2011年3月12日土曜日

福島原発事故は最悪をまぬがれるか?

現時点でざっくりとまとめておきます。
地震が起こって、そのあと炉心の冷却ができていない、燃料棒が露出している、という情報がはいってきたとき、私はメルトダウンという最悪の事態をかんがえた。
私はお蔵入りしているけれど、かつて商業小説を書いていたとき、『原発破壊』というタイトルの長編小説を書きかけていて、原子力発電所の仕組みについてはかなり勉強して一般人よりは知識があると思っている。
その知識が、今回の事態にたいして警鐘を発しつづけていた。なので、今回の災害の初期からずっと、「原発情報に注意」とことあるごとにいいつづけていた。

第一原発1号炉の建屋が爆発で破壊されたとき、すわメルトダウンの最終段階かとびっくりした。
その後の発表で、現時点ではまだそこまで行っていないことがわかって、一時的にほっとしている。
事情は次のとおりだったようだ。

非常用ディーゼル発電機が起動せずに一次冷却水が送れなくなった炉心では、一次冷却水がどんどん減って(水蒸気化)燃料棒が露出していった。
ウラン燃料は「ペレット」という形に整形され、ジリコニウムという金属でできた鞘で包まれているのだが、加熱した燃料はその金属の鞘を溶融させた。高温のジリコニウムが水と反応して、水素ガスが発生したのだろう。
原子炉格納容器内の圧力が高まり、危険なレベルを超えたので、やむなく爆破弁で格納容器の圧力を外に逃がした。
おそらく原子力発電所内は修羅場だったのではないかと想像される。現場職員の方々は決死の覚悟で戦っていただろう。

なんとか格納容器の圧力がさがり、海水を冷却水として注入することにした。
さがったとはいえ圧力がある格納容器に海水を注入するのだから、なかの気体が爆破弁などから漏れて建屋のなかの漏れた。それが爆発を起こして、建屋の外壁を吹っとばした。

政府発表によれば、いまのところ格納容器は無事。建屋のみが吹っとんだというもの。
これはすでに書いたが、あとは大量の海水を注入して炉を冷却し、ホウ酸で再臨界などの二次災害を防止する、という対策が取られる予定。
海水を入れるというのは「廃炉」を決意したということだ。

今後の問題は、まだ炉心の反応はつづいており、再臨界を起こさせることなく完全に冷却できるか、だ。
また、冷却できたとしても、廃炉処理の問題もある。
そして、福島第一原発の他の炉と、第二原発でもまだ1号炉と同様の反応が進行している、ということ。
まだまだ注視が必要だ。