーを駆使した工夫もかなり詰めこまれている。
世界設定も未来像として決して楽しいものではないけれど、重厚に作りこまれている。
映画全体のテーマとして、前回を踏襲する部分も多く、記憶とはなにか、人を人たらしめるもの、差別問題、命の問題など、重い問題をがっつりとあつかっている。
それは元々の原作、P・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』にもあったものだ。
配役も絶妙で、老体のハリソン・フォードがなかなかがんばっている。
娼婦役で出てくるマッケンジー・デイビスという女優がいるのだが、あれ、この人、どこかで見たなと思ったら、やはりリドリー・スコットの映画「オデッセイ」でNASAの職員役として出ていたのだった。
ちょっととぼけた、しかし妙に存在感のある女優だったので覚えていたのだが、演技力が買われたのだろう、「2049」でもなかなかいい演技を見せてくれる。
彼女と、バーチャル恋人ジョイ役のアナ・デ・アルマス(かわいいねえ)が、リアルな肉体とバーチャルな映像を同期させて主人公とからむエッチシーンは、なかなかよくできている。
あと、「ブレードランナー」で圧倒的な存在感を見せていたレイチェル役のショーン・ヤングが、30年前そのまんまの姿で出てくるのは、いったいどういうトリックなのか。
ひとつ残念だったのは、映画館が「極上音響」を売りにしていて、振動をともなった重低音の大迫力なのだが、それが逆にうるさくて気になってしまった。
音楽もいい感じだったのだが、必要以上に強調された音響にディテールを壊されてしまっているような気がして、残念だった。
いずれにしても、おすすめの映画だ。
ただし、上映時間は2時間半を超えるので、要注意。