2011年3月31日木曜日

原発事故のこれからと高速増殖炉もんじゅのいま

フランスからサルコジが来たり、アメリカからスリーマイル島の事故のときに事故処理にあたったチームが来たりと、東京電力福島第一原発事故への各国からの支援が本格的になってきた。
心強いと同時に、この事故が一国の問題ではないことを考えさせられる。

原発は相変わらず高濃度放射性物質を含んだ水の排水に苦労しており、作業は遅々として進んでいない。
また今日は、水素爆発のときに敷地内に散らばった放射性物質を付着させたさまざまな破片や土壌から、大気中に放射性物質を飛散させないために、水溶性の樹脂を散布して固着させる予定だったが、天候のせいで実行されなかった。
明日以降の進展に期待したい。

この震災と事故のためにすっかり忘れられている(あるいはまったく知られていない)が、福井県にある高速増殖炉もんじゅも事故を起こしてにっちもさっちもいかない状況になっている。このことを指摘しておきたい。

もんじゅは福井県敦賀市にある日本原子力開発機構の高速増殖炉である。
高速増殖炉というのは、高速中性子による核分裂連鎖反応を用いた増殖炉のことで、特徴としては簡単にいえば燃やした燃料より多くの燃料が生成されることだ。MOX燃料というウランとプルトニウムの混合燃料を使う。だから資源の少ない日本にとって「夢の原子炉」などといわれて、もてはやされたことがある。
私は福井テレビのクルーとともに、完成直前のこの施設を見学したことがあり、ピラミッドのような巨大な機械の塊に圧倒されたことを覚えている。

もんじゅは1995年に、本格運転の直前、ナトリウム漏れ事故を起こした。
その後、14年以上、運転が停まっていたのだが、いよいよ再開するという昨年5月、核燃料を交換する作業中にふたたび事故を起こした。
今回の事故は、燃料棒を交換するときに炉心に挿入する「炉内中継装置」が、引きあげ中につかみ装置がはずれて炉内に落下し、抜けなくなったというものだ。
炉内中継装置は長さ12メートル、直径55センチ、重さは3トン以上もある。これが炉心に落下したというのだから恐ろしいが、幸い燃料集合体の上ではなかったために、核燃料は破損していない。
が、おそらく落下の衝撃で変形したらしく、引きぬこうとしてもにっちもさっちもいかない状態になっている。詳細はわかっていない。
なぜわかっていないかというと、もんじゅの炉心は沸騰水型軽水炉のような水の代わりに、液体ナトリウムで満たされているからだ。液体ナトリウムは不透明な液体であり、また空気や水に触れると激しく反応するため、炉心を直接視認することはできない。

この事故に関連して、復旧にあたっていた担当課長が自殺する、という事件が起こっている。
また、復旧作業は複雑な工程を必要とし、困難を極めるといわれてもいる。
この巨大で複雑で、運転が難しい原子炉を、このまま無理やり再起動させて、稼動まで持っていくのがいいのかどうか。
これもまた日本だけでなく、地球全体の問題であるといえる。

春うふ2011より「祈る人~ここへとつづく道」

2011年3月21日に大塚〈音楽堂anoano〉にておこなわれた音楽ユニットOeufs(うふ)のライブ「春うふ2011」より、何曲か抜粋してお送りします。
「祈る人」の朗読から「ここへとつづく道」というオリジナル曲へ。

うた:伊藤さやか
朗読:野々宮卯妙
作/編曲/ピアノ:水城ゆう

次回のOeufs(うふ)のライブは「初夏うふ2011」となります。
ライブの詳細は下記のとおり。皆さんのお越しをお待ちしております。

◎日時 2011年5月21日(土)13:30から/開場12:30
◎場所 下北沢〈Com.Cafe 音倉〉
◎料金 2,500円
    ご予約の方にはもれなく新譜CDをプレゼント

※お申し込みはこちらから。

2011年3月30日水曜日

東京電力福島第一原発の廃炉が決まった

先ほど、東京電力の勝俣会長が記者会見し、今回の原発事故について陳謝した上で、1号機から4号機までを廃炉にすることを言明した。
当然だろうと思うが、ついでにすべての原発をとめていき、最終的には全廃してほしい。

もっとも、廃炉には莫大なお金がかかる。
さまざまな試算があるが、1基につき1300億円かかるとも、5000億円かかるともいわれている。
たとえばこういった試算

それより、現在の危機的状況を乗りこえることが最優先だ。
現場で踏みとどまって戦っている人たちのことを考えると、胸が痛む。なんとか乗りこえてほしい。
建屋の地下にたまっている汚染水の水位が少し下がった、という情報があって、事態は悪化していないようだ。が、進展もしていない。

原発に依存しなくてもいい社会、膨大なエネルギーを消費しない生活。これらを私たちひとりひとりがどのように提案し、実行していけるのか。真剣に考えたい。
ちなみに、もうすぐ都知事選があるが、原発推進ではない立候補者はふたりだけ。

「エネルギー基本計画」は私たちのライフスタイルの問題

昨日の予算委員会で菅首相が、日本のエネルギー基本計画を見直すことを検討している、と答えたことが話題になっている。
現在の計画では、2030年までに14基の原発の新設・増設を目標に掲げている。もはやありえないだろう。
「太陽光などのクリーンなエネルギー」の導入を検討していく、とのことだが、私からいわせてもらえればそれで現在のエネルギー需要を代替するだけでは意味がない。

そもそも、現在の原発エネルギーをすべて太陽光や風力などの代替エネルギーで補完するのは、不可能ではないかもしれないが、時間がかかる。当然ながらお金もかかる。
幸い、代替エネルギーは技術の進歩で開発がどんどん安価になり、いまでは原発エネルギーより安くつく、という試算も出てきている。なので、どんどん代替エネルギーの開発を進めていっていただきたい。
ただ、すぐには補完しきれないし、補完してまたこれまでのようなエネルギーをじゃぶじゃぶ使う社会に戻れればいいというものではないと思う。

代替エネルギーの開発を進めると同時に、私たちのライフスタイルや社会システムそのもののありようを見直すべきだろう。
これまで無自覚に使いすててきたエネルギーや有限資源、安かろう悪かろうで浪費してきた商品や産物、金銭的・物質的に豊かになりはしたが、寿司詰めの通勤電車に押しこまれて出かけ、夜遅くまでへとへとになって働かされる余裕のない生活。家族とも友人ともまともなコミュニケーションもなく、文化的なイベントをゆっくり楽しむ余裕もない週末。

計画停電のおかげで、職場から早く開放され、家でゆっくりできることがどれほどすばらしいことか実感した人は多いだろう。夜の街が暗かったり、スーパーの食品棚に電気がついていなかったりしても、なんの不自由も感じないことがわかった人も多いだろう。むしろ夜が夜らしくなってよかった、という人も多い。
つまりは私たちはこれをきっかけに、人間らしい生活を取り戻せばいいのだ。そして、そもそも人間らしい生活とはなにか、心豊かでいられる社会とはどういうものなのか、しっかりと考え直してみればいいのだ。
過剰なエネルギーもモノもカネもいらない。多少不便でも、心を通わせて語り合える友人や家族がいるコミュニティがある社会、そういうものをあらためて私たちの手で作っていけばいい。それには政府やら大企業やらマスコミの力などいらない。自分たちだけでやれる。

私がやるメンタルケアは精神世界とは関係ない、物理的・論理的にやります

ちょっと矛盾するようなタイトルだが。
説明しよう。

私はいわゆる「ヒーラー」ではない。セラピストでもない。
私がおこなっているのは「音読」という身体運動を利用することで、みずから心身の調子を取りもどしていただく手伝いをすることだ。そしてその方法は、一度身につけてもらえれば、いつでもどこでも、ひとりでやれるようになる。
有効なセルフケアをお伝えしている。

グループではなく個人対象に私がおこなっていること。

音読カウンセリング(現代朗読協会)

心身に不調を覚えている方のために、現代朗読協会では無料で音読カウンセリングをおこなっている。
音読といっても、ただ文章を読むだけではない。音読には声、言葉、呼吸、姿勢など、からだを使う。からだとことばが結びついていく過程で、人は本来の身体とこころのありようを取りもどし、落ち着いていく。

現代朗読個人セッション(現代朗読協会)

遠方の方や自宅から出ることが難しい方のためのSkypeを使った在宅セッションだが、直接おいでいただくことも可能。
従来の朗読とはまったく違うアプローチによる現代朗読の個人演出を受けられる。

プロのための音声表現スキルアップ個人セッション(アイ文庫)

大手メディアや広告業界が厳しい状況にさらされているなか、声の仕事の世界も急激に厳しさを増している。
取り替えできないスキルを持った真のプロになるためにはなにが必要なのか。コミュニケーション能力を含めた表現力アップのための個人セッションをおこなっています。
さまざまなニーズに対応し、いっしょに問題を解決していきます。

地下にたまった汚染水をそのまま冷却にもどすのは?

原子炉冷却に真水を注入しているが、おそらく2号機の格納容器の破損によってそれが地下へだだ漏れ状態となっていると思われる。
その汚染水が水位をあげ、復旧作業を困難にしているほか、表へあふれだしてくると海洋汚染、土壌汚染が拡大する。
ならば、あふれそうな汚染水そのものをポンプで原子炉に戻す、というリサイクル型の冷却方法は取れないものだろうか。

私がこんなところでいっていても詮無いこととは思うが。

2011年3月29日火曜日

東京電力福島第一原発の収束方向が見えてきたか?

もちろんまったく予断を許さない状況であり、まだまだ事態が悪化する余地もあるが、私なりに今回の事故を収束させるとしたらどの方向に向かうのか見えてきた印象があるので、結論ではなく経過メモとして書きのこしておきたい。

多くの反原発の立場の方がいうような「最悪の事態」にはおちいらないだろう、と私は考えている。
つまり、「核爆発」だの「再臨界」だの「水蒸気爆発による炉心と格納容器の壊滅的破壊」といったような事態のことだ。
私が考える最悪の事態は、もう少し、いやかなりその手前のほうに見えている。
楽観的すぎる、という批判もあるかもしれないが、書いておく。このメモが気にいらない方は、すみやかにフォローをはずしていただく、ブログ閲覧のルートからはずしていただく、マイミクをはずしていただく、など適切な方法で離れてください。

現時点でもっとも深刻な問題は、2号機の建屋地下部分と、さらに建屋外のトレンチまで満たしている大量の高濃度放射性物質を含む汚染水の存在だ。トレンチ内の水面で1000ミリシーベルトを超える(つまり線量計を振りきった)放射線量が測定されている。つまり、地下にある水全部がそういう濃度を持っているということだ。
この水がどこから漏れているのかがわかっていない。
私の推測だが、水は炉心を冷却するために外部ポンブを使って注入されているものが、格納容器下部の損傷部分から「だだ漏れ」しているのだと思う。炉心の破損した燃料棒に直接触れた水がだだ漏れしてきているのだから、高濃度は当然だ。そう考えると理屈が合う。

この汚染水を除去しなければ、炉心冷却系の機能を回復するための建屋内での作業が進まない。
最終的に炉心は、冷却系を回復させ、安定的に核燃料を冷やしつづけて、最終的には冷温停止に至る必要がある。そのためにも冷却系の復旧がどうしても必要なのだ。
だから、まずは汚染水の除去が最優先となる。
汚染水はトレンチ容量のほぼ満タン近くまで増えてきている。これ以上注水を続けると、トレンチからあふれた汚染水が海に流れこむことになる。また、敷地周辺の土壌を汚染することになる。
かといって注水をやめれば、炉心の温度があがり、ふたたび燃料棒が露出してさらなる燃料棒の破損と放射性物質の汚染が拡大する。
注水を優先すべきか、汚染水の流出を抑えるべきか、このジレンマの戦いの真っ最中にあるのだと思う。
解決策はまったくないわけではなさそうなので、なんとか汚染水の除去作業が進んでくれることを祈っている。

私が考える最悪の事態は、まず、この汚染水の除去に失敗して、海や土壌に汚染が広がる、ということがある。海洋資源に莫大な損害をもたらすことになるだろう。
次に、各炉の炉心冷却系の復旧に失敗して、炉心が破壊されるという事態。この場合、大量の放射性物質を閉じこめる対策をおこなうことになるだろう。現時点で稼働中の原子炉燃料は、直接格納容器の外へは漏れていない。これをなんとしても格納容器内に閉じこめておく必要がある。
格納容器が破損していない1号機と3号機は、当面はそのまま封じこめることになる。
格納容器が(おそらく)破損している2号機はかなりやっかいだ。大量のコンクリートなどを流しこんで、格納容器ごと埋めてしまうしかないかもしれない。
いずれにしても、大量の放射性物質が「大気中へと」放出される可能性は少ないと思う。封じ込め処理の過程で一時的に高濃度の放射性物質が出ることはあるかもしれないが、継続的・永続的に出続けることは考えにくい。
問題は海洋汚染だろう。世界中からの糾弾を受けつづけることになる。
そのなかで、日本は原発政策の方向転回を余儀なくさせられるだろう。それは間違いない。
もちろん、最悪の事態をまぬがれたとしても、これまでの原発政策を推し進めることは、私たち国民が許さない。

美しい日本のために私たちができること

3月19日の午後、原正夫郡山市長が東京電力福島第一原発の「廃炉」を訴えたという。
それを受けて、市民たちが廃炉に向けた署名運動を開始した。
具体的な市民の動きだ。これはこれまでのイデオロギーが一部からんだような「反原発運動」とは違う。
署名運動の詳細はこちら

市民でなくても署名運動には参加できる。
そして今後、このような自主的な市民運動がたくさん出てくることだろう。311以後の日本を、たんなる元に戻すだけの「復興」ではなく、これからの時代にふさわしいあたらしい価値観を持った社会にしていくために、私たちは積極的に運動に参加していきたい。
ドイツではすでに、日本の原発事故を受け、25万人もの原発反対デモがおこなわれたという。これは世界の潮流となるだろう。

いずれ詳しく書くが、すでに太陽光発電を筆頭とする自然エネルギー/代替エネルギーのコストが、原発エネルギーのコストよりも安くなっている。原発を無理に稼動させつづける理由はもはやない。
それより、世界一美しい日本の国土を保全するほうが大切なのではないか。
GDPで計量的に計られる豊かさではなく、文化やこころの問題など本当の意味で幸福度の高い、多少は不便かもしれないけれど成熟した社会をめざせばいいではないか。
そのためには、このようなブログやTwitter、SNSを通して私たちが考え、声をあげていくこと。このことが一国の体制を変えうることは、中東が充分に証明してくれた。
私は声をあげつづけようと思う。

原発ニュースの読み方/放射性物質はどのように漏れているのか

(決まり文句ですが)
以下に書く意見は、あくまで私個人の見解であり、専門家の裏付けをもらったものでもない。が、一般の方よりはいくらか原発のことに詳しい一個人の意見として参考になるのではないかと思い、流すものである。

福島第一原発から放射性ヨウ素や放射性セシウムといった放射性物質が漏れているのは衆知のとおりだが、昨日はプルトニウムも敷地内から検出された。
重大な事態なのだが、この事態の全体像を、原発の仕組みをざっくりと把握することで理解しておきたい。
注意すべきは、放射性物質がどこからどのように漏れているのか、という点だ。

原子力発電所は炉心でゆっくりと核分裂反応を起こすことで熱を作る。その熱で水を沸騰させ、タービンを回す。
沸騰させる、といっても、やかんでお湯を沸かすようなものではない。数十気圧という超高圧の水蒸気を作り、その莫大なエネルギーで巨大なタービンを連続的に回しつづけるのだ。
核反応は原子炉建屋内で起こり、タービンはタービン建屋内にある。
原子炉建屋内の構造をざっくりと把握しておきたい。

核分裂反応を起こす核燃料は酸化ウランのペレットで、それはジリコニウムという薄い金属の筒の中にはいっている。細長い棒状の燃料棒が垂直に並べられていて、その隙間に制御棒という核分裂反応を制御するための棒が挿入されている。
制御棒を引きぬけば核分裂は促進され、挿入すれば抑制される。
これらは「圧力容器」という鋼鉄の、いってみれば圧力鍋のような入れ物に中に収納されている。
圧力容器はさらに「格納容器」という、これもある程度の圧力に耐えられる容器のなかに収納されている。

現在問題になっているのは、炉心の燃料棒を完全にひたしておくべきはずの一次冷却水が、冷却系の機能喪失によって目減りし、燃料棒が露出してしまったことだ。
露出した燃料棒は一時的に加熱し、相当な高温になったものと思われる。高温のジリコニウムは水蒸気と反応し、水分子を酸素と水素とに分解する。酸素はジリコニウムと結びつき、水素は気体となる。
その水素がなんらかの経路で圧力容器から、さらには格納容器の外へと漏れだして引火し、1号機と3号機では建屋の上部構造を吹っ飛ばした。2号機では格納容器下部の構造物サプレッションプールに損傷を与えた(と思われる)。

圧力容器や格納容器で圧力が設計限界を超えて高まってくると、内部圧力を逃がさなければ容器が破損してしまう。なので「ベント」という圧力弁を開放する作業をおこなって内部の圧力を下げてやるわけだが、なんらかの理由でこの弁が破損したのではないかと私は見ている。弁が正常な状態なら、水蒸気はいったんフィルターを通って、排気棟から外に出ていく。
が、今回は弁が動かないかなにかして、緊急に破壊して開放したのではないか。でなければ、炉心から出た水素が建屋内にこもる理由がわからない。
2号機では大気中に出る放射性物質を少しでも減らすために、水蒸気をサプレッションプールへと導き、水を通してから外に出そうとしたようだ。結果、サプレッションプールに水素がたまって、爆発破損したのだろう。
上記のような事態に間違いないとすると、格納容器まで損傷を起こしているのは2号機ということになる。

いま放射性物質は3つの経路から出ていると考えられる。
ひとつめ。
ベント作業による減圧作業によって大気中に出ている放射性物質。これは比較的少量だろう。事故の初期から観測されている比較的ゆるやかな放射線量の値は、ここからの値と思われる。
ふたつめ。
やはり冷却系が失われた使用済み核燃料プール内で、冷却水が蒸発して露出してしまった核燃料棒が、やはり熱もしくは建物の構造物が落下するなど別の理由で破損し、核燃料が直接大気に触れてしまっている、という経路。
みっつめ。
おそらく2号機だが、破損した格納容器から高濃度の放射性物質を含む一次冷却水が直接漏れだし、地下構造を伝わって拡散している経路。これは昨日、トレンチという建屋外の施設にまで漏れだしていることがわかり、大変な問題になっている。また、プルトニウムも検出されたことも、ここの問題だろうと思う。

さて、今後のことだが、福島第一原発の向かうべき道すじはとても限定されてきているように思う。
長くなったので、これについては項をあらためることにする。
いずれにしても、昨日書いた記事を参考にしていただいて、観測されている放射線量の値に注意していてほしい。
昨日書いた記事「原発ニュースの読み方/いつ逃げるべきか(あえて書く)」はこちら

2011年3月28日月曜日

原発ニュースの読み方/いつ逃げるべきか(あえて書く)

以下に書く意見は、あくまで私個人の見解であり、専門家の裏付けをもらったものでもない。が、一般の方よりはいくらか原発のことに詳しい一個人の意見として参考になるのではないかと思い、流すものである。

一般人が原発ニュースで混乱したり、理解できなくなってしまう項目がいくつかある。順次解説していきたいと思う。
まずは放射線量について。
いろいろな数字がさみだれ式に発表されるが、一般人はそれをどう読めばいいのかさっぱりわからないだろうと思う。
以下、とてもざっくりした見解だが、あくまでも「目安」として皆さんがニュースを見る際に参考になる「数字の読み方」を解説しておく。

原発が出す放射性物質にはいくつかの種類があるが、ここでは種類は扱わない。「線量」についてのみ、まずは理解してほしいと思うからだ。
放射線の線量の単位もいろいろあるのだが、ニュースで聞くもっとも多いのが「シーベルト」という単位だ。「Sv」と書く。
数字が大きくなればなるほど健康に影響が出て、最悪、死に至る。東海村の事故では2名の方が亡くなった。即座に死に至らなくても、ガン発生率が増加することは衆知のことだろう。

「シーベルト」を見るとき、その単位に注目してほしい。
ざっくりいって、累積で1シーベルトの放射線を浴びると、人はほとんど死に至る。
いまテレビに出てくるのは、「ミリシーベルト」と「マイクロシーベルト」という単位だ。「ミリ」は1000分の1、マイクロはさらにその1000分の1、つまり100万分の1。
通常、私たちが生活している圏内で「ミリ」という単位が登場することはない。たまに「ミリ」が出てきてびっくりするのは、原発でいまもおこなわれている作業周辺のニュースだ。
高濃度の放射性物質で汚染された水に足を突っこんで被曝した作業員は、足に2000ミリから3000ミリ(2〜3シーベルト)の被曝をしたとされているが、命には別状はないと報道されている。

原発の敷地内ではミリシーベルト/時単位の放射線が計測されている。なので、さまざまな復旧作業が困難を極めている。
このときの単位は「ミリシーベルト/時」である。つまり、1時間そこにとどまっていると受ける線量、ということになる。
たとえば、10ミリシーベルト/時の場合、10時間いると100ミリシーベルトを被曝することになる。
このあたりは詳しく書いていると字数がいくらあっても足りなくなるので、一般生活のレベルの話に進める。

生活圏内で測定されて発表されている単位は「マイクロシーベルト/時」である。単位としてはとても小さい。
しかし、これも「累積」で考えなければならない。
東京でもそうだが、私は大切な友人たちが郡山にいるので、ある一定単位を超えたら避難することを助言しようと思っている。その根拠をここに書いておきたい。

人が放射線を浴びたとき、健康に影響が出る目安が100ミリシーベルトといわれている(ことが多い)。累積である。
ものすごく乱暴だが、私はこれを1年間そこに住みつづける、という設定で考えてみた。
1年間で累積100ミリシーベルトに達するには、1日約274マイクロシーベルトになる。1時間では約11マイクロシーベルトだ。
このことから、住んでいる地域の放射線量が10マイクロシーベルトを超えてくるようだったら、退避することを考えたほうがいい、という目安ができる。
で、現在、現実にはどうなっているか。

福島第一原発30キロ地点では、17マイクロシーベルトという値が出ている。私だったらただちに避難を勧める。
東京は0.1マイクロシーベルト。これは年間累積にすれば、876マイクロシーベルト、すなわち0.9ミリシーベルト。問題ない、と私は考える。
郡山は3マイクロシーベルト程度かそれ以下で現在は推移している。これもいまのところただちに退避するような値ではないだろう。しかし、油断はできない。(あくまで私の)目安である10マイクロシーベルトを目前ににらんでいる値だ。

これらの値も屋外にいるか屋外にいるかによっても、影響はことなる。
とても判断が難しい。これらを「各自の正しい判断に基づいて冷静に行動するように」と丸投げする政府もどうかと思う。
つまり、政府は頼りにならない。
皆さん、可能な限り正確な知識を身につけ、いのちを守ってほしい。とくに若い人たちに対して大人は責務があると思う。

福島第一原発の状況、悪化か? 2号機を中心に

すでに何度か書いたが、私は原発銀座と呼ばれる若狭地方がある福井県出身であり、ある事情でお蔵入りしてしまったが『原発破壊』という長編小説を書いたことがある人間として、一般人より多少原発事情に詳しいので、読みにくいニュースや状況の解説をTwitterやブログで流している。
ここ数日、外部電源が回復した、ということで、事態は好転していくのではないかという希望的観測を持っていたが、たったいま入ってきたニュースを見るかぎり(いまも東電の会見が続いている)事態は悪化しているように見える。

原発は炉心がある圧力容器がまんなかにあり、それを格納容器が覆っている。
圧力容器は数十気圧という高圧で運転され、格納容器も数気圧ある。格納容器の設計圧力限界は、原子炉によって異なるが、第一原発については4気圧程度だと理解している。
この格納容器の下部構造の一部であるサプレッションプールが壊れ、高濃度の放射性物質を含む水が漏れだしていることは間違いない。炉内の燃料棒が壊れ、それに直接触れた水が、高濃度の放射線量を持っているのだろう。

その水が原子炉建屋のみならず、横に建てられているタービン建屋の地下へも広がっている、というニュースが昨日はいってきた。
ふたつの建屋は下部構造でつながっている。
この高濃度に汚染された水を除去しなければ、原子炉冷却機能の復旧作業ができないだろう。3号機で作業員が被曝したのは、この水のせいだった。
たったいま入ってきたニュースでは、汚染された水がさらに「トレンチ」と呼ばれる建屋の外の施設にまで広がっている、というのだ。
トレンチは建屋の外の地面の下にある配管などを通すトンネルのような施設なのだが、そこが水でほとんど満水になっている。そしてその水の表面は1000mSvという、致死的な放射線量が測定された。

水はタービン建屋内にある「復水器」というものに入れて除去しているようだが、その容量がすでに満杯に近いという。
地下に広がった大量の汚染水を、復水器ひとつで処理することは不可能だろう。
原子炉には引きつづき、冷却のために水を投入しなければならず、すると汚染水はさらに増えてくる。これ以上増えると、汚染水はトレンチからあふれだし、海や原発の敷地外へと広がっていくこともありうる。
事態は悪化しているように思える。

ほかにも1号、3号、4号という予断を許さない状況も同時進行中だ。

1号機。
原子炉建屋の上部は水蒸気爆発で消失している。
原子炉で燃料棒が一時露出したため、水を注入して冷却しているも、炉内の圧力と温度がさがっていない危険な状態が続いている。こちらも目を離せない。

3号機。
水素爆発による建屋の損壊がもっとも激しい。ヘリコプター映像で見ると壊滅的な印象を受ける。
水蒸気や黒煙があがるたびに作業が中断している。
ここはプルサーマルによるプルトニウムを含んだMOX燃料を使用しており、この燃料棒が環境に出るようなことがあってはならない。

4号機。
原子炉は停まっていたが、使用済み燃料プールが高温になり、水素爆発で建屋が損壊。そのために外部からの放水によるプールへの注水が可能になった。
現在も放水はつづけられていて、プールはほぼ満水。いちおうの落ち着きを見せているといえる。

学童のメンタルケアに出向きますよ(教師・保護者含む)

昨日の日記にも書いたけれど、『音読・群読エチュード』の見本ができてきて、現代朗読基礎講座でさっそくテキスト(教科書)として使っている。
また、先行予約購入してくれた方々に、先ほどメール便で送らせてもらった。流通事情がまだ悪いらしく、到着には数日かかるといわれた。ご予約いただいた方、少しお待ちくださいね。

この本には具体的な音読・群読エチュードがたくさん載っている。また、何人かで群読パフォーマンスを作るためのシナリオ例も掲載してある。
昨日の基礎講座ではエチュードをいくつかやってみた。全員、大人。
学童向けというか、学童の指導者向けに書いた本だが、エチュードは大人もやれるし、やってみると楽しい。基礎講座の参加者たちも楽しくやってくれた。

このエチュードはほとんどが、ことばと身体の関係を自覚し、それらを接続させていく目的のために作られている。
人はストレスにさらされると、呼吸、言葉、身体の接続が希薄になり、こころも不安定になる。これらを再接続することで、こころの安定を取りもどすことができる。
いままさに、厳しい情報に接している我々大人と、その大人の影響をもろに受けて不安定になっている子どもたちに、それが必要であろう。

このエチュードを使った子どもたちのメンタルケアに、私は呼ばれればどこへでもうかがう準備がある。
また、継続的に子どもたちをケアしてもらうために、教師や保護者にもエチュードのやりかたを共有してもらいたいとも思っている。
遠方でも可能なかぎりうかがいたい。
どうぞ気兼ねなくお声がけください。
また、私の呼びかけをあなたの知り合いの方や、学童に接している方に広めてください。

「音読・群読エチュード」(ラピュータ刊/1890円)

次世代オーディオブック・リーダー養成講座受講生募集(第九期) 

東北関東大震災で亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。また被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。
アイ文庫では今回の災害にあたって、直接被災しなくても心身の調子を崩した方が多いことを受け、災害時のメンタルケアに役立つ情報を無料オーディオコンテンツとして製作・配信し、多くの方に利用いただいております。
また、オーディオブックは気持ちを落ち着かせる効果があることがわかっているため、あらたにヒーリング系コンテンツを製作し、配信しています。こちらもまた多くの方に喜んでいただいてます。

アイ文庫では、こういった無料コンテンツや、有料オーディオブックのためのリーダー(朗読者)の育成に力をいれています。
四月も養成講座を開催します。これが第九期生となります。 

主催:アイ文庫
協力:ことのは出版
   現代朗読協会

★次世代オーディオブック・リーダー養成講座 
 声優/ナレーター/朗読者のためのステップアップ講座 
 申込みはこちら

【概要】 

オーディオブックの読みや収録についてのノウハウとトレーニング法を一日で集中講義します。 
その後1〜2か月のトレーニング期間をおいて最終オーディション(収録)をおこないます。 
合格者は、ことのは出版(株)のオーディオブックリーダーとして登録され、商業コンテンツの収録に備えていただきます。 

【詳細】 

(1)集中講座 

以下の日程で開催される一日集中講義を受講していただきます。 
とても居心地のいい世田谷の築76年の古民家で、一日じっくり学んでいただきます。 

 日時:2011年4月18日(月)10:00〜18:00 
 場所:羽根木の家(世田谷区/京王井の頭線新代田駅からゆっくり歩いて4分) 
 受講料:33,000円 

(2)トレーニング 

収録用の作品を選び、(1)の内容の習得と(3)にむけての1〜2か月間のトレーニング期間を設けます。 
期間中は、メールによる指導と面談(またはスカイプ、希望者のみ)で習得状況をチェックします。質問等も自由です。 
理解度や技術レベルによっては現代朗読協会のワークショップに参加していだくこともあります(参加費免除)。 

(3)オーディション 

アイ文庫のスタジオにて収録をおこないます。 
収録後、数日以内に合否を決定します。 
合格者は、ことのは出版(株)のオーディオブックリーダーとして登録され、商業コンテンツの収録に備えていただきます。 
すでに一期生から四期生が実際の収録をおこなったり、収録の準備をはじめています。 

【本講座の特徴】 

オーディオブックリーダー(朗読者)は、ナレーターでもアナウンサーでもなく、声優でもない、新しい声のジャンルです。 
オーディオブックの朗読にチャレンジしてみたいと思っている人が多いなか、その読みや収録についてのノウハウをしっかりとアドバイスしてくれる場所はそう多くありません。 
そんななかで、アイ文庫は、今後も長くネットコンテンツとして流通していくに耐えるクオリティを持ったオーディオブックの制作とリーダーの育成にあたっています。 
単なる音読コンテンツではなく、「朗読作品」としてのオーディオブックを読める人を育てることが目的です。 

文芸朗読、詩曲集、教科書朗読、英語朗読などで業界随一のクオリティと実績を持つアイ文庫のオーディオブック・ディレクターが指導にあたります。 
ただ読むだけではない、情報伝達のみにとどまらない、「表現」の域にまで踏みこんだクオリティの高いオーディオブック収録ができるハイレベルなリーダー(朗読者)の育成をめざします。数多くの実践的なノウハウを盛りこんだプログラムで予定しています。 

アイ文庫のツイッターも参考にしてください。 

この10年でNHKすら著しい劣化したことを感じる映像

かつてNHKはこれほどの社会性の強い、クオリティの高いドキュメンタリーを作っていた。
ということを感じる映像を、野々宮卯妙がmixi日記で紹介していた。
mixiが使える人はこちらを見てみてください。

これを見てから、現在のNHK(民放はもちろん話にならず)を見ると、たった10年あまりで巨大なメディアがこんなにも簡単に劣化してしまうんだな、と実感できる。
私たち自身もしかり。
とにかく、いいつづけるしか停められないだろう。劣化も原子力推進政策も。
知り合いに、隣にいる人に、家族に。
そしていま、私たちは、TwitterやBLOGなどのネットツールを手にいれた。一国の政権するひっくり返しうる力を持ったツールであることを認識しよう。

2011年3月27日日曜日

春うふ2011、盛況感謝

一昨日、金曜日。
大塚の音楽堂anoanoにて、Oeufs(うふ)のひさしぶりのライブ「春うふ2011」をおこなった。
こういう時期なので来客予約がなかなか進まなかったのだが、それでも当日は知り合いを中心に多くの方に来ていただいた。ほぼ満席。ありがたいことである。
いずれにしても、私たちは今回のライブでも、被災地にも思いをはせながら誠意をつくして音楽や朗読を伝えようと考えていた。

少し遅めの20時開演。
まずは桜の花メドレーで「霞か雲か〜見渡せば〜さくらさくら〜花」。
日本の春の歌で「早春賦」の印象派バージョンと「おぼろ月夜」の変態コードバージョン。
つづいて春にまつわるスタンダードナンバーで「September In The Rain」と「They Can't Take That Away From Me」。
ここで朗読の野々宮卯妙に参加してもらって、「スカボロフェア〜朗読〜It Might As Well Be Spring」という組み合わせ。テキストは私が書いたオリジナルストーリーを使った。

ここで今回の災害で犠牲になった方や被災された方々のことを思って、1分間の黙祷を皆さんとともに。
そのまま野々宮卯妙の朗読で「祈る人」、そしてオリジナル曲「ここへとつづく道」。
いちばん新しいオリジナル曲の「いつも」と、オリジナル曲の「鳥の歌」。
最後に、スタンダードナンバーの「Smile」。

とてもアットホームな共感の多いライブになったと思う。
演奏にはもちろん瑕疵がないわけではなかったが、来客の皆さんが深く音楽と朗読に触れてきてくれたのがありがたかった。
ハイチに行ったとばかり思っていたエクトル・シエラさんが、ビザが降りなくて行けなかったと、来てくれた。秀恵ちゃんも来てくれた。ゼミ生たちや、バンガードさんたち常連の方、さやかの知り合いやファンの方たちも来てくれた。ゼミ生のなおこさんは中学生の娘さんを連れてきてくれた。
ひさしぶりにprayerさんが写真を撮ってくれた。
ここに張ってある写真はすべてprayerさんが撮影したものだ。

終わってから、残ってくれた人たちと打ち上げ。
軽く、と思っていたが、結局終電近くになってしまった。
とても大きなステップとなるようなライブだったと思う。2011年の311災害、春うふ、できてきたばかりの新刊『音読・群読エチュード』、いくつかのあたらしいげろきょの講座。ここから、私たちは再スタートを切る。

ところで、次回Oeufs(うふ)ライブが決まりました。
5月21日(土)昼、「初夏うふ2011」をやります。今度は下北沢の〈Com.Cafe 音倉〉が会場です。

2011年3月26日土曜日

【心のトラウマ予防ガイド:災害直後にできること】新版・転載自由

・・・ 今、私たちに必要なのは、安心感と、将来を予測できる感覚を取り戻すこと・・・

大震災のような衝撃的な出来事は、私たちの身体や感情にも衝撃をもたらします。

あなたや家族、友人たちが、衝撃的な出来事を見たり、聞いたり、実際に体験した際、それが心の傷(トラウマ)になってしまわないよう、ジーナ・ロス氏、ピーター・リヴァイン氏の「災害直後のトラウマ予防ケア」(藤原千枝子氏訳)を元にガイドをまとめました。

少しでも多くの方の訳に立ちますように、心から祈っています。

〜 熊谷 珠美(臨床心理士)・下村 美刈(臨床心理士)・牧野 有可里(臨床心理士)【順不同】


◆ ぜひやってほしいこと ◆

1. テレビやラジオは一定時間だけつけることにしてください。

必要な情報を得るため、ニュースを一定の時間だけ視聴したら、テレビやラジオをしばらくの間消しましょう。さらなる情報を得るために、2時間ぐらい間をおいてテレビをつけるのはいいでしょう。

ただ、そこで繰り返し流される災害の映像には十分に注意してください。こうした映像のもつ吸引力は非常に強力です。後でモヤモヤしたり、気分が落ち込んだり、涙が止まらなくなったりすることが分かっていても、私たちは映像に引きつけられ、釘づけになってしまいます。テレビを見続けたいという誘惑に抵抗しましょう!



2. 積極的に、意識的に、人とコミュニケーションをとるよう努めてください。

家族や友人など身近な人で集まり、お互いをサポートしましょう。人とつながりあうことで、私たちはショックな出来事からより早く立ち直ることができますし、またより適切に対応できるようになれます。

もし自分が状況に問題なく対処できていたとしても、他の人は恐怖や無力感を抱いているかもしれません。それを理解することは何よりも大切なことです。ショックな出来事に対する人の反応はそれぞれ異なります。正しい反応、間違った反応があるわけではありません。



3. 自分一人では、または友人の助けがあっても十分に自分を落ち着かせられないと感じる場合、専門家の助けを求めましょう。

専門家に助けを求めたからといって、あなたがおかしいとか、弱いとか、そういうことでは全くありません。



4. 災害時においては、 “何もやることがない”という時間を持たないようにし、なるべく計画的なスケジュールを立てましょう。



5.     近所の集会所などにみんなで集まれるような場を企画して、集まりましょう。

人が集まる場所に出かけましょう。無料のワークショップがあれば積極的に参加しましょう。



6. 自分の持つリソース(資源)を再確認してみましょう。

自分を落ち着かせてくれる、自分の中心がしっかりと軸が通っているように感じさせてくれる、より地に足が着いていると感じさせてくれるものに意識を向けることが重要です。自分の力になってくれるリソースになるものなら何でも構いません。例えば…「自分の前にある観葉植物が、目に入ってくるとホッとして優しい気持ちになれる」と感じるなら、これもリソースです。そういった、人、活動、場所といった自分のサポートシステム全てに注意を向け直しましょう。趣味も大きなリソースです。映画や編み物、庭いじり、料理、子どもやペットと遊ぶ、自然の中に行くなど、自分が没頭できることをやってみましょう。



7. 自分の感覚、感情、考えを書き出しましょう。

書くことは不安を解放し、自分の中に物事をちゃんとコントロールできるという力の感覚を取り戻すのに役立ちます。



8. 十分に休息しましょう。

非常時は交感神経系が過剰に働きすぎて、アドレナリンに 突き動かされ、身体を疲労困憊させてしまいやすいものです。だからこそ、ぜひ意識的に休みましょう。



9.  自分の体験を他の人や自分自身に何度も繰り返し語りたくなっていないか気づいてあげてください。

何度も何度も話しすぎてしまうことは、心の傷(トラウマ)を深めることがあります。悲劇的なことや、大惨事にあったとき、お互いに話しを聴き合ってサポートすることは大切なことです。その前に、ぜひ自分が感じている感情を、たとえ嫌なものであっても「今、自分の心の中に、こういう感情がある」ことに気づき、空に浮かぶ雲のように、電車の窓から見える景色のように、少し距離をとって眺めてみてください。

例えば人災の後に起こる、強い怒りや、復讐心はとても自然な反応です。自分の感情を感じたら、その感情から湧きおこってくる衝動に任せるのではなく、理性的な方法で感情を表現しましょう。そうすると、圧倒されることなく感情を感じることができ、「〜しなくてはならない」というせっぱ詰まった思考にとらわれないですみます。



10. 感情と行動は別のものです。建設的な行動を取るようにしましょう。



11. ボランティア、献血、寄付、家族や友人の話に耳を傾ける、など、“今の自分”ができることをしましょう。心に傷を受けた友人や家族は、怒っているかもしれませんし、他人を責めたくなっているかもしれませんが、批判することなく耳を傾けてみましょう。もし一人になる時間が必要な様子であれば、そうできるように、彼らや彼女たちの子どもを預かったり、家事を手伝ったりしてみましょう。



◆ 心理的な反応 ◆

 災害が起きると、私たちにはさまざまな反応が生じます。いつもと異なる自分の反応に気づいてみましょう。

起こった出来事(現実)を嘆き悲しんだり、受容する前に、多くの場合、まずショックを受け、次に否認(現実を認めない・認めたくないという防衛反応)、怒り、気分の落ち込みを感じます。



1. しばらくの間ショック状態で、ボーッとして自分がここに居ないような感じ、現実感が感じられず遠くから自分を眺めているような(あるいは、まるで映画を観ているような)感覚、喜怒哀楽などの感情が湧かない、時間感覚、場所の感覚、あるいは人との関係が分からない、何を食べても美味しく感じられないなど五感が麻痺したような状態にある人もいるでしょう。



2. 恐れや深い悲しみ、空虚感や無力感を感じることもあるでしょう。こうした感情は当然のものであり、やがて消えていくでしょう。

3. 混乱したり、思考・集中、記憶や問題解決が困難に感じたり、うつ、疲労、休息できない、どこかへ消えてしまいたい感じなどの感情も、長く続かない限りはすべて自然なものです。



4. 動揺、不安、過度の警戒、イライラ、感情がコントロールできない感じがする時は自分を落ち着かせてくれる創造的な表現活動に従事してみましょう。例えば、お喋りする、メールする、絵を描く、ネイルアート、工作、料理、詩を書く、踊る、歌う、楽器を演奏する、などなど。また、家族や友人と共にいることは、落ち着く助けになります。



5. 疑心暗鬼になったり、被害妄想に陥ったり、激しい怒りが湧いてきたり、反発心が膨らんでむやみやたらに反抗したくなったり、批判的になってすべての人を責めたくなったり…そんな自分に気づいた時には、家族や友人、あるいはカウンセラーに話し、自分の印象が正しいかどうかをチェックしてみましょう。



6. 子どもたちは、赤ちゃん返りしたり、スキンシップをいつも以上に求めてきたり、怖い夢を見たりする場合があります。腹痛や吐き気、頭痛を訴える子どももいるでしょう。イライラしている様子が見て取れ、攻撃的な行動を取る場合もあるかもしれません。災害時には、このような反応が生じるものです。何日間かこうした状態が続くかもしれませんが、そのうち終わります。子どもたちには安心だと感じること、守られていると感じることが必要です。



◆ 身体的な反応 ◆    

災害時に、身体的な反応が出ることは自然なことです。以下にあげたような反応が見られても、危険に備えて身体が「活性化」しているサインだと認めてあげてください。それを怖がらないことが大切です。

*心拍が速くなる

*呼吸困難

*血圧の上昇

*胃が縮む、喉がつかえる

*筋肉の震え

*皮膚が冷たくなり、思考がぐるぐるする

上記のような反応を抑えようと無理に抵抗しなければ、やがて消えていきます。



睡眠が困難になったり、食欲が増して衝動的に食べ過ぎてしまったり、刺激の強い食べ物を欲したり、お酒や薬をいつもよりも多く摂取したくなったり…これらは動揺の表れです。最良の「解毒剤」は、こういった様々な自分の衝動に気づき、自分は深く動揺しているのだという事実を受け入れることです。そうすることでこうした感覚は消えていくでしょう。

人々の症状は多種多様です。気になる場合は、専門家に相談してみてください。



◆ 役に立つ反応 ◆

私たちは、自分たちの神経系が過剰に刺激された際、それらをどのように解放すればいいのかを理解することで、神経系のバランスを取り戻すことができます。以下はその例です。

*震え、発汗

*身体の温かさ

*お腹が鳴る

*深い呼吸

*泣く、笑う

 こうした反応は良い反応です。つまり、エネルギーをいくらか解放し、身体がバランスを取り戻しつつあるということです。私たちがやるべきことは、ただ身体に何が起きているかを、批判することなく観察することです。自分たちがどう感じるかをただ感じるままにして、身体がやりたいことをやるだけの時間を与えてあげれば、身体には自らバランスを取り戻す力がちゃんと内側に備わっているということを理解するだけでいいのです。



◆ やってみてほしいこと ◆

 「グラウンディング(地に足をつけること)」が非常に重要です。もし方向感覚を見失ったり、混乱したり、取り乱したり、何も信頼できない感じがしたら、以下のエクササイズをやってみるといいでしょう。

*エクササイズ1*

椅子に座り、地に足がついているのを感じます。太ももを押し、座面に触れるお尻を感じ、背中が椅子に支えられているのを感じます。周りを見回し、赤か青の色がついているものを6つ選びます。これにより今この瞬間にいること、より身体が地についていることを感じられるようになります。呼吸がゆっくりと穏やかになっていくのに気づきましょう。外に出て草の上に静かに座りたくなるかもしれません。地面に座りながら、大地にお尻が支えられているのを感じてください。

*エクササイズ2*

身体は感情を抱える「入れ物」…そうイメージしてみてください。そして、身体の各部分を手でやさしくパタパタとたたいてみましょう。手首に力を入れないようにしましょう。あなたの身体がよりチクチクしたり、生き生きしたり、はっきりと感じられるかもしれません。感情によりつながりやすく感じられるかもしれません。

*エクササイズ3*

身体の筋肉を部位ごとに緊張させて、ゆっくりとゆるめていくエクササイズです。まずはじめに、胸に腕を巻きつけて肩を抱き、しっかり握ってみましょう。それから、パンパンパンと腕を上から下まで軽くたたいていきます。同じことを足でも行います。足を緊張させ、その足を手で外側からつかみ、パンパンパンと足を上から下まで軽くたたいていきます。猫背になって背中を緊張させ、次に、胸を反らして身体の前を緊張させ、それからゆっくりとその緊張をゆるめていきます。



これらのエクササイズは、バランスを取り戻す手助けをしてくれます。



その他、スポーツや、エアロビクス、ウエイトトレーニングなど身体を動かすことは、気分の落ち込みから自分を守ったり、怒りや苛立ちのエネルギーの解放に役立ちます。



引用文献:ジーナ・ロス/ピーター・リヴァインからのサポートメール(本文の内容はトラウマ療法ソマティック・エクスペリエンスなど複数のメソッドに依った。訳:藤原千枝子)

今日の午後はアレクサンダーテクニークを用いた心身ケア

現代朗読協会では今回の災害で心身に不調をきたしている方のために無料でケア・ワークをおこなっています。
今日の午後(夕方に近い時間になると思いますが)は、アレクサンダーテクニークの公認インストラクターが来てくれて、心身ケアをおこなってくれます。

アレクサンダーテクニークを用いたケア・ワークは、すでにかわかみひろひこさんや安納ケンさんがおこなってくれましたが、今日はまた別のインストラクターです。
ちょっとしたサプライズかもしれません。
え、あの人がアレクサンダーテクニークの公認インストラクターの資格を持っていたの? と驚かれる方多いんじゃないかと思います。

それはともかく、不安や罪悪感を覚えていたり、心身が萎縮しているように感じている方がおられたら、気兼ねなくいらしてください。
事前のご連絡をお願いしています。
「info@roudoku.org」または「090-9962-0848」までご連絡ください。場所、時間などの詳細を折り返しお伝えします。

2011年3月25日金曜日

震災発生から今日で丸2週間がたった

ちょうど2週間前の午後、地震と津波災害が起こった。
亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、まだ行方がわからない方々の一刻も早い確認ができることを望む。また、被災された方々には心よりお見舞い申し上げる。
そして、ある意味では、日本全国が被災しているともいえる。
今回の災害でなにも感じなかった人はいないだろうし、心を傷めたり、心身の調子を崩したりした人も多いのではないか。
私たちは今後何年も、この災害と共存しながらやっていかなければならないだろう。また、あまり考えたくはないが、そうする間にもまたあらたな激甚災害が起こらないともかぎらない。

たとえば東海沖大地震。まちがいなく起こるといわれていて、今回の三陸沖地震とおなじく、いつかは起きるだろう。
それがわかっていながら、そしていまの現状を目の当たりにしながら、たとえば静岡の浜岡原発の点検中で停まっていた炉を4月から動かそうという電力会社と行政の神経がわからない。いや、神経そのものがないようにすら思える。
しかし、九州電力は、現在定期点検中の玄海原発の運転再開を見送ったという。これがわずかではあるが、まともな神経だろう。
いま、まさにいま、大人は子どもたちのために声をあげていきたい。私たちが声をあげて、経済優先という人間不在のシステムを停めなければ、おなじ悲劇、あるいはさらに大きな悲劇を繰り返すことになるだろう。
大人が未来を変え、子どもが未来を作る。地球全体のためにも原発は停めよう。知恵を出し合って停めよう。思考停止に陥らずに停める方法を考えよう。

さて、私たちがお互いに元気でほがらかに知恵を出しあうためにも、私にできることはやっていきたい。
そのひとつが、朗読であり、音楽である。
音は人を慰撫してくれる。言葉はときに人を傷つけることがあるが、音は人を柔らかく保護膜のように包みこんでくれる。それを共有する人たちのつながりを深め、元気にしてくれる。
今夜は「春うふ2011」ライブだ。こういう時なので来てくれる人は少ないかもしれないが、せいいっぱい音メッセージをみなさんと共有したいと思っている。

今夜の無料ライブ「春うふ2011」の詳細はこちら

2011年3月23日水曜日

近日予定、みなさんへのお誘い含む

スケジュール整理もかねて、近日予定を書きだしてみます。
みなさんへのお誘いも入ってます。おつきあいいただければ幸い。

1. 今夜はアレクサンダーテクニーク講座

単発でやることはめったにないので、チャンスです。
18:30~21:30、羽根木の家にて。
一般6,000円、現代朗読協会員4,000円。
詳細はこちら

2. 明日は体験講座

午前中は朝ゼミ部活編ですが、その午後14:00~16:00です。
羽根木の家にて。参加費2,000円。
詳細はこちら

3. 明日夜はNVC勉強会

NVCとは非暴力コミュニケーション(NonViolent Communication)のことです。
18:30~21:00です。興味のある方はどうぞ。

4. 明後日は「春うふ2011」ライブ@大塚・音楽堂anoano

私と伊藤さやかによる音楽ユニットOeufs(うふ)のライブです。朗読もからみます。
無料になりました。20:00~21:30くらい。
この時節のせいかお客さんがかなり寂しい状況なので、来てくれるとうれしいです。無料なので知り合いなど気軽にお誘い合わせの上、おいでください。
詳細はこちら

5. 日曜日から朗読基礎講座スタート

毎週日曜日の午後は6回シリーズの基礎講座です。その初日が次の日曜日。
ある程度のカリキュラムやお作法にのっとってやります。
詳細はこちら

6. 『音読・群読エチュード』発売
あさって25日配本予定。定価1,800円。
予約・購入はこちら

7. 朗読カウンセリングやってます(随時)
引き続き、災害情報のなかで心身のバランスを崩して不調を感じている方のために、心身ケアのためのカウンセリングを無料でおこなっています。どなたも気楽においでください。
詳細はこちら

2011年3月22日火曜日

うふ「おぼろ月夜」ボランティアイベントにて

2011年3月5日に東松原のレストラン〈スピリット・ブラザーズ〉で養護施設の子どもたちを招待してのボランティアイベントがおこなわれました。音楽ユニットOeufs(うふ)も出演し、春の歌を何曲か歌いました。その模様から抜粋してお送りします。

うた:伊藤さやか
編曲/演奏:水城ゆう
著作・制作:アイ文庫

ひさしぶりにOeufs(うふ)がライブをおこないます。
このことに関してメッセージを書きました。よかったらお読みください。
ライブの詳細は下記のとおり。皆さんのお越しをお待ちしております。

◎日時 2011年3月25日(金)20:00から/開場19:30
◎場所 音楽堂anoano
◎料金 無料
    席数に限りがあります。かならず予約をお願いします。

※詳細とお申し込みはこちらから。

一連の「災害時のメンタルケア」関係記事のまとめ

多くの方にご利用いただいている「災害時のメンタルケア」ですが、テキスト、音声ファイル、映像ファイル、その他追加や補足の書きこみなどありますので、ここでいったん整理しておきます。
ご参考までに。

【すべての方へ】災害時のメンタルケア(追記あり)

「災害時のメンタルケア」音声化、できました

「災害時のメンタルケア」音声に続き映像もできました

「災害時のメンタルケア」の拡散について

ちいさなお子さんがいる方へ

音読カウンセリングを随時おこなっています(無料)

2011年3月21日月曜日

東北関東大震災発生から10日がたった

95年の阪神淡路大震災のとき、私はちょうど1週間後に現地入りして、ボランティア活動をおこなった。
今回はまったく様相が違う。広範囲であり、津波被害があり、さらには原発事故が追い打ちをかけている。
現地はまだまだ緊急避難対策のまっただ中であり、私の経験則も予想もまったく通用しない事態がつづいている。

津波で浸水した地域にポンプを持ちこんで、排水している映像が流れている。
とにかく水が引かないことには復興もない。
しかし、ここにまたふたたび家屋を建てるのはどうだろう、と私は思うのだ。もちろん
無責任な考えであることは充分わかっている。しかし、津波がふたたび来ないという保障はないばかりか、いつかはまた必ず来る。復興するなら、いまからそのことも視野に入れた計画を至急立てるべきではないか。

福島第一原発の破損は、最悪の事態を崖っぷちで踏みとどまっているように見える。
このまま事態が収束してくれることを祈るばかりだ。
しかし、今日は原乳やほうれん草、カキナに出荷制限が出た。周辺地域の生産者は本当に気の毒だ。この影響はしばらく続くだろう。いつまで続くのかはわからないが。

まだまだ先のことを考えられない状況ではあると思うが、被災地から離れている地域に住んでいる者は、先のことも考えながら支援していけるのではないかと思う。
私は震災発生時から、特に原発関係のわかりにくい情報を追いかけて、なるべく知識のない人にもわかりやすいように流す、ということに多くの時間を使ってきた。
また、「災害時のメンタルケア」という文章が多くの人の役に立っていることがわかり、積極的にそれを広め、また音声化や映像化といった作業もおこなった。
羽根木の家を開放して朗読カウンセリングをおこなったり、ソマティック・エクスペリエンスの方たちにメンタルケアのワークをやってもらったり、アレクサンダー・テクニックのインストラクターにケア・ワークをやってもらったり、といったことをしてきた。それは現在もつづいている。
後方支援地ともいえる東京の人たちをまず元気にすること。災害情報に接して心身の不調におちいってしまっている人々に、平常の調子を取りもどしてもらうこと。

こういうことをおこないながら、私自身も現在進行形で学びつづけている。
いまここで学んでいることを、なるべく近いうちに被災地でも役立てられないか、とも考えている。現地入りするのもいいし、現地にいる人にワークをやってもらったり、有用な情報を届けるのもいいだろう。
引きつつぎ、私ができることで有用なことがあれば、しっかりとやっていきたい。
被災地の皆さんが一日も、早く安全で安心できる場所に落ちつかれることを願う。

サウンドスケッチ「気分がよくなる方法」

ひさしぶりのサウンドスケッチ作品です。
現在の状況のなかで気持ちが落ちこんでいる方に送る、私からの音手紙です。
作・音楽:水城ゆう、朗読:岩崎さとこ。
元テキストはこちらで読めます。ただし音声化の際に少し変えてあります。

ケロログ「RadioU」で配信中。

2011年3月20日日曜日

「災害時のメンタルケア」の拡散について

地震発生二日後の3月13日に、臨床心理士の牧野有可里さんから送られてきた「災害時のメンタルケア」という文章をブログで公開して以来、大変多くの方に読んでいただいた。
私のブログのアクセスカウンターだけでも二日間で5万アクセス以上をカウントしており、皆さんがそれぞれ転載してくれた分も入れるとおそらく軽く10万人以上には読まれているだろう。

専門家にも使ってもらっているらしい。
臨床心理士の資格をもつ聖学院大学児童学科の金谷教授も使ってくれているらしいし、ほかにも心療内科の主治医からこのテキストをもらって読んだというような話も聞く。某有名作家のブログにも引用されているのを見た。
それだけ有用性が高いということなのだろう。

ただ、なかには一部改変したり、部分的にしか引用されていなかったりする場合がある。それでも有用性は損なわれないとは思うが、できれば改変せずにそのまま転載していただけるとうれしいし、そのほうが有用性はより保たれると思う。
著作権のようなものは主張してはいないが、出典を明らかにしてもらえるとさらにありがたいことはいうまでもない。なぜなら、出典がはっきりしていれば信頼性も保障されるからだ。出典がはっきりしていない情報を信用しない人は多い。

目の不自由な方や、文字を読むことが困難な方、つらい方のために、音声版も作った。
これには私の音楽をBGMとして用いた。幸い、好評をいただいている。
こちらのほうは二日間で約500ダウンロードがある。

さらに映像版も作ってみた。私の音楽をBGMに、映像は羽根木の家の庭から見える木々の、風に揺れる様子をカメラをただ回しっぱなしにして撮ったものだが、こちらも好評をいただいている。
それぞれのありかは以下のとおり。

「災害時のメンタルケア」
オリジナルテキスト
音声版
映像版(YouTube)

朗読カウンセリング開催中

世間は三連休らしい。私は例によって関係なし。
昨日の土曜日は、午後にOeufs(うふ)のライブ「春うふ2011」のリハーサル。
今回は日本の唱歌、スタンダードナンバー、オリジナル曲、そして朗読と、なんべんなく取りそろえている。いずれも春にちなんだもの。ひさしぶりのOeufs(うふ)ライブである。
そして「春うふ」の次の「初夏うふ」の計画も立てた。

「春うふ2011」は来週3月25日の夜、大塚の音楽堂anoanoにて開催です。
入場無料。
詳細はこちら

リハーサル後、伊藤さやかとラジオトークを収録。
Podcast番組「RadioU」に編集して流す。
Oeufs(うふ)による「RadioU」はこちら

夜は三軒茶屋のシアター・トラムまで、石村みかが出演しているサスペンデッドの芝居「カラスの国」を見に行く。
この時節、残念ながらお客さんは少なかったが、なかなかクオリティの高いステージだった。いろいろ刺激を受けたり、考えさせられること、多し。

この三連休中、「朗読カウンセリング」のために羽根木の家を開放している。
どんなことをやっているかというと、まずはただ羽根木の家の掘りごたつでほっこり暖まって話をするだけでも落ち着いてもらえるのだが、ほかにも呼吸法をやったり、身体を動かしたり、実際に読んでもらって、自分の声と身体性を確認することで気持ちも落ち着いてもらっている。
明日もやる予定だが、明日はとくに臨床心理士の牧野さんが来てくれるので、さらに頼もしい。みなさん、遠慮せずにいらっしゃいね。

震災から音楽ライブ「春うふ2011」へ

東北関東大震災が発生してから10日近くがたち、いまだ被災地ではさまざまな困難に直面しています。
その間、私たちOeufs(うふ)も、自分たちにできることはなんだろうかとずっと考えつづけてきました。
直接的にできること、直接現地入りする、物資を運ぶ、義援金を送るなど、いろいろあるでしょうが、間接的にできることもあるのではないか。たとえば現地を支援するための一番の力になる首都圏に踏みとどまっている人たちを元気にすること。
そういう思いから、「春うふ2011」は計画どおりに開催することにしました。ただし、入場料は無料にさせていただきます。
その理由についても、このなかで話しています。

「春うふ2011」は3月25日夜です。詳細はこちらをご覧ください。

また、Oeufs(うふ)のライブ映像を公開しています。
なにかと心ざわつくことが多いなか、小さなお子さんがいるお母さんはいっしょに歌を歌ってみてはいかがでしょう。
Oeufs(うふ)のライブ映像はこちらからご覧いただけます。

ケロログ「RadioU」で配信中。

「災害時のメンタルケア」音声に続き映像もできました

大変多くの方にお読みいただいている文章「災害時のメンタルケア」ですが、音声化したオーディオファイルに続いて映像化したムービーファイルもできました。
朗読、まりも。音楽、水城ゆう。

テキストはすでに多くの方にご利用いただき、ネットでも拡散中ですが、オリジナルはこちらです。

【災害時のメンタルケア】は、
トラウマ療法であるソマティック・エクスペリエンス®(SE)の療法家(米国在住)から届いたサポートメールをSEプラクティショナーであり臨床心理士の藤原千枝子とSEトレーニーであり臨床心理士である牧野有可里がまとめたものである。

拡散していただく場合は、できるだけ改変せず、オリジナルをご利用ください。

2011年3月19日土曜日

今日(3/19)と明日(3/20)「朗読カウンセリング」を無料でおこないます

現代朗読協会では、不安な思いを抱えながらひとりですごしている方に、朗読カウンセリングを無料でおこなっています。
今日と明日もおこないます。
この土日は会社や学校がお休みです。自宅でひとり不安を抱えている方がおられたら、どうぞいつでも遠慮なく「羽根木の家」までおいでください。

羽根木の家は世田谷区羽根木にあります。最寄り駅は京王井の頭線の新代田です。
予約は不要です。
事前連絡だけください。
メールアドレスは「info@roudoku.org」です。
もちろん、会員・ゼミ生も歓迎です。

うふ「春の小川」ボランティアイベントにて

2011年3月5日に東松原のレストラン〈スピリット・ブラザーズ〉で養護施設の子どもたちを招待してのボランティアイベントがおこなわれました。音楽ユニットOeufs(うふ)も出演し、春の歌を何曲か歌いました。その模様から抜粋してお送りします。

うた:伊藤さやか
編曲/演奏:水城ゆう
著作・制作:アイ文庫

ひさしぶりにOeufs(うふ)がライブをおこないます。
このことに関してメッセージを書きました。よかったらお読みください。
ライブの詳細は下記のとおり。皆さんのお越しをお待ちしております。

◎日時 2011年3月25日(金)20:00から/開場19:30
◎場所 音楽堂anoano
◎料金 無料
    席数に限りがあります。かならず予約をお願いします。

※詳細とお申し込みはこちらから。

2011年3月18日金曜日

これからは被災地を思いながらすごすその一歩のライブ「春うふ2011」

震災から1週間。そして「春うふ2011」まで1週間。
さまざまな行事が取りやめになり、自粛ムードが広がっている。節電ということもあるだろう。被災地を優先させるために、移動や物資輸送を控えるということもある。
そんななか、アーティストたちがいろいろなメッセージを出している。
義援金のような形で支援する人もいれば、被災地に向けてメッセージを表現することで支援しようという人もいる。いつもどおりの活動を淡々とおこなっていくことが、結局は応援することになるのだ、という人もいる。現地がある程度落ち着けば、現地入りして直接被災された方々を励まそうとする人も出てくるだろう(すでにいるかもしれない)。
友人の石村みかが出演しているサスペンデッドの「カラスの国」も、シアタートラムで昨日から公演がはじまった。

1週間後に音楽ユニットOeufs(うふ)のライブが予定されている。
プロ野球の開幕は延期になったが、私はライブを予定どおりおこなうことにした。
ライブ会場に来るのに交通機関を使わなければならないが、来てしまえば、そこに集まってくれた人たちの家は電力消費が少なくなり、たぶんライブ会場の電力消費のほうが少ないはず。という考え方もある。
それより、ライブに来てくれた人たちが、一時的に日常生活や災害情報から離れ、リフレッシュしたり、前向きの気分になったり、癒されたりして、また翌日から元気にほがらかに生きていく気持ちになれたらいい、と思うのだ。

今回、歌の伊藤さやかのリクエストで、チケット代を「無料」にすることにした。なので、みなさん、どうぞ気軽に、知り合いの方を誘っていらしてほしい。
チケット代はもともと2,000円だったのだが、もしその気があれば、そのうちのいくらかでも自分の都合よい方法で被災者の支援にあててほしい。そうすれば、会場費を自腹で払うといっている伊藤さやかもまた、それだけの貢献ができたことになる。

ひさしぶりのOeufs(うふ)のライブだ。
童謡、唱歌、スタンダードナンバー、オリジナル曲、朗読など、いつものようにトークとともにお送りする予定だが、少しだけ被災地のことを想う時間をいただきたい。
たぶんこの先何年も、私たちは今回の激甚災害と付き合っていくことになるだろう。日常生活をしていても、いつもどこかに災害のことが関わってくることになるだろう。
なので、それをあたりまえのこととして受け入れる準備をしておきたい。いまはまだ「特別のこと」としてびっくりしているばかりだが、自分なりの日常をきちんと送りながらも被災地のことを普通に思っていられるようになりたい。
今回のOeufs(うふ)のライブも、いつものように音楽、朗読、トークで皆さんと楽しみながら、被災地のことにも想いをはせてみる。
そんなふうにやりたい。
皆さん、来てね。

「春うふ2011」の詳細はこちら

私にできること、みなさんができること

東北関東大震災から1週間がたった。
今回は津波被害が加わり、被災地の方々は本当に大変だと思う。まだまだ「復興」という言葉にはほど遠い、緊急避難の状態がつづき、長引いている。
電気、水道、通信などのライフラインの復旧も遅れている。避難所からは命に関わる厳しいニュースがとどく。
それでも幹線道路が回復し、港が使えるようになり、鉄道も復旧しはじめた。

大震災発生当日から私は原発に危険を感じ、一般人よりは多少ある知識を役立てようと、ツイッターやブログを中心に、ニュースなどで流れてくる原発の状況の「読み方」を流しつづけてきた。
直接私に聞いてくる人もたくさんいた。
外国人がさっさと逃げてしまったり、関西以西へと向かう人が出てきたりと、そういう状況を目の当たりのすると、東京は大丈夫なのかと思う人が出てくるのは当然だ。とくにお子さんがいるような方はそうだろう。
こういうときは冷静で正確な情報と、その読み方が必要になる。少しでもお手伝いできるのは、その部分だろうと思っている。

それから、現代朗読協会の「羽根木の家」を活用しようと思った。
自分はとくに危険な状況になくても、災害情報のなかで精神的肉体的な不調をきたしている人が多いようだった。まずは初期の帰宅難民を受け入れ、ひとり暮らしで不安を覚えている人を受け入れ、またボランティアのワークショップを専門家の人にやってもらってメンタルケアをおこなった。
今日も午後と夜、かわかみひろひこさんがアレクサンダー・テクニックを用いたケア・ワークをやってくれることになっている。
被災難民を受け入れようかと考えたこともある。が、それはやめることにした。できるだけ多くの人に利用してもらうことで、間接的にではあるが被災地の支援ができると考えたからだ。

羽根木の家につながっている人たちにお願いがある。
この羽根木の家を支えていただきたい。羽根木の家も、私の活動も、みなさんのバックアップがなければ存続できない。
現実的には家賃を毎月払わなければならないし、生活費も必要だ。私がいまのように多くの方に無償でいろいろなことを提供できるのは、協力してくれる方がたくさんいらっしゃるからだ。
みなさんもぜひそのひとりとして協力してほしい。
ただ来てくれる、私をフォローする、ブログ記事を拡散する、ワークショップやライブを知り合いに知らせてくれる、いっしょに連れてきてくれる、情報を提供してくれる。たくさんやってほしいことがあるし、私が思いつかないようなこともあるかもしれない。
もちろんみなさんも独自に被災地支援をおこなっていると思うが、羽根木の家を支援することも災害支援になるのだということをわかっていただき、支援をお願いしたいと思う。
どうぞよろしく、なのだ。

福島第一原発事故、今日が山場のひとつと見られる

北沢防衛大臣の「今日が限度」という昨日の発言でひやひやしていたが、どうやら昨夜は最悪の事態を乗りきったような感じだ。
昨日の夕方、自衛隊の放水車による注水が30トン程度成功した。現時点での核燃料プールの発熱量だと、試算では50トン程度の注水で維持できる、という大学教授の発言もあった。
今朝になって、原発周辺の放射線量が微減傾向であることが観測されている。

自衛隊は今日の午後から、ふたたび放水する準備をしている。テレビで見ると、かなりの数の消防車や特殊放水車が集結しているようだ。
また、東電の発表によると、現在、外部電源を引きこむための工事が急ピッチで進められていて、今日中に1号機と2号機、明日には3号機と4号機に電源が来るという。そうなると、いろいろな対策ができるのではないと思われる。

海外の報道や、反原発派の評価では、かなり危機的な状況だといわれているが、少なくともいまの状況が劇的に悪化せず、対策が進んでいけば、最悪の事態は回避できるのではないか、という印象を、少なくとも私は持っている。

今日の風向は北西。風は山から海に流れている。
福島の皆さんの安全と無事、そして原発事故の収束を心から願っている。

2011年3月17日木曜日

ボランティアイベントにて「どこかで春が」

2011年3月5日に東松原のレストラン〈スピリット・ブラザーズ〉で養護施設の子どもたちを招待してのボランティアイベントがおこなわれました。音楽ユニットOeufs(うふ)も出演し、春の歌を何曲か歌いました。その模様から抜粋してお送りします。

うた:伊藤さやか
編曲/演奏:水城ゆう
著作・制作:アイ文庫

ひさしぶりにOeufs(うふ)がライブをおこないます。
詳細は下記のとおり。皆さんのお越しをお待ちしております。

◎日時 2011年3月25日(金)20:00から/開場19:30
◎場所 音楽堂anoano
◎料金 無料
    席数に限りがあります。かならず予約をお願いします。

※詳細とお申し込みはこちらから。

メンタルケア・ワーク2日め、災害時のメンタルケアの音声化

今日も午前中からメンタルケアのワークショップ。昨日に引きつづき、ソマティック・エクスペリエンスの牧野さんと玉木さんが来てくれた。
今日はもともと木曜ゼミの日だが、こういう内容のゼミがあってもいいだろうということで、メンタルケアのワークを皆さんにも受けてもらうことにした。岩崎さとこも来た。

始まる前に、みんなへの前説を兼ねてささっとラジオ収録。
ラジオはこちらから聴けます。

午後も引きつづき、メンバーが入れかわってワーク。私も少し受けてみた。
気持ちがよくリラックスし、全身の緊張がほぐれると同時に、自分自身の身体にセンサーがもどり、マインドフルになる時間だった。
それにしても、牧野さん、玉木さん、さぞやお疲れのことでしょう。無償ですばらしいワークを提供していただいて感謝。

合間にまりもちゃんをつかまえ、やはり牧野さんたちが書いていま多くの人に読まれている「災害時のメンタルケア」を、朗読収録する。
すぐに編集し、私の作った音楽を載せて、フリーの音声ファイルとしてネットで配布する。
とりあえずは Twitaudio にアップロード。
こちらから聴いたりダウンロードできます。目の不自由な方や文字を読むことが困難な方に聴かせてあげてください。

ちなみに、元になった文章「災害時のメンタルケア」はこちら

現時点ですでに230件のコメントがつき(半分は私ね)、56,000の人が読んでくれたようだ。これは私のブログだけの記録で、皆さんが拡散してくれていることを考えれば、この倍以上の人が読んでいるのではないだろうか。

「災害時のメンタルケア」音声化、できました

大変多くの方にお読みいただいている文章「災害時のメンタルケア」ですが、音声化したオーディオファイルができました。
こちらから聴けます(ダウンロード可)。

朗読、まりも。音楽、水城ゆう。
目の不自由な方や文字を読むことが困難な方のために、どなたもダウンロードして配布していただいてかまいません。
拡散してください。

福島第一原発、「今日が限度」北沢防衛大臣

自衛隊ヘリコプターによる3号機への注水がおこなわれた。今後も継続的におこなわれるかどうかは不明。
また、機動隊の散水車11台を使って、これから地上からの注水も試みられるとのこと。
3号機について、炉心は圧力容器や格納容器が破損したということはないが、使用済み核燃料プールのほうが問題。

プールは15メートルの深さがあり、5メートルほどの核燃料は底に沈められているのだが、発熱するので冷却水が徐々に蒸発し、燃料棒がむき出しになってしまったのではないか、との見解。そうなると、核燃料を保護している鞘状の金属が、高熱によって溶融し、核燃料がむき出しになる。
再臨界に達する(核分裂反応を起こす)ことはないとのことだが、問題は核燃料がほぼむき出しで大気に触れている状態がある、ということだ。放熱とともに大量の放射性物質が吹きあげられて拡散する。げんにそのような状態になっているのではないか。
これは4号機についてもいえる。

北沢防衛大臣が「今日が限度だ」といったことを受けて、菅首相は今日の散水と放水決行を決めたという。このことはNHKの解説委員が言明していた。
今日、燃料プールに注水が成功しなければ、大量の放射性物質が拡散することになる、その限度だ、という意味だろうと思う。

注水のほかに、第一原発の外部電源の回復も試みられている。
外部から電源が来れば、まだいろいろなことがやれるかもしれない。そもそも炉心が不安定な1〜3号機の冷却系の回復は必須事項で、電源の回復は最優先課題だ。

「今日が限度」という発言を受けて、私が考える注目ポイントは、次の4点。

・燃料プールへの注水が効果を奏するかどうか。
・外部電源が回復できるかどうか。
・線量値の変化。
・風向。

今日いっぱい、客観的な情報の観察につとめたい。

災害時のメンタルケアとソマティック・エクスペリエンス

かたいタイトルですが、現代朗読協会では昨日・今日と「災害時のメンタルケア」と称してメンタルケア・ワークを無料でおこなっています。
コーディネイトしていただくのは臨床心理士の牧野由可里さんと、玉木素子さん。ソマティック・エクスペリエンスという方法を用いたワークをおこなっています。
また、ソマティック・エクスペリエンスを用いた「災害時のメンタルケア」という文章が多くの方を楽にしています。その文章はこちらから読めます。

現代朗読協会「羽根木の家」では、今日の午後もそのケアワークをおこなっています。
また明日の午後はアレクサンダー・テクニックを用いたケアワークもおこないます。いずれも無料ですので、どなたも気兼ねなくおいでください。

ケロログ「RadioU」で配信中。

2011年3月16日水曜日

災害時のメンタルケア・ワークの一日め、そしていろいろ

一昨日は私のこのブログを約35,000の人が見てくれたという記録が残っていて、びっくりした。多くの方が「災害時のメンタルケア」という文章にアクセスしたようだが、必要とされているものをお届けできて私もうれしい。

今日はその文章を作ってくれたソマティック・エクスペリエンス(SE)という心的ケアを勉強している方たちが羽根木の家にやってきて、無償でワークを行なってくれた。
午前中は一般参加者ではなく、SEの方たちといろいろな話をさせていただく。
私はSEそのものを知らなかったので、教えてもらったり、現代朗読のことを皆さんに知ってもらったり、NVCの説明をしたりと、おもに情報交換。お互いに協力できそうなことがたくさんあって、有意義だった。

その間に『音読・群読エチュード』の出版社ラピュータからメール連絡。
「地震の影響で関係製紙工場が水没するなどで、手配に苦慮しております。昨日の時点では、当初予定していたのとは別の紙を使うことでなんとか進行中とのことですが、印刷機も不調だそうで、まだいつできあがるかどうかという予定が見えてきていません」
とのことで、23日刊行予定だったそうだが、遅れそうだ。
まあこれは命に関わるような話ではないので、こちらが辛抱すればすむこと。

「災害時のメンタルケア」を音声化してはどうか、ということを思いつき、Twitterやmixiで呼びかけてみる。
すぐにレスポンスがあり、何人かが協力してくれることになった。
うちでも作るが、それぞれ個別に勝手に音声化して流してくれれば、目の不自由な方やストレスで文字を読めなくなっているような人にも届くかもしれない。

午後もメンタルケアのワークを2回。
Oeufs(うふ)の伊藤さやかも来てくれた。
来週25日(金)にOeufs(うふ)のライブ「春うふ2011」を大塚でやる予定だが、自粛もせず、普通にやりたいと考えている。被災していない地域の人間は、通常に生活をいとなみ、計画されたことはきちんと実行することが、結局は被災地支援になるのだと考えている。

伊藤さやかの希望(彼女が自腹を切る形)で、「春うふ2011」はチケット代無料にすることになった。
その分、来場いただける方には各自の裁量で義援金や支援物資に回していただければと思う。
楽しいライブにして、被災地に元気を送ります。

明日も羽根木の家で「災害時のメンタルケア 〜自分を取り戻すワーク〜」を開催する。
無料。
災害情報に接してつらい思いをしている方は、どなたも気兼ねなくどうぞ。詳細はこちら

音楽ライブ「春うふ2011」のお知らせ

オリジナルナンバーはもちろん、童謡・唱歌などのなつかしいメロディをあたらしい音でお送りする音楽ユニット〈Oeufs(うふ)〉が、ひさしぶりにライブをやります。

◎日時 2011年3月25日(金)20:00から/開場19:30
◎場所 音楽堂anoano
    豊島区南大塚1-49-2 ハイムデルムンド103
    JR大塚駅よりゆっくり歩いて8分
◎料金 無料
    席数に限りがあります。かならず予約をお願いします。
    申し込みページはまだ2,000円となってますが、そのまま送信してください。

※ご予約・お問い合わせはこちら

歌は伊藤さやか。音楽は水城ゆう。
今回は朗読のゲストに野々宮卯妙も参加します。
春の童謡や唱歌をはじめ、新曲をふくむOeufs(うふ)のオリジナルナンバーを、トレードマークであるゆるゆるトークとともにお送りします。どうぞお楽しみください。

自分を取り戻すワーク、災害時のメンタルケアを音声化してくれる方

現在、羽根木の家ではソマティック・エクスペリエンスという方法を用いた「自分を取り戻すワーク」をおこなっています。
これは明日もおこないます。10:00、13:00、15:30の3回です。
災害情報に接して気分が悪くなったり、不安を覚えたり、気持ちが落ちこんだり、いわれのない罪悪感に襲われたり、といった方におすすめです。
無料でおこなっています。気兼ねなくいらしてください。
詳細はこちら

こちらに来られない方はブログ記事「災害時のメンタルケア」をご利用ください。

これはすでに10万人以上に読まれていますが、これを音声化してくれる人を募集しています。
目の不自由な方や、文字を読むのがつらくなっている方のために、音声化(朗読)して音声ファイルで配布します。
協力していただける方は私までご連絡ください。
こちらへのコメントでもいいです。

2011年3月15日火曜日

ボランティアイベントにて「春よ来い」

2011年3月5日に東松原のレストラン〈スピリット・ブラザーズ〉で養護施設の子どもたちを招待してのボランティアイベントがおこなわれました。音楽ユニットOeufs(うふ)も出演し、春の歌を何曲か歌いました。その模様から抜粋してお送りします。

うた:伊藤さやか
編曲/演奏:水城ゆう
著作・制作:アイ文庫

ひさしぶりにOeufs(うふ)がライブをおこないます。
詳細は下記のとおり。皆さんのお越しをお待ちしております。

◎日時 2011年3月25日(金)20:00から/開場19:30
◎場所 音楽堂anoano
◎料金 2,000円
    ご予約の方にはもれなく招待券1枚をプレゼントします。

※詳細とお申し込みはこちらから。

東京電力福島第一原発の事故、現況まとめ

東京電力福島第一原発には全部で6基の炉があるので、混乱する方もおられるようだ。自分のためのメモという意味も含めて、簡単に現況をまとめておきたい。

・1号機
冷却系停止→燃料棒露出→排気→水素爆発で建屋上部破壊→海水注入
現在は海水注入がうまくいっており、燃料棒も全水没。落ち着いている。

・2号機
冷却系停止→燃料棒露出→排気→サプレッションプールあたりで水素爆発か?
現在も海水注入中だが、水位はあがらず、燃料棒は露出した状態。
排気は1号機と3号機とは違ってサプレッションプールの水を通して放射能を除去しながらやろうとしていたらしい。そのためにサプレッションプールの上部に水素がたまり、それが爆発したのではないか。これは水城推測。

・3号機
冷却系停止→燃料棒露出→排気→水素爆発で建屋上部破壊→海水注入
海水注入を継続するも、水位は完全にあがらず、いまだ燃料棒は露出している、という経過中だったように記憶するが、どうなってる?

・4号機
火事発生。その後消化。
使用済み核燃料を一時保管して完全に冷やすためのプールがあるが、冷却系が停止したことで冷却水が補給されず、プールの水が蒸発したのではないか。使用済みといっても核燃料はしばらく発熱がある。
水が干上がると使用済み核燃料は大気中に露出。燃料棒被膜のジリコニウムと水蒸気が反応して水素が発生。それに引火して火事になったのではないか。
消化が成功したとはいえ、プールに給水できない状態が続けば危険な状況は継続する。
この状況は、1号機から3号機、および5号機と6号機についてもいえるのではないか?

現況でもっとも危険と思われるのは2号機だろう。
サプレッションプールは格納容器の構造物の一部であるから、内部が壊れたとはいえ格納容器そのものの一部に損傷が起きたといえる。
露出が継続している燃料集合体の経過も気になる。

第一原発の敷地内では、人体に影響がある毎時数百シーベルトという高濃度の放射線が計測されている。作業員もそれにさらされて長くは作業できないはずだ。
放射性物質はまだほとんど放出されてはいないが、それでも周辺の計測値や、東京のほうの計測値にも変化が出ている。
いまのところ値は落ち着いているが、上昇し続けるようなことがあれば厳重な注意が必要になってくるだろう。

小さなお子さんがいる方へ

私のブログにコメントを寄せていただいている方の多くが、小さなお子さんをお持ちだ。
それで知ったり気づいたことなのだが、小さな子どもに災害関連のニュース映像を見せるのはよくないと思う。
大人でもこれだけ繰り返し悲惨な映像や、危機を訴える情報を浴びつづけたら、不安になる。身体も心もおかしくなる人が出てくる。子どもにとって、このような映像がどのような心の傷となって残るかわからない。
テレビを消して、いっしょに歌を歌ったり、絵本を読んだりしてあげてほしい。
危険がなければ外に出るのもいいだろう。
そして災害の情報を知りたければ、ラジオをつけるのがいい。私もラジオを利用している。

被災しなかった私たちにできるのは、日常生活をしっかりとすごすことだろう。こちらが健全でいれば、それだけ被災地への援助もしっかりとおこなうことができる。
被災地のことをかんがえながら、普通に毎日をすごそう。そしてできることがあれば着実にやる。
「この非常時に」という自粛ムードをうながす言葉があるようだけど、これは害あって一利なしだと私は思っている。
子どもも大人も、ほがらかに元気で日常ベースから被災地を支えよう。

2011年3月14日月曜日

BLOG記事「災害時のメンタルケア」についての追記

多くの方から「とても救われた」「まさに自分はこの状態だった」「助かりました」などの声が寄せられている、

◎BLOG記事「災害時のメンタルケア」

ですが、この文章は、トラウマ療法であるソマティック・エクスペリエンス®(SE)の療法家(米国在住)から届いたサポートメールを、SEプラクティショナーであり臨床心理士の藤原千枝子とSEトレーニーであり臨床心理士である牧野有可里がまとめたものです。
本文にも「追記」として掲載してあります。

「災害時のメンタルケア 〜自分を取り戻すワーク〜」を開催します

☆自分を取り戻す為のワークを一緒に体験してみましょう☆

今回の災害で被災されたかたはもちろん、被災されていなくても不安を感じている方は多いと思います。
ただテレビ映像を見ているだけで不安に襲われたり、涙が出てきたり、無力な自分を責めてしまったり。あなたはそんなことはありませんか?
それはあなたの心のサインです。サインに耳を傾け、自分をいたわってあげる必要があります。そしてまた元気を取りもどし、自分にできることを行動に移していってください。

少しでも不安があれば、気兼ねなくお越しください。

※グループでのワークとなります。個人セラピーではありませんのであらかじめご了承ください。
※ワークは約2時間程度です。

日時:2011年3月16日(水)/17日(木) 両日とも午前10時から午後5時くらいまで
場所:「羽根木の家」世田谷区羽根木1-20-17
電話:090-9962-0848
募集人数:10名くらい
料金:無料

コーディネーター:牧野有可里
協力:現代朗読協会

※申込
「info@roudoku.org」までメールをください。
折り返し、時間帯などのご相談をさせていただきます。

16日(水)は、SEプラクティショナー藤原千枝子(臨床心理士)、SEトレーニー牧野有可里(臨床心理士)と数人のSEトレーニーが皆さまをサポートします。
17日(木)は、SEトレーニー牧野有可里(臨床心理士)他、数人のSEトレーニーが皆さまをサポートします。

SEのワークの他、臨床動作法や呼吸法など様々なワークを一緒に体験できればと考え
ております。
※動きやすい服装でお越しください。
※靴下の着用をお願い致します。

◎牧野有可里(臨床心理士・心理学博士)
ソマティック・エクスペリエンス(r)他、.EMDR、臨床動作法、サイコソマティック・インテグレイション・アプローチ、リラクセーション(自律訓練法、マインドフルネス呼吸法など)などトラウマに有効とされる心理療法を精神科クリニックで実践している。

◎BLOG記事「災害時のメンタルケア」
多くの方から「とても救われた」「まさに自分はこの状態だった」「助かりました」などの声が寄せられている「災害時のメンタルケア」は、トラウマ療法であるソマティック・エクスペリエンス®(SE)の療法家(米国在住)から届いたサポートメールを、SEプラクティショナーであり臨床心理士の藤原千枝子とSEトレーニーであり臨床心理士である牧野有可里がまとめたものである。

有用情報(災害時メンタルケア/原発事故)につとめますが

昨日から今日にかけてこのブログへのアクセスが急激に増え、今日は朝の9時から13時までの4時間で1万アクセスを超えた。
ありがたいことである。
私の記事が多くの方のお役に立てればこんなにうれしいことはない。なるべく有益な書きこみをしていきたいと思っているが、そもそもここは私が好き勝手に書きものをする場所なので、なかにはいつもの無責任なおちゃらけ文章も混じるかと思う。その節にはどうぞ寛大な心で読み流していただきたい。

ちなみに、昨日の午前中に流した「災害時のメンタルケアについて」という文章は、多くの方がコメントを寄せてくれ、またいろいろな場所に転載してくれたり、友人に転送してくれたりしているようだ。
埋もれてしまわないように、リンクURLのみ書いておく。

「災害時のメンタルケアについて」はこちら

また、現代朗読協会では災害時心的ケアのために、専門家と連携しながら「音読セラピー」「音読コンサルティング」をおこなっている。
気になる方は気兼ねせずに来てほしい。無料。
詳細はこちら

原発事故は行政と大企業による嘘のツケを住民が支払わされている

福島第一原発3号炉が水素爆発を起こした。周辺住民には屋内退避指示が出されている。
相手は放射能だから、もし飛散していたら木造の建物などは屋内退避など気休めに近い。
現時点でテレビ映像で見るかぎり、3号炉の建屋の外壁が吹きとんで、骨組みだけになっているのが見える。1号機とほぼおなじ状況と思われる。

私は福井県生まれだ。
ご存知の方もあるかと思うが、福井県には13基の原子力発電所が稼動している。
子どもの頃から、こういう説明を繰り返し受けてきた。
「原発は安全です」
「原発は環境にいい発電所です」
「地震が起きても原発は安全です。自動的に停止します」
「地震が起きても原発が壊れるようなことはありません」
「もし事故が起こっても放射能が外に漏れるようなことは絶対にありません」
今回の事態を見るかぎり、これらの言葉はすべて嘘だったことがわかる。
行政と大企業は国民に嘘をつきつづけてきたのだ。

嘘には高い代償を支払わねばならない。
その代償を支払うのは、行政でも大企業でもなく、住民なのだ。そして、代償はお金や財産だけでなく、生命そのものである。

福島第一原発3号炉の現在、危険な状況を認識

原子力安全・保安院の発表によれば、福島第一原発3号炉が危険なことになっている。
ポンブによる海水注入をおこなっているが、なかなか水位があがってこない。一時、格納容器内の圧力が5気圧にまで高まった。
その後若干下降し、敷地境界での放射線レベルが上昇した。ということは、排気をおこなったのだろう。

作業員を一時退避させた。
これは相当危ない状況になったということだろう。水位をあげることが第一なのだが、そのための作業員を退避させるというのは、なんらかの破壊的な徴候に備えた、ということになる。

燃料棒は半分以上が露出していると推定される、とのこと。
これがもっとも危険。
燃料棒の露出した部分は冷却がされず、どんどん加熱していく。燃料ペレットを収めている筒状のジリコニウムという金属は、高温で溶融するほか、水蒸気と触れて水素を発生させる。
現在はかなりの水素が圧力容器内や、排気とともに格納容器、1号炉と同様に建屋内にもたまっている可能性がある。
また、ジリコニウムが溶融した場合、燃料棒は形が崩れて炉の底へと崩落する。そこに燃料がたまると(密度があがると)、核反応が進み、再臨界という事態にもなりうる。

福島第一原発では、ほかにも1号炉、2号炉も状況が心配だ。
さらに、東海村の東海原発も冷却ポンプが停止している、という情報がある。
多くの情報が出てきていないいま、慎重な注視と情報の正確な分析が必要だ。

今日(3/14)も「朗読カウンセリング」を無料でおこないます

現代朗読協会では、不安な思いを抱えながらひとりですごしている方に、朗読カウンセリングを無料でおこなっています。
今日もおこないます。
今日は月曜日で出勤される方も多いと思いますが、なんらかの理由で自宅でひとりで不安を抱えている方がおられたら、どうぞいつでも遠慮なく「羽根木の家」までおいでください。

羽根木の家は世田谷区羽根木にあります。最寄り駅は京王井の頭線の新代田です。
予約は不要です。
事前連絡だけください。
メールアドレスは「info@roudoku.org」です。
もちろん、会員・ゼミ生も歓迎ですよ。

2011年3月13日日曜日

東北地方の原発現況と「被曝」について

自分自身のメモも兼ねて書きとめておく。
現在、東北地方には以下の原子力発電所がある。

女川原子力発電所(東北電力) 3炉
1〜3号機
福島第一原子力発電所(東京電力) 6炉
1〜6号機
福島第二原子力発電所(東京電力) 4炉
1〜4号機
東通原子力発電所(東北電力) 1炉

計14の原子炉が東北地方には存在する。
うち、福島第一原発の4号機、5号機、6号機の3炉と、東通原発は、定期点検で停止中だった。
残りの10炉は稼動していたが、地震ですべて自動停止した。
「冷温停止」という、安全にコントロールされた状態で停まった炉は、女川の1号機と3号機、福島第二の3号機。残りはなんらかのトラブルによって冷温停止に至っていない。
とくに福島第二の1号機と3号機が重大なトラブルに見舞われているのは周知のとおり。残りもどういう経過をたどっているのか、慎重に見守る必要がある。

福島第二のトラブルに見舞われている2炉は、現時点で海水が炉心に大量に注入され、温度上昇は止まって落ちついていると発表されている。が、おそらく燃料にはなんらかの損傷が生じているし、うまく停止したとしても廃炉はまぬがれない。莫大な処理費用がかかることだろう。

作業員や住民の「被曝」のニュースも流れた。
この「被曝」という言葉について、私も含めほとんどの人がまったく知識がないだろうと思われるので、まずは簡単にまとめておきたい。
詳しいことはさらに順次調べていきたいが、とりあえずは人体への影響について。

人体に影響を与える放射線量は「シーベルト(Sv)」という単位で表現される。
通常は「ミリシーベルト(mSv)」が使われることが多い。

人が一年間に浴びても健康に影響がない、とされる線量は1mSvである。
これが福島第一では1時間で浴びる単位が計測されたので、問題になった。これは圧力容器内の放射能を含む水蒸気を外に逃がしたためだ。
ちなみに、レントゲン撮影のときの線量は0.1〜0.3mSv。

人が普通に生活していて自然界から受ける線量は2.4mSv。
放射線業務事業者(たとえば原発で働く人)が5年間にさらされてよいとされる法定線量、および、放射線業務事業者が一回の「緊急作業」でさらされてよいとされる線量は、100mSv。
1度に250mSv以上を浴びれば白血球の減少、500mSv以上を浴びればリンパ球の減少。
1,000mSv以上を浴びると急性放射線障害となる。吐き気、嘔吐、水晶体混濁などの症状におちいる。
2,000mSv以上になると出血、脱毛などが起き、5パーセントの人が死亡する。
3,000〜5,000mSvで50パーセントの人が死亡し、7,000mSv以上でほとんどの人が死亡する。

ほかに、原発関連で使用される放射線を表現する単位には、さまざまな目的、さまざまな角度のものがあるので、知識がないと混乱する。
ニュースで出てくるものを中心に、今後もチェックしていく。

福島原発事故セカンドステージ・3号炉の経過

福島第一原発3号炉の経過を簡単にまとめておく。
緊急停止したが、炉心冷却のための給水ポンプが起動せず、水位が低下して燃料棒が冷却水から露出した。
一時、3mも露出した、という情報もあった。
そのため、別の手段で核反応を抑える物質であるホウ素を混ぜた真水を炉心に注入したのだが、それでも水位の低下が止まらず、やむなく海水の注入に踏みきった。
この時点で、事実上、原子炉の廃棄を決断したことになる。
廃炉には数千億円のコストがかかるといわれているので、相当レベルの政治的決断が必要だったと思われる。

この間、私の推測になるが、燃料棒の一部が損傷して、皮膜金属のジルコニウムが冷却水に落下してのではないか。
その根拠として、枝野官房長官の談話にあった「原子炉建屋上部に一定量の水素がたまっている可能性がある。1号炉のような爆発が起こってもおかしくない」というものがある。
高温の燃料棒などが落下して水に触れたとき、水が分解して水素が発生する。発生した水素が、減圧のためのベント作業で建屋内に漏れ、上部にたまったのではないか。1号炉の爆発はこのようにして起こったと思われる。

いずれにしても、現在は海水注水に成功し、燃料棒は水没しているという。
このまま原子炉の冷却に成功するのかどうか。損傷の程度が再臨界を引き起こす重大なものではないことを祈るばかりだ。

万が一、最悪の事態になったとき、放射能被害はどの程度なのか、こちらのサイトがとても客観的でわかりやすくまとまっている。

福島原発事故セカンドステージ

いくらかでも他の人より知識があるだろうと思う私ができることとして、わかりにくい原発情報を伝えておきたい。
昨日、建屋が爆発した福島第一原発1号炉は、今日は自衛隊などによる海水注水作業が功を奏して、少なくとも燃料棒は冠水しているらしい。状況はやや落ちついていると見るべきだろう。もちろん解決したわけではまったくない。

今日はそれより重大な事態に進行する可能性がある「3号炉」のほうが、危険な状況におちいっている。
東電発表によれば、3号炉の燃料棒4mのうち3mが露出した。
3号炉はMOX燃料との情報もある。MOX燃料というのは使用済み核燃料の再処理プルトニウムを混ぜた燃料のことで、通常のウラン燃料より出力は高いが融点が低く、溶融しやすい性質がある。つまりメルトダウンを起こしやすい。
またガスを発生しやすく、圧力室内の圧力が高まりやすい。

そこへ、また悪いニュースがはいってきた。
枝野官房長官の発表。
東電は3号炉について、原子炉を冷やすために水を送る手段がなくなったとして、国に対し「緊急事態」を知らせる通報を行ったとのこと。
東電は原子炉の圧力を減らすため、空気を抜くための作業と、ポンプで原子炉に給水するための作業を行っている、という発表。

どこから漏れているのかわからないが、敷地境界で基準値を超える放射線量が測定されたとの報告もある。
私はおそらく、3号炉のほうが1号炉より深刻な事態におちいる可能性が高いと思う。
ほかにも福島原発には緊急停止した炉がある。同様の事態が遅かれ早かれ進行中であろうと思う。
引きつづき情報に注意すると同時に、被災地の方々の安全を心からお祈りする。

ひとりですごしている方へ

今日は日曜日です。
仕事が休みで、家で地震関連のニュースを見ながらすごしている方も多いかと思います。
先ほど臨床心理士からいただいた「災害時のメンタルケアについて」という文章を流しましたが、よく読んで参考にしてくださいね。

現代朗読協会では、今日、不安な思いを抱えながらひとりですごしている方に、朗読カウンセリングを無料でおこないます。
どなたも気軽に「羽根木の家」までお越しください。羽根木の家は世田谷区羽根木にあります。最寄り駅は京王井の頭線の新代田です。
予約は不要です。
事前連絡だけください。
メールアドレスは「info@roudoku.org」です。
もちろん、会員・ゼミ生も歓迎ですよ。

【すべての方へ】災害時のメンタルケア

3月13日午前に知り合いの臨床心理士からとても有益な情報をいただいてこの記事を流しましたが、この情報についての説明を「追記」として3月14日夜に掲載したものをあらためて流します。
元の記事を各方面に転載したりメールしていただいた方も、できればこの「追記」の部分のみでかまいませんので、流していただけるとうれしいです。

(追記)
【災害時のメンタルケア】は、
トラウマ療法であるソマティック・エクスペリエンス®(SE)の療法家(米国在住)から届いたサポートメールをSEプラクティショナーであり臨床心理士の藤原千枝子とSEトレーニーであり臨床心理士である牧野有可里がまとめたものである。

【災害時のメンタルケア】

◆1.今こそ自分自身のメンタルケアを。

今はまだ地震直後であり、だれでもアドレナリンが噴出している時です。こういう時
は何かをしたくてたまらなくなりますが、まずはその自分自身の感覚に意識を向けて
みましょう。細々意識してみることをトラッキングといいます。
自分自身に対するサポートを最初にしてください。

私たちが落ち着いているか、不安エネルギーをまき散らしているかによって、様々な
ことが違ってきます。

◆2. テレビの視聴には気をつけてください。*特にお子様、感受性の強い老若男女
の方々。

身体がだるくなったり、ボーッとしたり、涙が出てきたり、妙な罪悪感が湧いてきた
り、不安状態にある自分に気づいたら、即刻テレビを消すか、必要なニュース速報の
みが流れてくる全く違う番組にしてください。

テレビで繰り返し繰り返し流される悲惨な映像は、非常に強い吸引力を持ちます(と
かく最近のメディアは人々の不安をあおるのが特徴です)。

人によっては催眠にかけられたようにテレビの前から動けなくなる人もいるでしょ
う。

こうした映像に何度も何度も自分をさらすことは、何の役にも立ちません。

***私たちが生きていく為に必要な情報が得られれば、それだけでいいのです!*
**

トラウマの渦の引っ張り込む力はとてもとても強力です。

サンフランシスコ大地震の時は、繰り返されるメディア報道が人々にもたらすネガ
ティブなインパクトは甚大だったといいます。


◆3. 今一番に必要なのは、身の安全を確保することです。
避難場所、食べ物、人々が安全かどうかをチェックすることが優先です。


◆4. そして非常時に最も大切なのは、人とのコミュニケーションです。
人を求めるのは、とてもとても自然なことです。

その時の自分の思いを言葉にして、所属するコミュニティでシェアしたり、身近な人
に伝えてみてください。
もちろん、手段はメールでも構いません。
「メールに書きながら落ち着いてきました。大丈夫です」とおっしゃる方、多いで
す。


☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆

特にメディアが繰り返し繰り返し流す悲惨な映像によって
距離が保てなくなり
自分が生きていることに罪悪感を感じてしまったり
全く逆に現実感を失って自分がここにいる感覚がボンヤリしてしまったり
・・・という声が私の元に次々届いております。
それで上記の文章を配信することにしたのですが、
「私の状態がそうでした!!そうだったんですね!」
という反応が今度は返ってきています。

水城先生の方でも
もしよろしければ
情報としてご使用ください。
・・・というか
是非皆さんに教えてあげてください。

自分を見失うことなく
冷静な判断ができるように。

命が守られますように・・・。

2011年3月12日土曜日

福島原発事故は最悪をまぬがれるか?

現時点でざっくりとまとめておきます。
地震が起こって、そのあと炉心の冷却ができていない、燃料棒が露出している、という情報がはいってきたとき、私はメルトダウンという最悪の事態をかんがえた。
私はお蔵入りしているけれど、かつて商業小説を書いていたとき、『原発破壊』というタイトルの長編小説を書きかけていて、原子力発電所の仕組みについてはかなり勉強して一般人よりは知識があると思っている。
その知識が、今回の事態にたいして警鐘を発しつづけていた。なので、今回の災害の初期からずっと、「原発情報に注意」とことあるごとにいいつづけていた。

第一原発1号炉の建屋が爆発で破壊されたとき、すわメルトダウンの最終段階かとびっくりした。
その後の発表で、現時点ではまだそこまで行っていないことがわかって、一時的にほっとしている。
事情は次のとおりだったようだ。

非常用ディーゼル発電機が起動せずに一次冷却水が送れなくなった炉心では、一次冷却水がどんどん減って(水蒸気化)燃料棒が露出していった。
ウラン燃料は「ペレット」という形に整形され、ジリコニウムという金属でできた鞘で包まれているのだが、加熱した燃料はその金属の鞘を溶融させた。高温のジリコニウムが水と反応して、水素ガスが発生したのだろう。
原子炉格納容器内の圧力が高まり、危険なレベルを超えたので、やむなく爆破弁で格納容器の圧力を外に逃がした。
おそらく原子力発電所内は修羅場だったのではないかと想像される。現場職員の方々は決死の覚悟で戦っていただろう。

なんとか格納容器の圧力がさがり、海水を冷却水として注入することにした。
さがったとはいえ圧力がある格納容器に海水を注入するのだから、なかの気体が爆破弁などから漏れて建屋のなかの漏れた。それが爆発を起こして、建屋の外壁を吹っとばした。

政府発表によれば、いまのところ格納容器は無事。建屋のみが吹っとんだというもの。
これはすでに書いたが、あとは大量の海水を注入して炉を冷却し、ホウ酸で再臨界などの二次災害を防止する、という対策が取られる予定。
海水を入れるというのは「廃炉」を決意したということだ。

今後の問題は、まだ炉心の反応はつづいており、再臨界を起こさせることなく完全に冷却できるか、だ。
また、冷却できたとしても、廃炉処理の問題もある。
そして、福島第一原発の他の炉と、第二原発でもまだ1号炉と同様の反応が進行している、ということ。
まだまだ注視が必要だ。

福島原発の事故で我々はどうすればいいか・追加情報

3月12日午後8時50分時点での追加情報。
その後、枝野官房長官から事態の説明があった。

冷却水を注入する際に格納容器から水素を含む気体が漏れ出し、それに引火して爆発が起こった模様。
が、格納容器は無事。建屋のみが吹っとんだもの。
あとは海水で炉を冷却しホウ酸で再臨界などの二次災害を防止する、ということらしい。海水を入れるというのは「廃炉」を決意したということだろうが、やむをえないだろう。原発は基本的に廃炉に向かえばいいと思う。
幸い、放出されている放射線量は、現時点ではまだ落ちついているとのこと。

福島原発の事故で我々はどうすればいいか・続き

祈りむなしく、最悪と思われる事態が起こってしまった。
電力会社も政府機関もこの期におよんでまったく正確な情報を出さないので推測するしかないのだが、テレビ映像(NNN)から見るかぎり、福島第一原発1号炉の原子炉建屋が水蒸気爆発もしくはそれに近い原因によって吹っとんだ。
原子炉本体になにが起こっているのかは不明。
炉心が崩壊しているなら大変だ。大量の放射線が放出されているだろう。
炉心が無事でも、これだけのダメージがあるならば、今後重大な炉心崩壊にいたる可能性は高い。

こうなったら、最悪の事態を想定して動いたほうがいい。
政府も企業も、残念ながら信用できない。彼らは国民のためではなく、自分の都合や利益のためにしか動かないことが、今回のことでもはっきりした。

最悪の事態とは、大量の放射線が事故現場から放出されることだ。
我々ができるのは、近隣の方はすみやかに逃げること。できれば風向きとは「直角」の方向に逃げること。
たとえば首都圏のような距離のある場所でも、天候と風向きに充分に注意を払うこと。必要なら迅速に行動すること。とくに若い女性と子どもには注意を払いたい。

不用意に危機意識をあおるつもりはない。が、事故にたいする意識はきちんと持ってほしい。
これは演習ではない。本当に事故が起こってしまったのだ。

福島原発の事故で我々はどうすればいいか

なかば自分のためのメモとして書いておく。
まだ進行中だが、福島第一原発1号炉、2号炉、第二原発が非常事態におちいっている。
現時点で第一原発の周辺10キロ、第二原発の周辺3キロの住民に避難指示が出て、住民は避難をはじめている。
昨日の地震発生時点から危惧していた最悪のシナリオが進行中だ。

第一原発の1号炉では、燃料棒が水面から170センチ以上露出し、燃料を覆っている被覆管が融解したという情報がある。
炉心が溶融したという情報ではない。炉心が溶融すると、いわゆるメルトダウンという最悪の事態なのだが、現時点ではそこまで進んでいない。
進まないことを祈るばかりだ。

ついいましがた原発関係者が記者会見で説明したのを聞けば、1号炉の炉心の圧力が(高温の水蒸気で)高まっていたが、ベント(弁)を破壊して開放することに成功した模様で、そのため正門付近の車での放射能モニターの値が上昇したとのこと。
一定の成果を誇っていたが、このことが炉心で起こっていることの状況をどこまで改善するものなのか、私にはよくわからない。
まだ露出した燃料棒の温度上昇や、燃料棒の破壊が進んでいくようなら、最悪の事態も充分に想定される。

メルトダウンが起こった場合、大量の放射能が外部に放出される。
天気図を注意深く見てみたのだが、首都圏に限っていえば当分は北から西の風が吹く気圧配置で、大量の放射能がやってくる心配はすぐになさそうだ。が、原発の周辺では危機的な状況が生まれるだろう。人的被害、農産物や水産物被害、そして外国へも影響が出るかもしれない。

いま私たちができるのは、原発の状況を注意深く見守り、デマや不正確な情報を見極め、専門家による客観的な情報を正確につかむ努力をすることだろう。そして、必要があれば迅速に行動できる準備をしておくこと。
とくに若い女性や子どもは必要に応じて避難する準備をしておくほうがいいかもしれない。
事態を注意深く見守りたい。

2011年3月11日金曜日

連載「今日のみずきさん」の練習:楽しいゴミ出し

私が住んでいる地区は、火曜日と金曜日が可燃ゴミの日だ。今日もそうだった。
先週末、羽根木の家でげろきょ(現代朗読協会)の朗読ライブパーティーがあったので、大量のゴミがたまっていた。皆さんもそうだろうが、毎週二回(資源ゴミや不燃ゴミもそれに加わる)のゴミ出し作業は、いつ終わるということもなく、生きている限りつづく仕事だ。
もちろん、自分はそんなことはやらない、妻に(あるいは夫に/あるいは使用人に)任せている、という人もいるだろう。が、生きている以上、なんらかの「処理物」は発生する。自分で処理するか人に処理させるかの違いはあるかもしれないが。
どうせやらなきゃならないなら、この「ゴミ出し」をなるべく楽しくやる私なりの方法がある。ほんのささいな思考転換ゲームのようなものだ。
「今日はゴミを出さなければならない」と考えるから苦痛になる。だから、「今日はゴミを出せる」と考える。それだけ。
簡単でしょ?
実にささいなことだが、それだけの思考転換でおどろくほど気分は軽くなる。嘘だと思うならやってみてほしい。
この思考転換ゲームはゴミ出しに限らず、ほかのいろいろなことに応用できるのでおすすめなのだ。

2011年3月10日木曜日

「テキスト表現ゼミ」というものを始めます

現代朗読協会では、テキスト(文章/文字)を使った自己表現を研究するためのゼミナールを、4月から開講する。

1980年代末から90年代半ばにかけて、私はパソコン通信時代のNIFTY-Serve内「本と雑誌フォーラム(FBOOK)」というコミュニティのお世話役(シスオペ)をやっていた。このコミュニティ内に「小説工房」というコーナーを作り、それを主宰していた。
そこはいわば「商業出版のための虎の穴」のような場所で、数多くの小説家やライターが巣立っていった。いちいち名前はあげないけれど。
この活動はひとつのムーブメントとして大きな評判を呼び、通産省から何かの賞を受賞したりもした。
また、この成果は青峰社から書籍『小説工房』『小説工房2』として活字化された。いまでもアマゾンのマーケットプレイス(古本)などで入手できるはずだ。

その後、私自身は商業出版の世界から距離を置き、朗読や音楽を核に「表現とはなにか」ということを考えるようになった。
経済システムのなかにいると、表現についての本質的な思考ができない(すくなくとも私は)。小説を書いていたときも、書きたいもの/自分を伝えるためのものを追求するのではなく、売るための小説/お金を稼ぐための文章に目的がすりかえられてしまっていた。しかし、ものを書くのはお金を稼ぐためではなく、なにかを人に伝えるためなのだ。

商業出版からいったん離れ、音楽や朗読、ラジオ番組といった音声表現の世界にいったん戻った。これは私が20代のころからやっていたことだ。
こちらの世界でもやはり商業主義があり、経済システムの原理が強く働いている。が、幸い、いったん離れていた世界なので、比較的客観的に見たり接したりできた。ようやく「表現」について本質的な思考と実験ができるようになった。

いま私がやっているのは、あまりに細分化され、ジャンル化されすぎてしまった表現の世界を、原初的な視線で見直すことだ。
現代朗読協会という検証と実践の場で、たとえば朗読表現に演劇、語り、音楽、ダンスといった時間と空間を共有するパフォーマンスの原理を応用できることがわかった。またこれらの表現に共通にあるコミュニケーションの原理もわかってきたように思う。
では、時間と空間を作り手と受け手が共有しない表現についてはどうだろう。文学、美術、写真、映画、といった表現のことだ。
これらの表現にも共通の表現原理があり、また上記のようなリアルタイム性の強い表現とも通じる考え方ができるのではないか、ということを最近考えはじめている。
しかし、まだ考えはまとまっているとはいえない。

いま始めようとしているテキスト表現ゼミでは、参加者の皆さんといっしょにテキストを用いた表現の本質をさぐり、同時に自分自身の本来の書きことばを探す、という試みをおこないたいと思っている。
かなり難しい作業になるかもしれない。あるいは実は簡単なことであり、あっけなく楽しいものであるのかもしれない(そうだといいですね)。

テキスト表現ゼミの募集内容と申込はこちらから。

2011年3月8日火曜日

講座の最初に話す自分自身のこと

現代朗読協会の体験講座やアイ文庫のオーディオブックリーダー養成講座を開催するとき、いつも最初に私が話すことを書いておく。
いつもおなじようなことを話すのだが、参加者の顔ぶれによって毎回微妙に違う。こうやって書きとめておけば、ぶれにくくなるかもしれない。

私はいつもかならず最初に、
「はじめにおことわりしておきますが、私は朗読はできません」
という。とまどったような表情になる方が多い。朗読できない者がどうやって朗読を教えたり、オーディオブックリーダーの指導をしたりできるのだろう、という疑問符が顔に浮かぶ。
当然かもしれない。世の中の多くの朗読教室や養成所では、指導者のほとんどが実技者である。アナウンサー、ナレーター、朗読者、声優、といった人が指導にあたっている。
では、私の立場はなにか。
「私は演出家としてここにいます」
ということを、最初に名言する。

演出家の役割とはなにか。
いろいろな考え方があるだろうが、私は次のような考え方をとっている。
人は実は自分のことが一番よくわからない。「自分」というものは身体、精神、経験、その他さまざまなもので構成されているが、その一部である「顕在意識」で全体を把握することは不可能だ。が、外部から観察することでわかることもある。
演出家は表現者とタッグを組んで、その人のなかにある潜在的な魅力を一緒に探す仕事をする。例えば朗読であれば、「このように読もう」と思いこんである「型」にはまりこんだ読みしかできなくなっている朗読者に、さまざまなアドバイスをしたりエチュードを与えたりすることで、本人すら気づかなかった表現方法やニーズを引きだしていくのだ。
現代朗読の方法では、あるテキストを10人が朗読すれば、10通りの表現が出現する。この手伝いをするのが、演出家の役割だと考えている。

私が演出家にいたった道すじを簡単に説明する。
私は北陸の片田舎に生まれ、勉強はともかく、読書も遊びも身体を動かすことも好きな子どもとして育った。
高校を卒業してから京都の大学に進んだが、なぜか大学が肌に合わず、学校にはほとんど行かなかった。そのかわり、アルバイトに精を出し、ヨットに乗ってばかりいた。
20歳のときに祇園のバーでバーテンダーのアルバイトを始めた。その店は関西のジャズミュージシャンが集うピアノバーで、私はそこで音楽(とくにジャズ)に目覚めることになる。アルバイトの空き時間を見つけてピアノの練習にはげみ、やがて私もジャズマンの仲間入りをした。もっとも、無名のジャズマンがライブ演奏だけで食うのは難しく、いわゆるバンドマンとして夜の街で演奏しながら稼いでいた。
しばらくは順調に音楽をやっていたのだが、やがてカラオケブームが到来。みるみる仕事量が減っていってしまった。とたんに食えなくなり、困りはてた私はいったん生まれ故郷の福井に撤退することにした。

福井に帰った私は、ピアノ教室をやることにした。ほかにも学習塾で勉強を教えたりもした。
そうこうするうち、福井にはNHK一局しかなかったFMラジオ局だが、民放FMができることになった。東京FM系列のFM福井で、開局してすぐに私も番組制作に関わることになった。構成作家をしたり、自分も出演したりしはじめたのだ。田舎では私のようなジャズマンが珍しいということもあったのだろう。

20代の半ばはピアノを教えたり、ラジオ番組を作ったり、地域のイベントでライブをやったりしながらすごした。
20代の最後に、突然小説が売れて、大手出版社から商業作家としてデビューすることになった。徳間書店から初めて書いたSF長編小説が出版されることになったのだ。
以来、30代を通して多くの商業小説を書くことで生活していた。同時にラジオ番組の制作にもずっと関わりつづけていた。テレビ番組にもレギュラーで出演していた。

小説を書くことは性に合っていたが、出版界が次第に構造不況におちいってくると、書きたい小説ではなく「売れる小説」を求められるようになっていった。
次第に私は好きな小説を生活の手段とすることに苦痛を覚えるようになっていった。
そのころ、携帯電話とインターネットが急速に普及しはじめていた。私は出版社が買ってくれない「書きたい小説」を、ネットで発表するようになった。無料ではじめたメールマガジンに多数の読者がついた。
それに目をつけた東京の事業家が私に連絡してきて、ある事業を立ちあげることになった。それがアイ文庫である。私は東京に仕事場を移すことになった。

アイ文庫は最初、携帯電話向けのコンテンツ配信会社としてスタートした。
その後、ネットコンテンツ(おもにオーディオブック)を作る会社にシフトしていった。同時にコミュティFMではあったが、世田谷FM、調布FM、葛飾FMといった局にも番組を配信しはじめた。
このときに朗読の研究会が自然発生的にスタートし、朗読者の育成も始めたのだ。これが現在のNPO法人・現代朗読協会の母体となっている。

アイ文庫や現代朗読協会がおこなっている朗読者育成の特徴は、多くの朗読教室や養成所がおこなっているような技術偏重型の指導をほとんどおこなわない、ということだ。
もちろん必要に応じて技術的なことはやる。が、技術は「必要に応じて身につける」というスタンスに徹底しており、また必要最小限の時間と労力で効率よく身につけてもらう方法をとっている。声優学校が1年も2年もかけてやるようなことを、1か月くらいで身につけてもらうようにしている。それが充分に可能なことは、ここから育った多くの朗読者が証明している。
ここでやるのは、表現(人から人になにかが伝わること)についての本質的な理解や、身体表現としての朗読についての理解とトレーニングだ。
私は演出家としてそのお手伝いをする。

以上のようなことを(もうすこしかいつまんではいるが)講座の最初にざっくりと話させてもらう。
いま近づいている講座は以下のとおり。私の話を聞きに来てください。

「オーディオブックリーダー養成講座」
アイ文庫主催の商業コンテンツを製作するための講座。
3月21日(月)10:00-17:00の開催。
詳細はこちら

「現代朗読体験講座」
現代朗読の方法を基礎から系統だてて確認できる機会。
3月24日(木)14:00-16:00。
詳細はこちら

「現代朗読基礎講座」
3月27日スタートです。
全6回完結の講座で、毎週日曜日14:00-17:00の開催。
詳細はこちら

2011年3月7日月曜日

600文字コラムの練習

息が声になり、声がことばになる。
やがてことばは文字になり、詩や物語になる。それをまた声に出して読みあげれば朗読。メロディをつければ歌。
詩も小説などの文章も、音楽も、朗読も、ことさらに区別しなくてもいいんじゃないか、と最近は思いはじめている。いずれも自分を人に伝えるための手段だし、また共感しあうための手段でもある。
現代社会は経済活動がすべてに優先される傾向が強いので、音楽にしても文章にしても朗読にしても、表現物や表現行為がお金になるとわかれば、上手にお金もうけの仕組みを作る人があらわれる。それはそれでかまわないと思うし、お金もうけ自体が目的の人を否定するつもりもない。が、表現者までそれに巻きこまれて、お金が目的化してはつまらない。
お金のために表現するのではなく、自分を人に伝えるために表現していたのではなかったか。あるいは子どもが楽しげに歌ったり絵を描いたりするように、大人だって自然な内的欲求によって表現をするのではないか(結局のところそれはだれかとの共感を求める行為につながっていくのではあるけれど)。
私がなにかを書いて売ったり、入場量をいただいて演奏したりするのも、私自体を買ってもらいたいのではなく、私がおこなっている共感共有の活動を支えてもらうためであります。

キンキンの予定なう

備忘録をかねて、今月のおもな予定などの告知。

(1)現代朗読基礎講座

3月27日スタートです。
全6回完結の講座で、毎週日曜日14:00-17:00の開催となります。
5月1日のみ、ゴールデンウィークまっただ中ということで、お休みです。
詳細はこちらをご覧ください。

(2)現代朗読体験講座

現代朗読の方法を基礎から系統だてて確認できる機会かと思います。
次回は3月24日(木)14:00-16:00。
4月は9日(土)13:00からと、26日(火)13:00からの開催です。
詳細はこちら

(3)日曜午前のゼミ
日曜朝ゼミを新設します。午後は基礎講座、ということで、連チャン参加も歓迎です。
10:00-12:00開催です。

(4)オーディオブックリーダー養成講座
これは現代朗読協会ではなくアイ文庫主催の商業コンテンツを製作するための講座です。
3月21日(月)10:00-17:00の開催です。
詳細はこちら

(5)春うふ2011
私と伊藤さやかがやっている音楽ユニットOeufs(うふ)が、ひさしぶりにライブをおこないます。
童謡・唱歌・ジャズナンバー・オリジナル曲などを取りそろえました。
場所は大塚の音楽堂anoano、チケットは2000円ですが、もれなく一枚招待券を差し上げます。
詳細はこちら

(6)書籍『音読群読エチュード』発売間近
ラピュータより定価1800円でもうすぐ発売になります。
購入予約はこちら

この土日のできごと(1)児童養護施設の子どもたちと朗読で共感

先週土曜日、3月5日昼のできごと。
東松原のレストラン〈スピリット・ブラザーズ〉でおこなわれる養護施設の子どもたちのためのイベントの準備のために、午前10時集合。全6回シリーズでライブワークショップに参加していた約10名のメンバー。
今期のライブワークショップは、このイベントに向けて学びながら準備してきた。
私は機材準備があったので、みんなには自主的にリハーサルをやってもらう。

11時半、〈スピリット・ブラザーズ〉へ移動。機材搬入。
今回手伝ってくれる伊藤さやかも現地で合流。
音響機材とデジタルピアノをセッティングしていると、もう子どもたちがやってきた。しばらく外で待っていてもらい、12時すぎに開場。
子どもたちが席につくと、すぐにオーナーの人見さんが準備した食事がサービスされる。とてもおいしそう。
今回のカリタスというミッション系の児童養護施設の子どもたちは職員の方々で、シスターも何人かいらしている。これまでのイベントでは、最初からガンガン切れ目なく出し物が続いたのだが、今回はまずゆっくり食事を楽しんでもらおうということで、1時半まで出し物は待機。そのかわり、人見さんにメニューについての説明をしてもらう。

1時半、まずは私と伊藤さやかのOeufs(うふ)による童謡・唱歌の演奏。野々宮が曲の解説を準備して、トークと進行を受け持ってくれた。
季節柄、春の歌を中心に8曲演奏。とくにシスターたちが熱心に耳を傾けてくれているのが印象的だった。
そのあと、デザートが出て、ここでも人見さんの解説付きでゆっくり味わってもらう。
デザートがだいたい終わった頃に、みんなにも参加してもらって「カエルの歌」の輪唱大会。私は好き勝手に伴奏。

会場がほどよく暖まったところで、いよいよ朗読コーナー。
げろきょのアラサー・アミーガスと呼ばれている久保りか、まぁや、鈴木美沙子の3人(と飛び入り照井数男)による新美南吉の「一年生たちとひよめ」という短い作品。まるで小学生にもどったかのように、のびのびと無邪気に自由にやってくれて、大変楽しかった。子どもたちも食いいるように同化して聴いてくれた。
最後はライブワークショップメンバーによる新美南吉の「手袋を買いに」。
子ギツネとお母さんキツネの話で、親と離れて暮らしている事情の養護施設の子どもたち相手にどうだろう、という危惧も予想されたが、私はどういう事情の子どもであれタブーを持ちたくなかった。新美南吉の「手袋を買いに」というお話があることは現実的な事実なのであって、それを私たち大人が誠心誠意、心をこめて子どもたちにプレゼントする、それだけでいいのではないかと思った。
ここでも子どもたちも大人たちも、食い入るように聴いてくれ、会場がなにか不思議な空気に包まれた。シスターたちを始め、涙する大人もいた。なにか作りあげたものを提示するのではなく、そこにいる自分たち、そこにいる子どもや大人たちと、すべてを共有し、共感を作りたいというげろきょの方法が、予想をはるかに超えて結実したように思う。
ワッと盛りあがるように楽しさではないかもしれないけれど、じっくりと深いなにかが伝わった実感があった。

最後に人見オーナーのご自身の体験をまじえた話があり、またシスターからの心のこもったお礼の言葉をもらって、お開きになった。
子どもたちの何人もが、もっとここにいたいよ、といいながら名残り惜しそうに帰っていった。私たちにもとても大きな時間だった。

ライブワークショップはしばらくお休みですが、現代朗読基礎講座というのが今月末から始まります。
詳しくはこちら

2011年3月6日日曜日

この土日のできごと(2)羽根木朗読ライブパーティー

昨日3月5日の夜のできごと。
昼は東松原の〈スピリットブラザーズ〉で養護施設の子どもたち相手に朗読パフォーマンスをやってきたのだが、夜は羽根木の家にもどり、朗読ライブパーティー。
私は機材のセッティングでおおわらわ。なにしろ、音響機材、照明機材、Ustream生中継機材をセッティングした上、音響、照明、演出、音楽演奏、司会進行も受け持つのだから、半端ではない。幸い、照井くんがセッティングを手伝ってくれ、照明を引き受けてくれた。

お客さんも来てくれ、18時、ライブスタート。Ustream生中継をしながら。相変わらず音響のセッティングに苦労しながら、しかもミキサーが昼間の歌用のセッティングのままだったので、前半はリバーブがかかってしまっていた。しかし、まあなんとか中継できた。
録画はこちらで観れます。

ところで、このライブがすごかった。
まずは昼間にもやった新美南吉の「手袋を買いに」を、ライブワークショップ参加メンバーの別チームでやる。
最初は硬かったメンバーも、途中から自由になり、遊び心いっぱいに楽しくやってくれて、大変楽しくなった。お客さんから笑いもたくさん出て、私がいつも望んでいるまるで音楽ライブのような雰囲気になってきた。

2番めは、いわゆる「アラサー・アミーガス」によるショートプログラム「一年生たちとひよめ」。
最初からはっちゃけてくれ、ハプニングもいろいろ起こしてくれて、大爆笑のうちに終了。全員が小学一年生に返ったような無邪気で楽しい気分になった。
最後は朝ゼミメンバーによる伊藤左千夫の「守の家」。
こちらはさすがに多彩で自由で奥の深い表現を見せてくれて、げろきょ中核メンバーの面目躍如といったところか。でもよく考えたら、ライブ初経験の人もいたのだった。それなのに、これはすごい。

ライブが終わってからは宴会。
玻瑠さんが関西風お好み焼きを作ってくれたり、みなさんの差し入れがあったり、女性チームによる「適切なる」買い出しがあったりと、食べ物、飲み物ともに大変充実した宴会になった。
その最中に、小梅ゆかりと唐ひづるによる「こうめからりん」デュオの大変クオリティの高い朗読パフォーマンスにやんやの喝采やら、アラサー・アミーガスによる「一年生たちとひよめ」の再演・別バージョンがあったりと、大盛り上がりであった。
みんな、いい顔してたな〜。
げろきょという場は、作ろうとして作れる種類のものではない、奇跡のような場になたと、しみじみと感じた夜であった。

ライブワークショップはしばらくお休みですが、現代朗読基礎講座というのが今月末から始まります。
詳しくはこちら

この土日のできごと(3)現代朗読体験講座

この土日(5日と6日)のできごとについてレポートしておきたい。
いきなり(3)から逆順ですが。

今日(6日)は午前中から現代朗読体験講座。年齢・性別・職業などバラバラの7名の方が参加。
朗読テキストを使って、ひとりひとりに実際に実技をやってもらいながら、現代朗読の方法と考え方を体験してもらう。
ここでやっていることは、一般的な朗読教室とは出発点からして異なる方法なので、朗読教室や声優学校などに通ったことがある人はとまどうことが多いのだが、初心者の方には違和感なく受け入れてもらえることが多い。とはいえ、表現の原理や身体論にまで踏みこむ内容なので、簡単に理解してもらえるものでないことは私も承知している。
これまで何度も体験講座をやっているが、毎回、どのように伝えればいいのか苦労している。ともかく、カリキュラムのようなものは作らず、参加者の顔を見て、実際にやってもらって、その場で即興的に対応していくというのが、現在とっている方法だ。
当然ながら、うまくいくこともあれば、いかないこともある。
今日はどうだったろうか。

午後のネクストには3名の方が残ってくれた。
元アナウンサーの方、オーディオブックリーダー養成講座を受けている方、そしてあとでわかったことだが臨床心理士の方。
話をしたあと、エチュードを中心に、感覚を開くこと、感受性を高めることを体験してもらう。そして身体表現者としての朗読者に必要な身体作りの話。
この話は、講座が終わってから臨床心理士の方が大変興味を示してくれて、まさに心理療法の過程と合致しているという。
彼女はゼミ生としても参加してくれることになった。
私たちが独自に獲得してきた理論と実践が、臨床の現場でお役に立てるなら、大歓迎だ。現代朗読のエチュードもどんどん使ってもらいたい。それで救われる人があるなら、こんなにうれしいことはない。

次回の体験講座は3月24日(木)14:00から。
来月の体験講座&ネクストは4月9日(土)13:00から、と、4月26日(火)13:00からです。
詳細はこちら

2011年3月3日木曜日

速報「幻のエレンディラ」

昨年、旅先のメキシコで亡くなった翻訳家の加藤登氏をしのんで、追悼公演が行われます。

◎追悼 加藤登「幻のエレンディラ」

と き:‘11年7月22日(金)  19:00~
ところ:名古屋 千種IMYホール(JR千種駅下車すぐ)
入場料:未 定

作=G・ガルシア・マルケス
訳=加藤登

構成・演出=深澤伸友

キャスト                  
老人:榊原忠美
男 :樋口大介
女 :柴田真佑

スタッフ
音響:加藤明
照明:吉戸俊介
音楽:水城ゆう

歌 :未定

原案・企画=PAP・でらしね

制作=加藤明

2011年3月1日火曜日

朗読(に限らないけど表現行為)は打算抜きのプレゼント交換である

表現行為において、自発的な「やりたい」という気持ちはどこから来るのか、かんがえてみた。
表現なので、「自分を表現したい」という内在はあるものの、それ以上に向かうべき外在がある。外在がなければ、内在は生まれない。「自分を表現したい」にはかならず目的格がある。「あなたに」あるいは「あなたたちに」「彼らに」。
「やりたい」が生まれるのは、「やること」の結果が相手に「よろこばれる」もしくは「必要とされている」ことがあらかじめ予想されるときだ。
これが予想されない場合、「やりたい」ではなく「やらねば」に変化する。まことに殺伐とした心象が出現することになる。私のかつて目撃した多くの朗読がそうであった。相手に「感心してもらいたい」とか「自分のいいところを見せたい」とか「間違えないようにしなきゃ」とか「稽古通りにやれるだろうか」といった気持ちを持って表現の場に出た場合、そうなることが多い。
前者について、例をあげてみよう。

最も自主的に「やりたい」という気持ちが生まれるケースを想定してみる。たとえば、恋をしているとき。
恋をして、付き合い始めたばかりのころ、恋人からなにか頼まれごとをしたとする。たとえば、とても他愛ないこと。
「教室にノート忘れたから取ってきてくれる?」
あなたは喜んで取りに行くだろう。なぜなら、あなたは恋人が喜ぶ顔を見たいから。恋人の役に立ちたいと心から思っているから。
これが恋人でなければどうなるか。たとえば外出している親から電話がかかってきて、
「財布忘れたんで、スーパーまで持ってきてくれない?」
といわれたら、たぶんむかつく。いやいや持っていきこそすれ、喜びはない。が、もし親が心から感謝してくれたら、そのむかつきはかなり解消する。次に頼まれたときには、あまりむかつかずに持っていってあげるかもしれない。

この「恋人」と「親」のふたつのケースについてかんがえみよう。
恋人が相手だと、あなたの心は恋人と「深くつながりたい」という気持ちに満ちていて、実際に深くつながっていると実感しているかもしれない。人は自分と深くつながっている相手には、喜んでもらいたい、なにかしら役に立ちたい、という自主的な気持ちを持つ。
親が相手だと、あなたの心は「深くつながっていたい」という気持ちが希薄である。いや、なかには深いつながりを持っている親子もいるかもしれないが、たいていの日常的関係性においては希薄なものである。でしょ?
深くつながっていない相手に対しては、喜んでもらいたいという気持ちも希薄だし、頼まれごとをすれば「めんどくさいなあ」という気持ちが生まれてしまう。
しかし、そんな相手であっても心からの感謝を受け取れば、じつは大きなつながりがあったことを思い出すことができる。その場合、ふたたび喜んでもらいたい、役に立ちたいという気持ちがよみがえってくるのだ。あなたが子どものころ、親に対していつもそうであったように。

表現行為においてもこれとおなじことがいえる。
深くつながっている、もしくは深くつながりたい、という相手には、自発的に「喜んでもらいたい」「自分を伝えたい」というような気持ちが生まれる。相手にどうこうしてもらいたい、ではなく、自分がどうしたい、という立地点からスタートするのだ。
そこにはピュアな表現の動機がある。
ピュアな動機で表現がおこなわれたとき、相手もまたそれをピュアなプレゼントとして受け取ることができる。当然、プレゼントを受け取った者はお返ししたくなる。つまり、感謝であったり共感であったり、なんらかのコミュニケーションにおけるプレゼント交換がおこなわれる。
現代朗読ではこのようなプレゼント交換としての表現の勉強をしている。
質問があれば遠慮なくどうぞ。

現代朗読を体験できる講座が、今週末3月6日(日)に開催されます。
参加費は2,000円。
くわしくはこちら

なぜ現代朗読を体験してもらいたいかというと

今週末6日の日曜日は、午前10時から羽根木の家で現代朗読協会の朗読体験講座をおこなう。

これまで「体験」していただいた方の多くが残した言葉を紹介しておく。
「目からウロコの体験だった」
「朗読がこんなに楽しいものだなんて知らなかった」
「朗読ってこんなに自由でもいいんだ」
「今日から表現者として生きていきたい」

体験講座には朗読をまったくやったことのない初心者から、かなり経験を積んだ方まで、さまざまな方が来られる。
初心者にはのびのびと自由にやれる朗読の楽しさを知ってもらえるし、経験者には従来の朗読にありがちなさまざまな「こうやらなければならない」といった思いこみがはずれる一種の「ショック」を味わってもらうことが多い。
これはまじめにいうのだが、私はこの体験講座を通じて、すべての人に表現するための道がひらけていることや、朗読を楽しむことがもっと普及すればフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションがより優しく深まっていくことを、多くの人に知ってもらいたいと思っている。

参加費2,000円。皆さん、来てね。
詳細はこちら