NVC(=Nonviolent Communication/非暴力コミュニケーション)センター国際公認インストラクターであるジム&ジョリ・マンスキー夫妻からNVCミディエーション(調停)を学ぶための5日間の合宿が、羽根木の家とその周辺の施設を利用して開催された。
オーガナイザーは後藤剛&ゆうこ夫妻で、彼らはハワイのジム&ジョリ夫妻宅の隣に住んで彼らから日々学びつづけている熱いNVC実践者だ。
日本のコアメンバーがスタッフとして協力し、私もすこしだけお手伝いした。
合宿は10月7日(木)夜からスタートし、12日(月)昼までおこなわれた(私は最終日は不参加)。
合宿の後半は、ミディエーションスキルを身につけるためのフライトシミュレーターと呼ばれる練習法を参加者全員でみっちりと学んだが、前半はそれをおこなうための素地作りともいうべきNVCについての深い学びにたっぷりと時間がついやされた。
最初は一瞬「いまさら」と思ったのだが、はじまってみると逆に、NVCについて自分の「歯抜け」になっている部分に気づかされ、「いまさら」ながらジム&ジョリの緻密で深いNVCへの理解と教えに感嘆させられた。
それに気づいてからは、一瞬たりとも彼らから目を離せないスリリングで濃厚な時間が積み重なっていった。
だれかとのつながりの質を作るための「共感」のレベルはさまざまな段階があるが、ジムとジョリはそのレベルの深さとその認識・調整の緻密さにおいて、マーシャル・ローゼンバーグとの直接の交流も含めた長年の経験と理解がものをいっている。
それはとても私などにはおよびもつかないような深さと緻密さだ。
しかし、めざしたい方向性はおなじだし、それがはっきりと見えたのは今回の大きな収穫だった。
共感のレベルは、共感的コミュニケーションをまだ習ったばかりの人でも、ある程度の深さまでたっすることはできる。
私も共感カフェや勉強会でそれを推奨していて、とにかくまずはやってみる、使ってみることが大事だと思っている。
その上で、共感のレベルには深さがあり、その深みにたっするには練習と経験による練磨と、自分自身についての理解と共感が必要であることが、ジムとジョリを見ているとよくわかる。
これはやってみる価値のあることだ。
NVC・共感的コミュニケーションの世界では、ひとりひとりが大切にされ、だれひとりとして他人から断罪されたり、命令されたり、非難されることがない、お互いが尊重しあえる関係性をめざす。
だれもが安心して行動し、また表現できる世界をめざす。
そこでは競争も、比較も、上下関係もない。
性差も年齢差も地位も、それが関係性にパワーとして働くことはない。
ジムとジョリのふたりはそのことをまさに「体現」している。
彼らとともにいることが、どれだけみんなに安心をもたらすことだろう。
そのことは合宿参加者の多くが実感していたように思う。
合宿の後半では、フライトシミュレーターの練習がみっちりとおこなわれた。
これはジョン・キニヨンとアイク・ラセターが考案したミディエーションの練習方法で、ある型がある。
その型を練習することで、ミディエーションが身につくすぐれたもので、それをジムとジョリはすこしアレンジしている。
ミディエーション=調停は、対立が起こっているふたりの人間(もしくはふたつのグループ)のあいだに立ち、NVCを使ってもう一度彼らのつながりを取りもどすことを目的としている。
つながりが生まれた時点でミディエーションは終了となる。
まずは調停の場に対立しているふたりを立たせることが必要だが、うまくやれば、調停していることに気づかせないまま対立しているふたりのつながりを取りもどす手伝いをすることも可能ではないか、と私は思っている。
コロンビア人のトレーナー、ホルヘ・ルビオがいうところの「秘密のミッション」だ。
彼はNVCを使っていることを気づかれないままNVCを用いることを提唱している。
私はそのかんがえが気にいっている。
フライトシミュレーターの練習は、途中で1日だけの参加者もまじえて念入りにおこなわれた。
何度も練習できたので、私はおなじグループの参加者の協力をもらって、日常的でフランクな態度でおこなうミディエーションにチャレンジしてみた。
これはなかなかおもしろかったし、思ったよりうまくいった。
可能性も感じた。
ミディエーションはその型も重要だが、それを踏みはずすことなく自分の言葉や身体性に落としこんでいくことも大事だと感じていて、私はそちらの方面に研究と練習を進めていくつもりだ。
この合宿で学んだことの一部は、今後の共感カフェや勉強会でシェアしていけたらと思っている。
まずは明後日・10月16日(金)夜に羽根木の家で開催する「親密な関係における共感的コミュニケーションの勉強会」でシェアしたい。
興味がある方は気楽にご参加ください。
詳細と申し込みはこちら。